意味の与え主

文字数 5,840文字

 8.

 結論から言うと、アリーは殺され、アリーを殺した日輪連盟の殺し屋はトビィに殺された。
「俺、獲物を横取りされるの嫌いなんですよね」
 これは本当に偶然の出来事だが、悲運の少女暗殺者アリーがタターリス本部に戻る途中で入り込んだのは、日輪連盟が新しく入植した王領の暗殺組織が最近根城と決めた地区で、その地区で連盟の殺し屋を手にかけたトビィは結果として蜂の巣をつついたことになった。だがそんなことはお構いなし。彼らは兄弟揃って同じ興奮に取り憑かれていた。奴らを殺すか自分が死ぬかという、魅力に満ちた恐怖。興奮が去った後の虚無の予感。
「二階に気をつけろ」
 トビィは赤目を失ったが、まだアズを失ってはいなかった。
「わかってるよ」
 アズは二階に狙撃手が潜む廃屋の扉を蹴り開けようとしたが、その前に扉は内側から開いた。結果として扉を開けた殺し屋の胸に蹴りをお見舞いすることとなった。
 路地や戸口から飛び出してきた殺し屋を三人殺したところで、連盟の殺し屋はそう大したことはないとトビィは評価した。コブレンの地形に不慣れだからかもしれないし、相手が二人しかいないことを把握していないからかもしれない。長旅の疲れのせいかもしれない。
 だが、仲間内で密集すれば二階の狙撃手が役立たずになることさえ忘れてしまうとは。
 結局、廃屋の二階にいた射手は、死体となって弩もろとも鋪道に落下した。
「はいはーい、日輪連盟の殺し屋さんたちこんばんはー」
 四つ辻で、血まみれのトビィが月牙を肩に担いで挨拶すると、四方を取り囲む殺し屋たちは警戒して間合いをとった。
「今日は南西領で一番ヤバい暗殺組織、コブレン自警団を覚えてもらいにきました〜」
 その間にも、アズは圧雪で滑りやすくなった道路へ別の集団を追い込んでいく。その悲鳴と人の倒れる音を背後に、トビィは踵を軸にして、踊るように斬り込んだ。
 と見せかけて、くるりと半回転して背後から斬りかかってきた男の剣を叩き落とす。もう一回転。続く一撃で二人の喉を切り裂いた。
「君たち弱いね。ちょっと情けないんじゃない? 親の顔を見てみたいよ」
「ふざけるな!」
 殺し屋たちは密集してトビィを袋叩きにしようと襲いかかったが、トビィは月牙の柄を回転させ、柄の反対に取り付けた分銅で真正面にいた槍使いの頭をかち割った。そうして正面を突破した。
 トビィを仕留め損ねた二人の剣士が相討ちするのを、振り返って見た。
 挑発。
「はい、親の顔不可避〜!」
 戦うトビィの声と殺戮の物音は、別の殺し屋たちを追い込むアズの耳にも聞こえていた。実際のところ、彼らはアズの敵ではなかった。
 彼らは砂漠から来た。あるいはステップから来た。彼らは標高の高いコブレンに慣れていなかった。複雑な地形に、曲がりくねった街路に慣れていなかった。鉱山街の道路の滑りやすさに慣れていなかった。慣れるには数世代が必要だろう。地球人風の――コブレン自警団の殺し屋はこの手の教養も叩き込まれている――言いかたをすれば、彼らは岩の上に撒かれた種だ。芽を出すことはない。仮に芽を出しても、すぐに枯れる。数世代も待つ必要などないのだ。
 鋲のついた靴で圧雪の上を歩き、転んだ殺し屋の一人にとどめを刺すとき、アズの頭に浮かんだのは不思議と両親のことだった。
 夢かもしれなかった。現実であるならば、母は銀色の髪をしていた。父は見事な赤毛。三つか四つになるまで、アズは海辺、それか湖畔に住んでいた。両親は互いの体に腕を回し、寄り添いあって水平線に沈む夕陽を見つめている。愛の記憶――。
「クソが!」
「お行儀悪いですねぇ」残り三人。「一生に一度の命日ぐらい、口を慎んではいかかです?」
 ま、俺の命日は二回あるみたいだけど。
 残り二人。
 トビィの喉からは、あの、ヒュウヒュウという風の音が鳴り始めていた。肺を傷つけられて以来つきまとう風の音が。
 甘いんですよ、あなた方。トビィは戦斧を振り下ろしながら考えた。星獣兵器がやられた時点で、次は自分たちの番だってわかっていなきゃいけなかったのに!
 喉から風の音がしていなければ、実際に口に出すつもりだった。まあいいや。みんな俺の敗者復活戦に華を添えてくれてありがとー!
「俺、最近自己紹介に目覚めたんですよね」
 最後の一人は逃げようとした。
「はい! あなたを殺す男の名は!」
 背中に斬りつける。
「ト・ビ・ア・ス」一音ごとに背中を切り刻み、「オーサー!」最後に月牙で首を掻き切った。

