第106話 昔の話

文字数 756文字

 先日、瑛人さんの楽曲『香水』をiTunesでダウンロードした。車の中で友人と聞いていたら香水の話になった。
「ドルチェ&ガッバーナの香水ってどんなのだろうね?香水にもブランドがあるでしょ。その中で敢えてドルチェ&ガッバーナの香水を選ぶってどうなんだろ?」
「俺香水の事なんて詳しくないけど・・・。そういえば学生で免許取りたての時に、5つくらい年上の看護師やってる女性にドライブに連れてってもらった事あったな。その人がドルチェ&ガッバーナの服を着てた。香水じゃないけど。ブランド名を前面に押し出した服。」
「服でも何でもそうだけど、あんまりブランド名を前面に押し出し過ぎた物って好きじゃないな。」
「確かに、さり気なくアピールするくらいならいいけどね。」
「好き好きだから何とも言えないけどブランドで身を固めている人って何処か自分に自信がないんじゃないかなと思う。」
「うん、でもいい人だったよ。特別美人って訳でもなかったけど・・・。その人なりに色々・・・家族の事とか問題抱えてて、それで自分を奮い立たそうとして頑張ってたんだと思う。その意味でブランドの力を借りてたのかも。だからねあんま悪くいえないんだ。実際にドライブに連れてってもらった頃はそういうこと解らなかったけど・・・今なら解る。年取ったからね。」
「そうだね。長谷川、お主カッコイイな!」
「よせやい(笑)!。」
 そこで友人を降ろして私は帰路についた。そのドルチェ&ガッバーナの服を着た看護師の女性を最後に見かけたのは私が仙台を去る数日前だった。中心街で彼氏らしき人と買い物をしていた。ハンサムで誠実そうな人だった。今頃どうしているだろう?きっと幸せを見つけられたんじゃないかと思う。
瑛人さんの楽曲『香水』を聞きながら昔を思い出した。

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