第127話 見上げる星

文字数 969文字

 「俺って芥川(あくたがわ)?それとも茶川(ちゃがわ)?(笑)」と私の文章の常に良き理解者である母に聞くと、母はすかさず「そりゃ、茶川(ちゃがわ)だねぇ。(笑)」と答える。ここで言うところの茶川(ちゃがわ)とはもちろん『Allays 3丁目の夕日』で吉岡秀隆さん演じる愛すべき主人公の茶川竜之介(ちゃがわりゅうのすけ)の事だ。      
 彼は茶川駄菓子店を渋々経営(元々は祖母の店、亡くなったときに引き継いだ様子)しているが、本当は芥川賞(あくたがわしょう)を受賞し、小説家として一本立ちすることを目論んでいる。しかし不選考ばかりで三丁目の住人からも「文学崩れ」と馬鹿にされており、児童向け冒険小説で食いつないでいるのが実情だ。無論その姓名の茶川竜之介(ちゃがわりゅうのすけ)は、かの芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)をもじったものと思われる。この芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)もとい、茶川竜之介(ちゃがわりゅうのすけ)に自身を照らし合わせて、「おれって芥川それとも茶川?」と私は冗談を言っているわけだ。それに対し母は「茶川(ちゃがわ)にだって成れたらたいしたものだよ(笑)。」食えない母だが、それでよいと思う。芥川(あくたがわ)には芥川の、茶川(ちゃがわ)には茶川のそれぞれの人生があって、それぞれの幸せがある、もしくはあった。誰もが同じ星を見る必要はないのだ。と、そのように考えるなら私、長谷川には長谷川の人生があり、幸せがあるという事になる。そして私こと長谷川が見る星とはどのような星なのか?まだ正直解らない。何にせよ夜空ばかり見上げていて足元をすくわれる事のないようにしたいものだ。ただ、きっと茶川竜之介(ちゃがわりゅうのすけ)が芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)に由来するネーミングであるのと同様に、私も、その姓を恩師から戴いている。しかも無断で。知的で優しくてユーモアのある方だ。文章の内容はともかくその姿勢くらいは見習わねばならないと思う。
 さて、話は戻りますが、私、長谷川の見上げる星がどのような星なのか?その試金石となる24作品が幻冬舎ルネサンス新社のサイト「表現者の肖像」に近々掲載予定です。毎月2作品ずつ順次掲載されます。是非、お読みいただければ幸いです。詳細についてはまた後程お知らせします。ではまた。
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