第137話 贅沢な人生

文字数 718文字

 贅沢が苦手だ。服はユニクロかせいぜい無印で十分だし、ごはんには納豆があれば十分だ。車は国産の軽自動車で十分だし、腕時計はamazonで6500円の品をもう何年も使っている。要は贅沢が似合わないのだ。自分はつくづく金のかからない人間だな。贅沢のできない性分なんだな。と思っていた。ところがそうでもなかったらしい。どういうことか?以下に記す。
 
 先日、ある数学者のエッセイを読んだ。その数学者曰く、自分は風呂掃除をしていてある時、ふと数学の証明が解けたりするとの事。つまり1つの事をずっと考えているのだ。何をしていてもその証明の事が頭から離れない。そしてふとした拍子、例えば風呂掃除などしているときにハッと閃く。で、思ったのだが、それって凄く贅沢な時間の使い方なのではないだろうか?デスクワークの達人などと呼ばれる人は、左肩と頬の間に受話器を挟み、目線と右手で部下に指示を出し、頭では別の事を考えている。そんな事が日常茶飯事である。そのように忙しない時間の使い方をする人がいる一方で、この数学者の時間の使い方のなんと贅沢な事か?もちろん数学者にだって忙しないときはあるのだろうが、それにしても一つの事をずっと考えられるというのは贅沢だ。そして数学者には及ぶべくもないが、私も一つの事をずっと考えるたちだ。そうして考えたことを文章にする。それがこのエッセイである。そう考えるとこれはこれで贅沢な趣味なのだ。
 あー俺って結構贅沢な人間なんだな。と思った次第だ。さてこの文章をお読みの皆さんはどうですか?贅沢してますか?贅沢の定義は人それぞれでしょうが、それが素敵である事は確かです。物質的に、精神的にバランスの取れた贅沢ができると良いですね。
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