第6話 呼び名

文字数 1,304文字

「ねえ、何て呼んだらいい?」その昔、私がまだ20代の始め、交際?していた女性が、男女としてある一定の段階を経るごとに聞いてきた。今の私なら「俺の事は殿下って呼んで」とか「俺の事は大佐って呼んで、そしたら俺が『どうしたスネーク』って言うから」(メタルギア ソリッド『プレイステーション:コナミ1998』)と引き出しがたくさんあるのだが、その当時は「なんでもいいよ」と答えるしかなかった。お互いをどう呼び合うかで両者の間柄、難しくいうと関係性が解る。両親との間柄にしても、幼い頃はパパ、ママと呼んでいたのがいつのまにかお父さん、お母さんと呼ぶようになり、それがまたいつの間にか(反抗期?)、母については○○さん、父については名前を呼ばなくなり、そのうちに今度はジョーク的な意味合いを含めておっかさん、オヤジと呼ぶようになった。人と人との関係性って変わっていくものなのだと思う。そのように考えると恋愛とは両者の関係性の変容過程と捉えることができる。その女性は私との関係性を彼女なりに模索していたのだろう。「なんでもいいよ」というのはある意味失礼な返答だったかもしれない。無論その頃はそんなこと解らなかったが・・・。たいして長続きした関係でもなかったが、そういったことは学んだ。何事においてもそうだが人が2人以上集まればそこにドラマ(人間模様)が生まれそのドラマから何かしら学ぶ点がある、というのが私の経験則だ。呼び名という観点から考えるなら相手との関係性が変わるから新たな呼び名が生まれるのか?呼び名を変えるから新たな関係性に変わっていくのか?これまた、卵が先か鶏が先かという話になってしまうが、目の付け所としては面白い。私自身についていえば比較的最近知り合った方々ではハセちゃん、ハセさんと、読んでくれる人達がいて、学生時代からの友人は相手がどんな社会的立場になろうと相変わらず姓で呼び合う仲だし、身近にはお主とか貴方とかお前と呼び合う友人がいる。さしあたってはこういった人達が私の財産かなと思ったりする。意外と幸せな人生かも知れない。ちなみに私が勤めている学童保育では同僚や子供たちからハセッチと呼んでもらっている。長谷川先生ではなく、長谷川さんでもなく、ハセッチというところが絶妙の距離感で面白い。我ながらいい呼び名を思いついた。自分がどう呼ばれたいか?自分と相手との関係性をどう定めたいのか?自分の呼び名を自分でつけるというのはなかなかに興味深い行為だ。一方で私も先輩にあたる同僚の事をニックネーム呼ばせてもらっている。はじめはほんの少しだけ抵抗があった。でもそれを通り越すと何とも絶妙の距離感を保てる。これはいい!呼び名って大切だ。
さてこの文章をお読みの皆さんはパートナーや近しい人達の事をなんと呼んでいますか?関係に行き詰っている方は互いの「呼び名」を変えてみるのも一つの解決策かも知れませんよ。例えば「大佐!」「どうしたスネーク?」のように(笑)。最後にこの文章をお読みの皆さん、筆者である私の事は「ハセッチ」もしくは「ハセガワ」とお呼びいただければ幸いです!是非ステキな関係を築けるといいですね!
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