 ※

 子供の頃のトビィがどんなだったかアズは覚えている。とにかく面倒見がよかった。アズが鍛錬に集中できたのはひとえにそのお陰だった。年少の弟子たちが、何かあればアズではなくトビィを頼るからだった。
 トビィが俺を序列一位にしてくれたのだとアズは思っていた。いつもミスリルと二位争いをしていたトビィ。トビィが序列一位であってもおかしくはなかった。
 ひとまず休憩だ。
 座り込む路地裏で、アズの隣ではトビィがまだ喉を鳴らしている。
 今この終末を、母はどこで迎えているのだろうか。海岸または湖畔の家にまだ住んでいるだろうか。その砂浜で砂遊びをしていた二人の息子の幻影を見ているのだろうか。今も、世界のどこかで悲しい目をして夫と二人の息子の帰りを待っているのだろうか。
 兄弟二人きりになった後、トビィはよく笑う子供になった。無理をしていたのだと、今ならわかる。自警団の大人たちの中に積極的に交わりに行き、隅でじっと見つめているアズの手を引っ張ってはこう紹介したものだ。「この子ね、アズっていうの。ぼくの弟」トビィはどうすれば大人にかわいがってもらえるかよくわかっている子供だった。アズはそうではなかった。
 アズはよく『家出』をした。そうすれば自警団の大人たちは必死になって探してくれた。探してもらえる、探されるだけの値打ちが自分にはある、それだけで満足だった。満足のあとには罪悪感が残った。
 トビィは家出はしなかったが、代わりに虫を虐殺した。誰にも気付かれていないと思っていたのだろう。十歳になるかならないかの頃、トビィが畜舎の裏でうずくまって何かに熱中しているのをアズはたまたま見かけた。気配を殺して近付くと――いつもニコニコ笑顔のトビィは真顔で、怖いくらい真顔で――翅のない蝶の脚を無心にもいでいた。
「トビィ」
 身を寄せ合う兄は、喉から音をさせたまま返事をした。
「どうしたの?」
「無理をさせてすまない」
「なに、急に」
 一緒に生まれてきたはずなのに、トビィはアズより先に大人になったのだ。笑顔で自分の心を殺し、アズの心を守ってきた。
「無理なんてしてないよ」
 二人は雪で手と顔をそそいでいたが、十分ではなかった。頭のてっぺんから爪先まで血まみれで、遠くで誰かが爆竹を鳴らしていて、広場で歌と踊りをやめさせられた市民たちが、別の歌を始めた。口笛と手拍子、足拍子。賢明なるコブレン市民の処世術、『理不尽なら手を叩こう』だ。
「レミはどうしてるかな」
「心配か?」
「心配っていうか、うん、まあ」
 トビィは微笑んで誤魔化した。
「レミもさ、いい意味で子供のままだよね」
「どういう意味で?」
「敵をどこまでも追いかけ回す。俺たちには必須の資質だ」
「どうしてそんなことを?」
「昔を思い出してたんだ」
 アズは感心した。こんなときに昔を思い出してしまうところまで俺たちは似ているのか。
「レミ、よく鴨こと木の枝でぶって追いかけ回して泣かせてたじゃん?」
「あいつそんなことしてたのか……」
「悪い子だったよ、レミ鴨は」
「レミも鴨なのか……」
 二人は話をやめた。誰かが来る。
 一人だ。
 殺戮の痕跡を追ってやって来た人物は、乳香の匂いがした。
「いるのだろう」
 (しゃが)れた初老の男の声がした。
「姿を見せろ。刃を抜きはしない。断じて」男は立ち止まる。「話をしよう。預言者キシャと預言の守護者タターリスの名にかけて、私は一人だ」
 それでトビィが、ついでアズが立ち上がり、相手の眼前に姿を晒した。
 天球儀の光に淡く浮かび上がる男の姿にトビィが笑い声を放った。
「見て、超大物がじきじきにお出ましだよ」
 コブレンの暗殺組織の元締め、タターリスの指導者ジェノス。コブレン自警団が最終的に抹殺すべき男。黒衣に身を纏い、剃り上げた頭に刺青をほどこしている。腰には両手剣。だが、それを抜く意志がないことを示すように、両手に鎖を巻きつけて、振り香炉をぶら下げていた。白い煙が寒気にあたって舗道に垂れていく。乳香の匂いの出処(でどころ)はそれだった。
「俺たち大物になったなあ。びっくりして目玉が飛び散るかと思ったよ」
「飛び散るのか……」
 トビィの喉からは、まだあの音がしていた。
「肺をやられたか」
 ジェノスが尋ね、トビィが答える。
「君を討つまでは()つよ」
「私は貴様とレベルの低い言い争いをしに来たのではない」ジェノスは背後にちらりと目をやった。「日輪連盟の殺し屋どもは、我らが根こそぎにする計画を立てていた。それを台無しにした貴様らは、何を望んでいる?」
 今度はアズが答えた。
「お前たちを連盟の殺し屋もろとも根こそぎにすることだ」
 ジェノスは何か言い返そうとしばし頭を巡らせていたが、結局、自嘲気味の笑みをこぼした。
「何がおかしい?」
「我らの争いなど、所詮はコップの中の嵐だ」
(ひび)の入ったコップだね」とトビィ。「だから嵐はさっさとおしまいにしないと、コップが壊れちゃうよ」
