第329話 俺の背中を・・・

文字数 1,831文字

 今日職場の学童で、6年女子の2人が聞こえよがしに言ってきた。
「陰口言わない人なんていないよね~。」
どうやら私が陰口を嫌いだというのをどこかで聞きかじったらしい。
それに対するアンサーというわけでもないが、面白いテーマではあるので以下に私の考えを述べたい。

 まず、正確には、私は陰口のすべてを否定するのではない。笑って許せる類のものは構わないし、例えば上司の陰口をスナックのママにこぼしたり、同僚の陰口を直接には関わりのないうちの嫁さんにこぼしたりするのは仕方ない。ただ、チームメイトの陰口をほかのチームメイトにこぼしたり、同僚の陰口を同じ課の他の同僚にこぼしたりするのは駄目だ。100歩譲って愚劣極まりない。

では何故同じチームの陰口を他のチームメイトにこぼすのが悪いのか?

それは単純にチームを弱くするからだ。

何故弱くなるのか?

第一に人心が暗くなる。
第二にそれが所為で人員が定着しない。
第三に派閥ができる。

からだ。

 第一、第二は今更説明する必要はないだろう。問題は第三だ。陰口が頻発することによってその組織には閥が生まれる。閥のある組織は弱い。なにも一枚岩の組織が良いと言っているのではない。組織には多様な価値観があって良いはずだ。ただ閥をつくってはならない。何度も言うが閥のある組織は脆い。
 
 昔、私が勤めていた女子高のバスケット部はインターハイの常連校だった。組織としても規律のある“強い集団”だった。顧問の先生は「目を見てしっかりコミュニケーションとれよ!」と声をかけ、部員同士がすれ違う時は「~強くなれ!」とお互いに声を掛け合っていた。今でも覚えている。

 「強くなれってどういう事だろう?」とその頃はわからなかった。でも今にして思うと「精神的に強くなれよ!人間として強くなれよ!」という意味ではなかったか?50~60人もの大所帯の部活動で何がいけないかって、それは部活内の派閥だ。派閥をつくらないためにできること、それは陰口を言わないことだ。そのためには一人一人が一個人として自立する必要がある。チームが強くなるために、まず1人の人間として、個人として強くなろう!そういう意味でのかけ言葉だったのだ。

 さて、昨今良く優秀な人材という言葉を耳にする。では優秀な人材とは何か?それは何もテストでハイスコアをたたき出す人の事ではない。また、仕事のスキルは時間をかければ誰でも上がってゆく。それよりも上記のようなことを経験と哲学の両面から当然の事としてわきまえている人、そういう人を優秀な人材と言うのだ。だからもし私が起業でもするようなことがもしあれば、サッカー・バスケ・野球。なんでもよいが、履歴書に「インターハイで上位進出」といった経験があれば偏差値の高い大学などでていなくとも即採用したい。強豪と呼ばれるようなチームの出身者ならば「チームメイトの陰口を言わない。なぜならそれがチームを弱くするから。」などという事は当然の如くわきまえているからだ。また、先に述べたことと相矛盾するが、いわゆる偏差値の高い大学を出ていることも重要だ。何故なら、大学受験とは個人戦に見えてその実、団体戦に他ならないからだ。お互いに切磋琢磨する空気を醸成できた学年集団は受験にも強い。反対に陰口を言い合っていたような学年集団が受験でいい結果を収めた例など聞いたことがない。その辺のことを、いわゆる進学校の先生方は熟知している。学歴だって馬鹿にはできない。

 だから、もしこの文章を読んでくださる方々の中に十代の方がいるならば運動にも勉強にも頑張ってほしい。そうやって一生懸命になる中で必ず得るものがあるからだ!結果も大事だが一生懸命に取り組んだその過程に、後の人生で役に立つ宝物が眠っているのだ。勉強も運動もがんばれ!

 さて話は戻る。こういったことを当たり前にわきまえている人がチームの多数派であるならばそのチームは強い。もしそうでないならば・・・。話は簡単だ。これからそうなればよい!えっどうやってそうなるのかって?それは簡単だ。

ほかの誰でもない。俺の背中をよく見てな!

としか言いようがない。
まるきり冗談に聞こえないところが私の置かれた状況のムツカシサを表している。

 でも本当、チームメイトの陰口をほかのチームメイトに言っちゃいけないよ。巡り巡って自分のためにならないから。真心から言っているんだ。よく聞いたほうがいい。

そんなわけで明日も仕事頑張ろう!

明日がよい日でありますように。
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