第153話 おなら

文字数 884文字

「おならしたでしょ?」
ふと、そんな声が聞こえてきた。10月から市内の学童保育で働き始めた。その新しい職場での一コマだ。ほほえましくて思わず笑ってしまった。月並みな表現だが心がほっこりするというか・・・豊かな事だと思う。これに対して我々大人はいつごろから「おならしたでしょ?」と言わなくなったのか?若しくは言えなくなったのか?はたまた、言わせなくなったのか?そういえば(『のだめカンタービレ』二ノ宮知子)では主人公の野田恵がしょっちゅう「おならブー!!」というフレーズを連呼していたな、と思い出した。才能はもとより、結局その辺の「のだめ」のキャラクターが千秋真一の心をさらっていく要因だったのかもしれない。そう考えると「おなら」も捨てたものじゃない。タブーと捉えるよりも、むしろ積極的に活用すべきコミュニケーションツールと捉えると面白いかもしれない。それに恋人が「おなら」をした時、どの様にリアクションするかでそのカップルの相性というか成熟度のようなものが解ろうというものだ。ちなみに結婚生活50年の家の母は平気で我々の前でおならをする。そこにてらいは、もうない。
「おなら」を敢えて一般化するなら、「誰にでもある、避けて通れないちょっとした恥づかしい失敗」になる。それにどう対応するのか?
○スルーするのか?
(そ知らぬふり)
○ソフトに受け止めるのか?
(おならしたでしょ?)
○敢えてハードに受け止めるのか?
(くっせーよ!)
○ユーモアに昇華するのか?
(私のおならジャスミンの香り!(笑))
どの答えが1番正しいのだろう?いや、そもそも何が最も正しいかではなく、この場合何が最も温かみがあるかで考えるべきだと思う。それがコミュニケーションであるからには・・・。何にせよ、「おならしたでしょ?」と聞こえてくるような職場で働けるのは有難いことだ。そんな職場、そんな社会もいいかもしれない。本当の豊かさってそういう事だと思うから・・・。
この文章をお読みの皆さんは家族の前で、恋人の前で「おなら」してますか?えっ「私はおならなんかしない」?なるほどそれも一つの答えかも知れませんね(笑)。
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