「我らタターリスがコップの中の頂点に立ち、均衡を取り戻す。それで嵐は収まる。それが気に入らぬというのなら、今度こそ皆殺しの憂き目に遭うがいい、コブレン自警団よ」
「野心家だね」
「野心も実力のうちだ」
「俺たちの第一の掟は市民の保護だ」アズが吐き捨てた。「野心など」
「で、超大物で敬虔だけど野心家のジェノスおじさんは俺たちに何の用?」
 ジェノスが口を開く直前、トビィは不意に、自分がコブレンの全ての要素を気に入っていたことを自覚した。大物の殺し屋、有象無象の殺し屋、毒殺者、辻斬り、盗人、殺し屋専門に武具を卸す鍛冶屋、トビィに残虐さを発揮する口実をくれる全ての者たち。残虐さを発揮したあと、トビィは人を困惑させるほど愛情深くなる。俺は殺すか死ぬかするのだ、その恐怖と興奮を乗り越えたあとに。で、結局どちらが本当の自分の姿なのだ? どちらもだ。人間は多面的なものだ。同じようにコブレンにもいくつもの顔がある。人々が笑いあい暮らしている平穏な顔も持ち合わせている。
「俺はこの街が好きでね」トビィは言った。「本心だよ。君たちも含めて愛してる」
 何を言うんだと言う目をアズが寄越したが、トビィは頓着しなかった。
「でも、この街の他の要素を圧迫するほど君たちが膨張するなら、見逃せないね」
「地球人の裁定――」
 ジェノスが言いかけたときだった。
 突如、明るさが増した。
 トビィは物悲しい気分になった。自分が世界を愛しているようには、世界は自分を愛してはいない。それがわかった。それでも愛している内は幸せだ。生きている間、一秒でも長く幸せな状態でいること、他に何ができる?
 だから、広場や表通りから、レミも同じく耳にした歓声に似た悲鳴が聞こえてきても、トビィはどこか幸せで満ち足りた気分を保っていた。
 月が、今や天球儀に触れ合わんほどアースフィアに迫っていた。真昼のように明るいのは、月の光の仕業だった。
 星空は今や月の底辺の円弧と天球儀の網目に僅かに見えるだけで、その僅かな暗闇の隙間にジェノスが高笑いを放った。
「見よ、裁きのときは来たり! 次はどのような不思議な御業(みわざ)を――」
「聞きたくない」アズが水を差した。「自分だけは救われると思っている人間は醜い」
「『言葉は人を喰い、人は言葉を喰う』」
 ジェノスは構わず続けた。
「タターリス・エルドバードの『予言』にある預言者キシャの言葉だ――『喰らうということは、対象を消滅させることにあらず。対象を著しく変化させ、(おの)が一部となすことなり。我々は著しく変質させるもの。そして言葉は我々を著しく変質させる』見よ、著しく変質した世界を!」
「確かに変質した。それは認めるよ」月の光の中で、仕方なくトビィは頷いた。「でも、この変質が何を意味するか、君にわかる?」
「意味は我々が身勝手に理解したり付与するものではない」ジェノスは思いもよらぬことを尋ねた。「紙幣というものを知っているか? 地球人統治時代に用いられた金銭だ」
「何それ、知らない」
 トビィは残念に思った。こういう話題が得意なのはミスリルだ。ここにはいない。
「地球人が我らを統治した善き時代、言語生命体は一デニーデルの買い物をするのに、一枚のデニーデル紙幣を用いていたのだよ。紙幣、紙切れだ」
「その紙切れに一デニーデルの値打ちがあるの? どんな高級な紙?」
「紙切れは紙切れだ」
 ジェノスは教えた。世話好きの年長者が若者を諭す口調だった。愛情さえ感じられた。この男にもいろいろな顔があるらしい。
「だが、その紙切れに一デニーデル分の値打ちを保証する存在があった。地球人の統治機構だ。我々は紙幣のようなものだ。我々自体は紙切れ同然の存在だが、意味を付与してくれる上位存在がいる。もっとも、お前たちは地球人を好まぬようだが」
「嫌いすぎて好きになってきたよ」
「我らは意味を知ることになる。自分たちの()る意味を」
 トビィは興味なさそうに肩をすくめた。
「自分たちの在る意味を知るのと、月と天球儀が激突するの、どっちが先だと思う?」
「『予言』にそれに関する記述はない」
「地球人が言語生命体に意味を付与するというのなら」アズは頭上を指差した。「その前に、天球儀を破壊したい。あれは言語生命体をアースフィアに閉じ込める鳥籠だ。あれこそが無意味だ。あれさえぶち壊しにできるなら、地球人から付与される意味などいらない」
 広場では狂騒が起きている。
「俺は地球人が上位存在だとは認めない」
 ジェノスは静かに首を振った。
「鳥籠をなくした飼い鳥は、満足な飛翔もできず、過酷な自然環境と外敵にさらされて滅びていく」
「そうは思わないよ」トビィは言った。「人間がそうであるように、意味が多面的であるのなら、他の道があるはず」
 軍が出動したようだ。人々を追いかけまわす怒鳴り声が響き渡る。
 二人と一人の暗殺者は、じっと互いの顔を見合った。
 話は終わりだ。
 三人は合図もなく路地に散った。群衆が押し寄せてくる前に。


