第135話 逸脱のススメ

文字数 1,344文字

 先日聞いた話なのだが、私の勤める学童には以前、液体せっけんを使ってシャボン玉遊びをした児童がいたそうな(笑)。いつどこにでも、このようにいわゆる“通常”や“当たり前”から「逸脱」する者がいる。かくいう私にも「逸脱」した思いでがある。中学3年時の体育祭でムカデ競争なる競技があった。

 『ムカデ競争とは複数人が一定の物につながった状態で一組になり、動きを合わせながら前進して速さを競う競技。競技者となるチーム全員の足を固定した状態でリズムを合わせて走り、ゴールを目指す。お互いにリズムを合わせないとすぐにバランスが崩れてしまうため、足元は見ずにプレーヤー全員の掛け声に合わせて摺り足で進む。中には、掛け声+笛の音でリズムを合わせることがある。』(以上ウィキペディアより)。

 このムカデ競争で個性派ぞろいの私のチームは全然足並みがそろわない。クラスの他のチームの足手まといになる事甚だしかった。そこで私は一計を案じた。文章にするのが難しいのだが、要は縦隊で進むムカデの列を90度回転させて横隊で進んだのである。コースに対して、平行になるよう列をつくって進むムカデを、コースに対して垂直に列を作り、チームの皆はバタバタと横あるきする形になったのだ。こうすれば、足並み揃える必要はないし、自分たちを抜きにかかる他のチームを妨害することも可能だ。これは素晴らしい発想の転換だと有頂天になっていた私たちは、体育祭前日のリハーサルでこの妙技を披露した。結果、学校中の度肝を抜いたのだが、職員会議にて「ムカデ競争では横あるきは禁止する」という新たなルールを設けられてしまった。本番では必至こいて真面目に走る事となった(笑)。これはこれでいい思い出なのだが、今でも一つ疑問が残る。もし、リハーサルでなく本番でこの横あるきムカデを披露していたらどうなっていた事だろう?認められたか?それとも反則扱いされたか?それとも今回に限って認めるという結果になったか?先生方も難しいところだったのではないだろうか?先生泣かせな生徒達であった(笑)。ただ当時の我々の担任は笑いながら「漣君たち凄いよ!」と褒めてくれた。若くてハンサムないい先生だった。
 
 さて、いい社会人?になった我々は基本「逸脱」はしない。それはそうだ「逸脱」する輩ばっかりでは社会が回らないからだ。自分に割り当てられた役割を日々こなす。それが社会人というものだ。でも、でもそれだけでは少し寂しいのでは、と感じるのは私だけだろうか?社会の迷惑にならない範囲で「逸脱」してみるのもいいのでは?「逸脱」する者の全くいない社会なんて少しも面白みがないし、そんな社会からは新たな活力が失われてしまうのではないだろうか?それに発明や創造って本来「逸脱」から生まれるのではないだろうか?社会に悪影響を与えない、少しくらいの「逸脱」なら笑って受け入れる、そんな懐の深い社会だといいなと思う。いわば変人に優しい社会?個性を尊重する社会?まあ何でもよいが、「みんなと一緒じゃなきゃダメ」はそろそろ卒業すべきだと思うのです。皆さんはどのように思いますか?「逸脱」してますか?もっとも何でもかんでも「逸脱」すればいいってものでもありませんが・・・私?私はもちろん・・・(笑)。
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