第215話 俯瞰

文字数 1,291文字

 人生であれ、人類全体の歴史であれ、≪俯瞰≫してみることは面白い。全体像をつかむことで、当たり前だと思っていた物事を相対化できるからだ。昔、歴史の授業で『世界がもし100年の物語だったら』(リチャード・マクドナルド著)という本を教材に用いたことがある。「人類が何万年前に生まれたか」などという年号暗記なんかよりも、まず一回目の授業で、この≪俯瞰≫という視点に触れてほしかったからだ。(ちなみにこの本では99年目の最後の1か月にヒトが誕生する)どこまで意図が伝わったかはわからないが、今になってみるといろんな意味で「良くも悪くも」だった。≪俯瞰≫して全体像をつかむよりも、目の前の事に疑念など挟まず、全力投球する。幸せってそういうものかもしれない、と思える節があったからだ「良くも悪くも」。  
 とにかく時は流れて、私はといえば、自身の感情の揺らぎすら≪俯瞰≫しているような毎日だ。お世辞にも健全とは言えない。
 さて、前置きが長くなりましたがここまでこのブログをお読みいただいている方々、どうもありがとうございます。これまでに出てきた
『図書と見方と坊ちゃんと』
『              』
『革命』
の3つは今から十数年前、私が20代半ばに書いた文章に加筆修正したものです。今読み返してみると、清々とした語り口で若々しいテーマの文章とも言えますし(青い、青いな、青くせえにおいがプンプンするぜえ。『逆境ナイン第1巻より、島本和彦著』)とも思います。若干の照れは隠せません。今後ミドルエイジを迎えるにあたり、もう少し大人の文章を書ければなあともいます。
 それからブログを始めるにあたって書いた『矛盾』という短文。こちらは本当になんとなく書いたのですが、実にそのなんとなくが大切で、三つ子の魂百までとも申しますし、これが私の生涯のテーマなのかなとも思うのです。作家にしろ芸術家にしろ科学者にしろ一人の人間が生涯かけて追いかけられるテーマなんてそうそう多いものではありません。私も今後いろいろなテーマについて文章を書いてみたいと思いますが、結局はこの『矛盾』に収斂してくるような気がします。とはいえ一方でパブロピカソのように90近くになっても精力的に活動した芸術家もいるわけで、私もパソコンとネット環境が整っている限りできるだけ長く、多くのテーマに挑戦したいと思います。また、その結果として又吉越えができれば言うことはありません(笑)。ここまで読んでくださった皆さんには、ぜひ今後ともお付き合いいただければ幸いです。よろしくお願いします。

  
 目の見えない虫は、球の表面を這っているとき、自分が通ってきた道筋が曲がっていることに気づかない。わたしがそれを発見できたのは幸運だった。
                             (アインシュタイン)

 目の見えない虫の気持ちは、目の見えない虫自身にもわからないのかもしれない、ただ彼の精神と身体が燃焼していたのならそれは生物として豊かなことだと思う。
                                 (長谷川漣)

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