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登場人物紹介

◆ミスリル・フーケ

◆25歳/男性

◆所属:コブレン自警団


『暗殺者を狩る暗殺者』の育成機関、コブレン自警団の団長の一番弟子。正義感が強く、好戦的で熱血だけど気分屋なのでいきなり冷める。自分のことを暗殺者だと思ってるわりに騒々しい。11歳のときに実の母親との間にできた娘が「いないつってんだろっ!!」いません(忖度)。

画像は「このカス野郎をどう始末してやろうか」と思案しているときの顔。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 2作目『鳥籠ノ国』

 外伝『失語の鳥』

◆アエリエ・フーケ

◆27歳/女性

◆所属:コブレン自警団


もとは豪商の娘だったがいろいろあって10歳で浮浪児となり、コブレン自警団に保護された。

女性ながら大鎌をはじめとする長柄武器の扱いに長け、ミスリルの行くところにはどこにでもついて回って敵の生首を刎ね飛ばす。恐い。ちょっと恐い。笑顔がちょっと恐い。足許にひれ伏すと踏んでくれる。マゾは急げ!


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 2作目『鳥籠ノ国』

 外伝『失語の鳥』

◆マリステス・オーサー

◆25歳/男性

◆所属:コブレン自警団


通称テス。鳥好きで頭が緑とかいう実に安直な理由で『真鴨』とか『鴨』とか呼ばれている。

自閉傾向が顕著に強く、表情の変化の乏しさと相俟って「何を考えているのかわからない」という印象を与えがちだが、感じる力も考える力も強いほう。

コミュ障の自覚があるため、コミュ力の高い兄弟子のトビィに対してとても屈託している(嫌ってるわけではない(むしろ大好き(面倒くさいタイプ)))。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 2作目『鳥籠ノ国』

 外伝『失語の鳥』

◆アザリアス・オーサー

◆27歳/男性

◆所属:コブレン自警団


通称アズ。自警団の武術師範の一人であるオーサー師の一番弟子。30歳以下の自警団主力戦闘員の中では第一位の戦闘能力を持つ。

戦いになると実に容赦ないが、素の性格はシャイで温厚。天然だけど人から天然って言われると傷つく(繊細)。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 外伝『使者と死者の迷宮』

◆トビアス・オーサー

◆27歳/男性

◆所属:コブレン自警団


通称トビィ。アズの双子の兄弟。長柄武器を得意とするほか、犬を訓練する技能を持つ。陽気でとっても優しくて、子供と動物が大好きな親しみやすいお兄さんだよ! たまに笑いながら人殺しちゃうけど……。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 外伝『使者と死者の迷宮』

◆レミ・イスタル

◆25歳/女性

◆所属:コブレン自警団


イスタル師の二番弟子。朝寝坊クイーン。三人一組が基本となる重要な仕事ではアズ&トビィと組むことが多く、この二人と一緒にいる日は朝自分から起きてこない。

生真面目かつ強気にふるまっている反動か、妹のようにかわいがってくれる人の前では子供のように無邪気な態度になる。かと思えば妙に機嫌が悪いときもある。特に朝。朝。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 外伝『使者と死者の迷宮』

