第202話 好みのタイプ

文字数 775文字

 先日二十代の方々とテーブルを囲む機会があった。そこでそれぞれの好みの異性のタイプを述べるという私にとっては本当に久しぶりの話題になった。私は「新垣結衣のような美人だけどコミカルな役のできる女性、ひと昔前だと仲間由紀恵のような人がいいと無難な答えを返した。深田恭子さんにはあえて触れなかった。(笑)その中である方が「自分は自分が好きになった人が好みだ」とおっしゃっていた。私はなんだか直感的に「かっこいいな」と感心してしまった。何がかっこいいのかと考えてみたのだが、つまり私を含めその場にいた方々と発想が逆だったからだと思う。私などはその方の逆で「自分(私)に好意を抱いてくれた人に対して、もっと言うとリスクを顧みずにとってくれた人に対して、御恩と奉公ではないが恩義に報いるという形でその人に好意を抱いてきたような気がする。過去を振り返ってみてもほとんどがそういう形で他人を好きになっていた。これは何も私が異性にもてるとかそういう事を言っているのではない。そんなにもてていたら今頃とうに結婚しているはずだ。誰かに好意を抱くというのも多様な形があるものだが、私の場合、如何せん受容的であるのは否めないだろう。それに対し先に挙げた方は「人を好きになる」という点にかけて、いかに能動的であることか?こんな風に人を好きになるというのはそれだけ他人に対して興味や関心があるという事で、それは本当に羨ましいことだと思う。新約聖書の言葉にある「与えよ、さすれば与えられん」とはこういう事なのかもしれない。もしくは単に私が年を取っただけかもしれない。なんにせよ「自分が好きになった人が好みのタイプだ」とおっしゃった時のその方はこの上なくまぶしく見えたのだ。今は亡き、忌野清志郎さんの「愛し合ってるかい?」というメッセージの意味がほんの少しだけわかったような気がした。
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