第275話 いい店

文字数 686文字

 今日、仕事帰りにやりきれない気分だったので、何か美味しいものでも食べようと前から行ってみたかった定食屋によった。まだ開店して間もなく、こじんまりとしたきれいなお店だった。店主と女将さんのお二人でやっている様子。私としては奮発して、マグロ刺身定食¥1320を注文。その時の女将さんのニコッとした顔が印象的だった。結果は大満足の大正解。マグロの刺身にお味噌汁、漬物、小鉢、ごはんがついていて、本当に美味しかった。

 帰り際に、来月の23日の祝日(秋分の日)はやっているかと女将さんに聞いてみた。友人と飯を食ってカラオケに行く予定だったのでここを使おうと思ったのだ。すると、何でも日曜と祝日は休みだそう。その他にも平日水曜がお休みとの事。
「ごめんなさいね!うち祝日は休みなの。もし宴会とかなら相談に乗るけど。」
と女将さんがおっしゃるので、私は
「いえいえ、いいんです(笑)こちらのわがままなんです。いや、男三人で美味いもん食おうってただそれだけの会なんです(笑)。ごちそうさまでした。美味しかったです。」
と答えた。すると奥の方から店主が笑いながら「ありがと~。」と聞こえてきた。何だか私はとてもいい気分になった。

 週2日はしっかり休んで、祝日も基本的に休む。客の納得のいく値段で、納得のいく料理を提供して、下手に大きく儲けようとしない。もしかすると店主は仕事と儲ける事とをしっかりと区別している方なのかもしれない。仕事が好きだからこそ、丁寧な仕事をしたいからこそ、下手に働きすぎない、もうけ過ぎない。そんな店主像がうかがえた。すごく共感する。とびきりいい店を見つけた。また来よう!
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