◆リレーネ・リリクレスト

◆17歳/女性

◆所属:北方領リリクレスト公爵家


北方領リリクレスト家の公女だが、他家に嫁がせるためのお飾りとして育てられた。でも根が逞しいので環境への適応力が高い。


リリクレスト家は惑星アースフィアが移住可能な環境になる遥か以前から続く古い家であり、その血筋は地球における最初の10体の言語生命体試作品にまで遡るとされている。

それゆえ言語生命体の神である地球人からさえも重んじられ、宇宙戦争が行われた時代に授与された宝冠が数千年ものあいだ家宝として受け継がれてきたがリレーネが6歳のときに壊しちゃった。昔お転婆だったから壊しちゃった。

6歳だけどさすがにこれはヤバイと思って庭に埋めてしまった。

家じゅう大騒ぎになってたけど無駄に意志が固いので沈黙を守り抜いた。

ときおり思い出して寝れなくなる。

たぶん今も埋まっている。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆リージェス・アークライト

◆22歳/男性

◆所属:北方領陸軍


北方領陸軍で最もぼっち飯が似合う男と恐れられる若き護衛武官。階級は少尉。士官学生時代は優等生だった。毎日ぼっち飯だったけど。

なんだかんだでお人好しなので、試験の前にノートを貸してくれと泣き付かれて貸したら試験が終わるまで返ってこなかったりしたタイプ。怒っていいと思う。


巻き込まれ型の不幸体質なので登場するたびにひどい目に遭う。

仮にもシリーズ第1作目のメインヒーローが何故このような扱いをされるのかと思うと不憫で笑いが止まらない。

ごめん間違えた。

涙が止まらない。


とってつけたように言うけどリレーネ付きの護衛である。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

(過去作での名はリージェス・メリルクロウ)

◆パンジェニー・ロクシ

◆22歳/女性

◆所属:北方領陸軍


北方領の護衛武官。試験が終わるまでリージェスにノートを返さなかった犯人。

本編ではリレーネとリージェスが南西領に潜入するのに協力したが、コブレンの手前ではぐれたらしい。過去作を読まれた方のうちの実に99%以上が忘却の彼方へと葬り去ったであろう、シリーズ一作目からのリベンジャー。それでは一言意気込みをどうぞ。

「パンジーって呼んでよ(血涙)」


◆初登場回:8章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

◆リアンセ・ホーリーバーチ

◆24歳/女性

◆所属:南西領陸軍(解放軍)


陸軍情報部の間諜。間諜は単独での潜入が必要となる任務が多いため、油断を誘うべく実年齢より幼く見える格好を普段からしている。上腕二頭筋とかムキムキだけど。任務のためだけでなく、本人もかわいい服や小物が大好きである。背筋とかゴリゴリだけど。その甲斐あってか潜入や工作の成功率が非常に高く、情報部内ですら(服の上からの)外見に騙される者が一定数いる。腹筋とかバキバキだけど。

でもそれは、強くなければ生き残れないことをよく知っているからこそ。毒舌だったり辛辣なところがあるけれど、姉と妹のことは大好きな三姉妹の次女。

シリーズ1作目からいるけど登場するたびに箍が外れていく。


◆初登場回:4章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆シルヴェリア・ダーシェルナキ

◆20歳/女性

◆所属:南西領陸軍(解放軍)


南西領総督シグレイの長子。自分の軍隊が欲しくて18歳のお誕生日に少将の官位を買ってしまった(買ってしまった)。

買官によって権威を得た者に武官たちが向ける目は冷ややかなものだが、シルヴェリアは卓抜した手腕によってたちまち最悪の評価を覆した。

ただし露出の多い服装で人前に出たり、高貴な身分の人間が口にすべきでない単語や言いまわしを使いこなしたり、好色が過ぎて男女問わず手を出したりと問題行動が多い。


弟妹が5人いるのだが、2歳年下の妹エーリカには嫌われている。

もともとプライドが高いエーリカのコンプレックスを刺激しがちなうえ、10歳の頃にエーリカが丁寧に作った押し花を目の前でムッシャムッシャバリボリと貪り食ってからは蛇蝎の如く嫌われている。

何故そんなことをしたのか全くわからない点もまた嫌われている。

しかも父シグレイがその件でシルヴェリアを叱責しなかったので必要以上に嫌われている。

まあとにかく嫌われている。

結論:全部パパが悪い。


◆初登場回:4章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆フェン・アルドロス

◆37歳/女性

◆所属:南西領陸軍(解放軍)


シルヴェリアの副官。美少年のような色香を漂わせる37歳独身美熟女というちょっとどういう層を狙っているのかよくわからない逸材。お遊びの度が過ぎ、陸軍司令部で17股をかけていたことがばれて無事職場の人間関係を崩壊させる。

