第61話 でっかい声で

文字数 1,087文字

 先日、NHKの「あさイチ」に林真理子さんがゲスト出演された。はじめて知ったのだが、林さんは何と40年以上にわたってエッセイを連載しており、「エッセイの神様」との異名を持つ方だった。エッセイを書いていると公言している私としては赤面の至りだ。無神論者ならぬ不信論者を気取る私としても、読まないわけにはいかない。と思って観ていたら番組内で林さんの最近のエッセイから一部を抜粋して解説がなされた。

 落とし物をした林さんの後ろから
「お姉さん、落とされましたよ。」
と、若い女性から声をかけられた。そこで「おばさん」でなく、「お姉さん」と声をかけてくれた事に、林さんはとても相手の優しさを感じたとの事。年齢的な事を考えたなら「おばさん」が適当なのかもしれない。でもそこを「お姉さん」とした相手のやさしさに触れたという事だった。

 この解説を聞いて「お姉さん」と呼んでくれたことに相手の優しさを感じ取った林さんもまた優しい方なのだなと思った。こういう日常の些細な事に優しさや美を感じとるその心の動きも女性的だと思う。枕草子以来の日本的情緒と言えるのかもしれない。一方で私がこの後ろにいた女性だったらどうしたろう?と考えた。私だったら「お姉さん。」と呼び止める事は出来なかったと思う。自意識過剰なところが私にはあって、如何にも相手に気遣いをしているこちらの心中を読まれるのが嫌で、口をつぐんでしまったのではないか?と思うのだ。若しくは「すいません、落としましたよ。」と言うのが席の山だろう。

 まあ、それは良いとして、エッセイの神様に対してこんなことを書くと将来?が危ぶまれるのではないか?と心配にもなるのだが、私はやっぱりoasisの方が好きだ。(林さんごめんなさい)

 先程、清少納言の枕草子以来の日本的情緒と述べたが、そう言う些細な事に目を向けた美意識も悪くはない。悪くは無いのだが、私自身はもっとでっかい事に目を向けたい。でっかい事が好きだ。でっかい所で、でっかい事を、でっかい声で言いたいのだ!そのために売れたいのであって、売れたいが為に、言いたいことも言えないのでは本末転倒も甚だしい。
 
 今まででっかい事を言うとほとんどの場合、否定の嵐だった。だからいつの間にか「お姉さん」も言えないような人間になってしまったのだ。でっかい所で、でっかい事を言いたい。その為に売れる必要がある。
 
 枕草子好きです。でもこの国の人ももっと大きなところで大きなことを言っていいのではないかと・・・そう思うのです。

皆さんはどうですか?
でっかい事考えていますか?
でっかい事言う奴きらいですか?
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