第150話 凸凹

文字数 949文字

 前職でお世話になった方が「凸凹のある人間同士が補い合ってやってくのが会社ってもんだよ。」とおっしゃっていた。「素敵なことを言うなあ」と思ったのを覚えている。
 話は変わるが10月から学童保育で働き始めた。この学童保育ではおやつを食べた後に「食べこぼしチェック」をする。その後に静かに出来たところから順に手洗いに行ってもらう。その際の号令をかけるのが我々支援員の仕事の1つでもある。まだ慣れない私はその際「食べこぼしチェックをして」を言うのを忘れて「では・4・5・6班から手洗いに行って!」と言ってしまった。すると子供たちから「違うよ食べこぼしチェックがまだだよ!」とブーイングが起きてしまった。   
 私は「ごめん、ごめん、申し訳ない。俺の間違い、俺の間違い!」と謝って、「食べこぼしチェックして!」と伝えた。食べこぼしチェックが終わった後で今度は「では1・2・3班から手洗いに行って!」と伝えた。すると今度はまた子供たちから「え~、さっきとちが~う!」とまたブーイングが起きてしまった。子供たちにしてみれば静かにしていた4・5・6班から手洗いに行っていいと言われたのに、今度は1・2・3班からどうぞというのでは話が違うという事なのである。私はまた頭をかいて「あそっか!」と気付いてどうしようか、言い直そうかと困っていたところ、2年生のO君が「どっちでもいいんだよ。」と助け舟を出してくれた。O君のおかげでその場は事なきを得た。その時、先にあげた「凸凹のある人間同士が補い合ってやってくんだよ。」という前職でお世話になった方の言葉が思い起こされた。ほんとそのとおりだな~と思ってしまった。もっとも我々は大人で相手は子供なのだからこちらがしっかりしなければならないのは確かなのだが・・・。それにしてもO君の一言は有難かった。優れた人・できる人が統率して皆がそれに従うというのも組織の在り様の1つだが、私には「凸凹のある人間同士が補い合ってやってく」の方が合ってるな~と思った。聞けばO君は少年野球をやっているとの事。なるほどチームプレイをしているO君は人として大切なことを言葉によらず悟っているのかもしれない。私がしっかりしなければならないのも確かだが、O君には大切なことを教わった。ありがとうO君!
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