前線送りとなった先で出会ったシルヴェリアとはすぐに意気投合し、同性の愛人の座を獲得した。

しかしながら誰にでも見境なくちょっかいを出すわけではなく、性的合意があっても未熟過ぎたり責任能力のない相手には一切手出ししない。当たり前のことなんだけど……。

シオネビュラ神官団のメイファ・アルドロスの実の姉。


◆初登場回:4章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆マグダリス・ヨリス

◆35歳/男性

◆所属:南西領陸軍(解放軍)


歩兵精鋭部隊を指揮する大隊長だったが、編成中だった親衛連隊内の一個大隊を鍛えるべくシルヴェリアに抜擢されていた。階級は少佐。陸軍内においては『歩く殺戮装置』とか『三つ編み三十代』とか陰口を叩かれる。

高潔さと冷酷さを併せ持ち、他人に厳しいが自分に対してはもっと厳しいので立場の弱い者たちからは愛されている。

ときに行動が大胆なだけでなく、天才的な剣の腕を持つため恐い人だと思われることもしばしば。大丈夫。恐くない。たまに一人で百人殺しちゃうだけだ。よくあるよくある。


◆初登場回:5章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ヴァンスベール・リンセル

◆20歳/男性

◆所属:南西領陸軍


通称ヴァン。前線部隊に配属されたばかりの士官学校の新卒。リンセル家は海軍士官を多く輩出する家柄だが、本人曰く「伯父さんが恐いから陸軍に来た」。でも本当は船酔いするからである。実は馬にも酔う。

一見してそんなに強そうには見えないけれど実力派のダークホース。士官学校の剣術の成績は一、二を争うレベルだった。なお座学に関しては下から一、二を争うレベルだった模様。


◆初登場回:12章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆プリシラ・ホーリーバーチ

◆20歳/女性

◆所属:南西領陸軍


通称プリス。ロザリア、リアンセに続くホーリーバーチ家三姉妹の三女。お姉ちゃんたちが大好きで、リアンセが父親を見限って西方領を出奔するとき一緒に家を出てしまった。

11歳で家をでた娘を心配して母親は父に内緒で送金してくれたのだが、そのお金で「神学校に通う」と嘘をついて陸軍士官学校を卒業。

性格は明るく大胆で、良くも悪くも自分に正直。

陸軍広報部徴募部隊所属。ヴァンとは士官学校の同期の間柄。


◆初登場回:12章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆アイオラ・コティー

◆26歳/女性

◆所属:南西領陸軍(解放軍)


南西領陸軍の歩兵部隊指揮官で、階級は中尉。弓術・馬術に秀でるほか、詩人の才をも併せ持つ画伯。特に男性同士の濃厚な接触の模様を描いた画を得意とし、それらの作品は女性士官たちの間でひっそりと流通している。

反乱によって中隊を追われたのちは手許にある過去作と新作を火にくべてから都解放軍に合流。「いつどこで討ち死にしようともこれで私の秘密は守られる」と思ったようだが、まさかこんなところでバラされているとは夢にも思うまい。


◆初登場回:20章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ララセル・ハーティ

◆24歳/女性

◆所属:南西領陸軍


エーリカの専属護衛で、侍従長を兼任する。階級は大尉。クールビューティーなので周囲から勝手に有能そうだと期待されるけど、何かが人よりずば抜けているわけではないので結局勝手にがっかりされる。

冷たい印象の見た目に反して性格は至って素朴で素直。「あっち向いてホイ→」ってやったら全く何の疑問も抱かずに顔を「→」ってやっちゃうくらい素直。褒められて伸びるタイプだと思う。かわいがってあげて……カワイガッテアゲテ……カッ…………カワイガッ…テ…………………………カ……………ゲテ……………………。


◆初登場回:21章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆エーリカ・ダーシェルナキ

◆18歳/女性

◆所属:南西領ダーシェルナキ公爵家


ダーシェルナキ家の第二子。こじらせてるシスコン。

グロリアナ領主ゼラ・セレテスに言い寄って困らせているけど自分は四十手前のトリエスタ伯に言い寄られて困っている。

それではトリエスタ伯に一言

「死にさらせですわ!」

口汚ぇですわ。

そして怖くて誰も指摘しないんだけどインテリアの趣味が悪い。


◆初登場回:10章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ミサヤ・クサナギ

◆31歳/女性

◆所属:ソラート神官団


ソラート神官団二位神官将補。農民の出だが村をあげての推挙と資金援助を得て高位聖職者になる夢を叶えた地元大好きお姉さん。それでは南東領ソラート地方のいいところを語っていただきましょう。



