第143話 叱る

文字数 828文字

 叱るのが下手だ。叱るどころかどうも私は児童・生徒になめられてしまうきらいがある。女子高教師時代はそれでも、授業で専門教科を頑張ってこれでどうだ!と、博識なところ?を見せると生徒たちは言う事を聞いた。それでも着任1年目はてこずったものだ。それが現在の学童では慣れない業務の上、まだ勤めて日も浅い。児童になめられてしまうのも致し方無いのかもしれない。まあ自分ではそれはそれでいいのではないかとも思っている。少し舐められているくらいの方が、児童も素の自分を出してくれる。距離が近い。あまりになめられまいと肩肘張ると児童は遠のいていってしまう。この辺の距離感が難しい。児童が恐れて近づいてこないようでもなんだし、かといって児童から好かれ過ぎて友達感覚でなめられてしまうのも問題だ。ある年配の、もう現役を退かれて今はパートとして勤めておられる女性の先生がこの辺の塩梅が凄くうまい。いつもは児童からすごく慕われているのだが、叱る時は非常に上手に叱る。伝えるべきことはきちんと伝えて、それでいて児童を委縮させない。包み込むような優しさがある。ある時その先生に秘訣を聞いてみた。すると「そうね、経験もあるでしょうね。でも私も自分の子供にはうまく叱れなかったのよ。感情的になっちゃうからね。」との事。という事は叱る時は感情的になってはいけないのだ。叱るのに感情が付随すると怒るになるのだろう?叱るのと怒るのは確かに違う。怒るのは感情的な行為で、叱るのは理性的で叱られる側に対して、どこかに逃げ道をつくっといてやるような気がする。そして見失いがちなのが、叱る人の集団内でのポジショニングだ。この人が叱ってもだめだけど、あの人が叱ったら言う事を聞くというのはよくある話だ。そういった事も含めて、その年配の先生は非常に叱るのが上手だ。どこかユーモアすら感じさせる叱り方だ。いつかあんな風に上手に叱れるようになりたい。その為にもまずは日々の業務を滞りなく行えるようにならなければ。
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