第324話 スイミー

文字数 901文字

 職場の学童で小2の男子数名が集まって国語の教科書でスイミーの音読を始めた。それを聞いていたら、あろうことか、「スイミー」の箇所を「長谷川センセイ」と読み替えている。好意半分、揶揄半分といった感じで彼らは読んでいた。嬉しかった半面、ドキリとした。

 わずか小2の子供ですら「その人の本質」のようなものを把握するのだ。スイミーって今でいうところのイノベーターだ!たかが小学2年生でも、私という人間のコアのようなものを掴んでいる。怖いな。と思った次第だ。もっともイノベーターなんて自分で言っていたら世話ないが・・・。

 いま述べたように私は別にイノベーターなんて柄ではない。ただ、こうすればもっと面白いのにな。とか、こうすればもっと効率いいのにな。とかは結構考えるほうだ。そういえば昔から「創意工夫」の評価はAだったような気がする。

 そんなわけで、どうすれば学童の子供たちがより充実した放課後ライフを送れるか?常日ごろから考えている。そりゃ子供たちだって漫然とお迎えを待っているより、何か面白いことに熱中していて気が付いたらお迎えが来ていた!と、そのほうがいいに決まっている!

 ただ、新しいことを発案したり、より良い方向に改善したりするというのは、必ずしも歓迎されるとは限らない。それまでのやり方に慣れた職員の方々には心理的抵抗があって当然だ。その抵抗(抵抗では言い方が悪いかもしれないが・・・。)をできるだけ軽減する形で物事を進められないか?この頃はよくそんなことを考える。

 そのためには、ありきたりな答えかもしれないが、よく聞くこと。よく話すこと。これに尽きる。「話さなくても通じる」というのはこの際、悪手というべきで、やはりより深くコミュニケイトするのが一番なのだ。

 そんなわけで、よく聞くこと。話すこと。これが最近の私の個人的目標だ。もっとも普段はあまり喋る機会というかキッカケがない。でも、それでも毎週一回の会議の際にはなるべく発言しようと思う。口下手を理由に発言しないわけにはいかない。何故ならそれが「充実した放課後ライフ」への一番の近道だから。

 そう、スイミーが無口ではあの物語は始まらないのだ!


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