「ソラートの富の源は潤沢な湧き水にある。平原を裂いて流れる水と温暖な気候は滋味豊かな作物を育て、その地方の最も貧しい村の民ですら、まず飢え渇くということがない。澄んだ空気と穏やかな野山に囲まれた環境が人を朗らかにすることから療養地としての人気も高い。かくいう私の夫も、喘息の治療のため幼少期に都から移り住んだ口だ。田舎にありがちな排他的な空気もソラートにはなく、そのため移り住む者がもたらす知識や技術が容易に根付き、その地をさらに住みよい場所にするのだ。無論、これほど恵まれた土地であるから、無闇に野山を切り開いたり、または武力で支配しようとする者たちも多くいた。一つはっきり断っておきたいのだが、住民が温和であることは、侵入者や圧政者への従順とは結びつかない。歴代の……(※これがあと30分続く)


◆初登場回:15章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆ゾレア

◆14歳/女性

◆所属:ソラート神官団


ソラート神官団の従軍歌流民。浮世離れしたミステリアスな少女(※ぼーっとしているだけだ)。


歌流民とは、野山に身を置く流浪の民。大陸中に散らばる彼らは共通する生活様式を持っており、すなわち氏族の歌い手は、歌うときしか声を出さない。

ゾレアの氏族は戦時に歌を売るのみでなく、平時にキノコや薬草を原料とする丸薬を作っていた。歌流民の神秘の力で病が癒されるという思い込みによって服用者の本来の自然治癒力を引き出し、さも薬が効いているかのように見せかけるただの黒い粒である。人体って不思議。

ソラートの住人たちは知っているので買わない。「本体価格よりレジにて20%オフ」とか言われても買わない。


◆初登場回:15章

◆シリーズの他の登場作品

 なし

◆エルーシヤ

◆17歳/女性

◆所属:-


ゾレアと同じく歌流民の少女であり、歌うときにしか声を出さない。その生活で得た不思議な感性を有しておれど、中身は普通の女の子。田舎暮らしが嫌になって逃げてきてしまった。今は陸軍広報部のプリシラ・ホーリーバーチ少尉と行動を共にしている。


都の星獣祭で配られる胡桃の護符は、北ルナリアやグロリアナの山塊を塒とする彼女の氏族が歌によって清めながら作るものだ。胡桃の可食部はクッキーにしてグロリアナの周辺で売られる。商品名は「グロリアナに行ってきましたクッキー」とかだろうか。知らんけど。


ちなみに「エルーシヤ」は歌流民の中でありふれた女性名であり、『失語の鳥』の番外編に出てくるエルーシヤとは完全に別人。


◆初登場回:12章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆マナ

◆14歳(※肉体年齢)/女性

◆所属:-


旅の途中でミスリルが出会う謎めいた少女。自称ミスリルの娘。もし本当に娘だったらミスリルが11歳のときの子になるのだが、当然ながら彼に心当たりはない。心当たりどころか女性と手を繋いで街を歩いたことすらない。

14歳という年齢は推定であり自称。なお生まれてきたとき既に14歳だった。


◆初登場回:6章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆シンクルス・ライトアロー

◆25歳/男性

◆所属:ヨリスタルジェニカ神官団


ヨリスタルジェニカ神官団正位神官将。政争によって傾きかけた西方領の名家の嫡男で、家の再興のために父親によって南西領に送り込まれた。古風な喋り方が特徴だが、ここだけの話普通に喋ろうと思えば喋れる。


過集中と注意力散漫を繰り返す。黙ってさえいればとても美形なのにいらんことまでよく喋る。実家は太いが傾きかけている。頭が良くて弁も立つけどこれっぽっちも自重できない。

そんな残念なタイプの天才だが、物事は前向きに考えよう。

普段はあちらこちらに興味の対象が移ろうが、並外れた集中力を発揮した際の成果は素晴らしい。近寄りがたいほどの美形だが、中身は気さくで親しみやすい。実家も傾きかけたとはいえまだ太い。自然に振る舞うだけで目立ってしまうのは自信家で聡明だからである。

残念なタイプの天才なのではない。

天才なタイプの残念なのだ。


◆初登場回:5章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ロザリア・ライトアロー

◆25歳/女性

◆所属:ヨリスタルジェニカ神官団


正位神官将夫人。シンクルスの妻であり、リアンセとプリスの姉。西方領出身。

シンクルスと初めて顔を合わせたのは三歳のときで、このとき既にライトアロー家とホーリーバーチ家の第一子同士として結ばれることが決まっていた。

親同士が決めた結婚とはいえ、成長に従い二人は自然に惹かれあうようになった。

政治的なごたごたから逃れるべく、ロザリアとシンクルスは南西領の神学校に入り直すことが決まり家を出る。同じ時期に、リアンセは父親の当主としての資質に疑問を抱き出奔。

家族喧嘩の最中に妹のリアンセ(脳筋)がカッとなって父親の頭を壺でぶん殴り、心配して見に来たシンクルスが我慢できずに腹を抱えて笑うのを見て以来「実はこの人ちょっとバカなんじゃないか」と思っている。


◆初登場回:5章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆レグロ・ヒューム

◆34歳/男性

◆所属:シオネビュラ神官団


シオネビュラ神官団二位神官将。

独特の個性と落ち着きなさゆえに生家では「将来の見込みなし」と冷遇されていたが、実際大人になったら兄弟の中で一番有能だったというオチがつく。たぶんヒューム家はもう終わっとる。

他のことはともかく仕事はできるというタイプ。

何故かしら自分のことを美男子だと思っている(根拠不明)。


◆初登場回:7章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆メイファ・アルドロス

◆32歳/女性

◆所属:シオネビュラ神官団


シオネビュラ神官団二位神官将補を務めるクレイジー長広舌。南西領陸軍のフェン・アルドロスの妹。

アルドロス家の後継がフェンとメイファしかいない事実からお察しいただける通り、もうアルドロス家も終わっとる。

人間としての中身に関しては姉より多少マシなレベル。

甲冑の上から乳首の位置を当てる能力を持っている。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ニコシア・コールディー

◆29歳/女性

◆所属:シオネビュラ神官団


シオネビュラ神官団三位神官将。真面目で責任感が強い性格。二位神官将に対する態度が横柄だが、これでもかつては敬意を払っていた。

出身もシオネビュラ西部で、居城である西神殿の近くに妹夫婦が住んでいる。市内巡行の際など幼い姪が「おばさまー!」と手を振ってくる。

「お姉さまと呼べ」と思っている。


◆初登場回:7章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ミオン・ジェイル

◆25歳/男性

◆所属:シオネビュラ神官団


シオネビュラ神官団三位神官将補。神学校卒業から僅か一年で現在の地位に抜擢された経歴を持つ。振る舞いは優等生然としているが口が悪い。

ジェイル家は家格が低く、神学校には長男である兄しか通えないはずだったが、武芸と学問の両方で兄より優れていることを証明し、進学の権利を勝ち取った。この生い立ちゆえに成果主義者である。

現在の地位を得てから両親は掌を返してちやほやしだしたが、家督を継ぐ気はない。ジェイル家も終わっとる。


◆初登場回:7章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ゼラ・セレテス

◆25歳/男性

◆所属:ソレリア民兵団


グロリアナ領主にしてソレリア民兵団代表。セレテス家は吹けば飛ぶような底辺領主(((失礼)))ながら、質実剛健を旨とする家風によってグロリアナ領を堅実に治めてきた。

セレテス流炎剣術の継承者。一子相伝なので、ゼラが死んだら剣術も絶える。


性格はやや強情で、数年前に自分で育てた野菜を上流貴族の客に供したところ「痩せた土で育った貧乏くさい味」と馬鹿にされ、「嫌なら召し上がらなくて結構でございます」と言って皿を下げ父親にこっぴどく怒られた。

以来、気にいらない客に対しては問答無用で畑を手伝わせている。


◆初登場回:3章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

付録◆アースフィア世界の度量衡


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◇長さの単位


基本単位はセスタセリオン。地域や職業によってセスタ尺とセリオン尺が使い分けられる。


1セスタ=2.5㎝

1セリオン=7.5㎝

1リセスタ(1リセリオン)=1/10セスタ(1/10セリオン)

1ニ―セスタ(1二―セリオン)=100セスタ(100セリオン)

1デセスタ(1デセリオン)=100ニーセスタ(100ニ―セリオン)

1クレッセスタ(1クレッセリオン)=10デセスタ(10デセリオン)


言語生命体たちが地球で創造主たちと暮らしていた時代、言語生命体の独立をかけた戦に異を唱え、地球人信仰を保つよう呼びかけた姉弟がいた。

姉の名はセスタ。弟の名はセリオン。

二人は同胞によって捕らえられ、両手をすりおろす拷問にかけられた。

救出されたとき、セスタの手首の関節より先の長さは2.5㎝、セリオンは7.5㎝しか残っていなかったと伝えられる。


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◇重さの単位


基本単位はケララ

ケララは麦をさす言葉だが、教会の伝統において典礼及び典礼聖歌を意味することもある。


1ケララ=2.5g

1リケララ=1/10ケララ

1ニーケララ=100ケララ

1デケララ=100ニーケララ

1クレスケララ=10デケララ


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◇体積の単位


基本体積はダータ。野蜜の意であり、血液ないし精液を暗喩する。


1ダータ=25ml

リダータ=1/10ダータ

ニーダータ=100ダータ

デダータ=100ニーダータ

クレスダータ=10デダータ

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