終末の光景(怒り)

文字数 5,606文字

 ※

 さすが大都市シオネビュラは喧騒の規模が違った。
 太陽が東から昇っても、人々は腹を立てていた。
「月が消えちまったんだよ! いきなりさ。パッと、魔法みたいにね。あたしは祈ってる最中だった。月を見てる最中だったんだよ。それが消えちまった!」
「俺も見た!」
 男が追従(ついしょう)する。
 大通りは人で溢れていた。通行するだけの人もいれば、ただ手持ち無沙汰で街路の端に座り込み、喚き騒ぐ人に虚ろな視線を向けるだけの人もいる。
「月は地球人たちがアースフィアに向ける慈悲の顔! それが消えちまった!」
 今度は野次が飛んだ。
「そんな言い伝え、聞いたことねぇぞ!」
「異端の教えだわ!」老婦人が叫ぶ。「ああいう輩がいるから裁きがくだるのよ!」
 怒鳴り声を上げて人を追い散らしながら、荷車の一団がやってきた。工業地区から南神殿へと大量の矢を納入に行く運搬業者たちだ。
 もともと道の端にいたカルナデルとアルマは、近くの建物の煉瓦の壁に背中をピタリとくっつけた。すぐに、他の人々に圧迫された。
「神官団は何をやってるんだ!」
 怒りの矛先は運搬業者たちに向けられた。
「何が起きてるかわかる奴はいないのかよ!」
「何が創造主(地球人)の叡智の守護者だ!」
 とんだとばっちりで、業者たちは顔や腕を引っ掻かれたり、帽子を引ったくられたりしながら荷を曳いていった。
 彼らが去ると、今度は市民たちは隣人同士で喧嘩を始めた。
「おめぇ、人の足踏んづけて謝りもしねぇのかよ、あっ!?」
 それを機に、民衆は散り始めた。
 現在開放されているシオネビュラの門は北門のみで、生憎と、アルマの実家は市を南に突っ切った海岸沿いにあるという。
 夕暮れどき、二人は市の中心部に宿をとった。アルマは故郷に戻って落ち着いたのか、または宿の壁が厚いのか、その夜は隣室のすすり泣きは聞こえなかった。
「やめてよね、今更!」
 夜更け、眠れぬカルナデルの耳に街路の言い争いが届いた。
「今更なんてことはない。僕たち五年も付き合った仲じゃないか。今日になってわかったんだ。ねえ、僕、目が覚めたんだよ。世界が終わるとき君に寄り添ってあげられるのは僕だけだって」
「わけわかんない。世界は終わらないし、私にはもう結婚する相手がいるの。知ってるでしょ!」
「ああ、君の心は僕が一番よく知ってるよ。君は僕を嫉妬させようとしてあいつを連れてきたんだろ? でも」
「うるせぇぞ、馬鹿ども!」
 誰かが扉を開け放ち、二人に水をぶちまけた。
「よそでやれ!」
 少しの間、男女はまだぶつぶつ言っていたが、じきに聞こえなくなった。
 結局、その夜の寝つきは遅く、目覚めは早かった。カルナデルが寝床を出たとき、外はうっすら明るかった。まだ零刻の鐘は鳴っていない。都市の大多数の人々は、できる限り平常心で、いつも通りの日常を始めようとしていた。
 向かいのパン屋が、大きな窓の向こうで一晩寝かせた生地を切り始めた。その隣の家では少年が牛に乾草を食べさせている。朝の散歩をする老人がいた。カルナデルも散歩をすることにした。気分転換が必要だった。それに、アルマにとってそうであるように、カルナデルにとってもシオネビュラは故郷だ。この宿のある辺りのことは多少知っていた。
 近くに、海を見下ろす戦没者墓地があったはずだ。そこを一周して戻ってこよう。
 マントを着て外に出た。ほとんど風のない、優しい夜明けだった。戦没者墓地の出入口は常時開放されている。墓地の歩道からは、目覚めゆく都市と、この惑星を包み込む天球儀の淡い光が水平線と接する様子が見下ろせた。
 歩道沿いのベンチに、三十前後の女性が一人で座っていた。その横顔が眼差(まなざ)す先では、幼い女の子が歌いながら墓を磨いている。
 女性は近付いてくるカルナデルに気がつくと、じっと凝視した。警戒している様子ではない。不安で、寂しくて、人と話したくて仕方がないように見えた。
「おはようございます」
 足を止めて話しかけると、女性はほっとして笑みを浮かべた。
「ええ、おはようございます。今日はちゃんと夜が明けましたね」
「ええ、ちゃんと」
 隣に腰を下ろす。女性に見守られながら、女の子は歌い続けていた。
 カルナデルのほうから話を振った。
「いつもこの時間に来られるのですか?」
「ええ。あのおかしな夜が来て以来、できるだけあの子を父親のそばにいさせてあげたくて……こんな形ですが」
「娘さんですか?」
「ええ」
「かわいい子ですね」
「ありがとうございます」
 沈黙を挟み、女性は言葉を繋いだ。
「今の時間が、一番ゆっくりできるんです。零刻を過ぎるといろいろな活動家たちが出てきます。その人たちに無理矢理祈らされるのは嫌ですから。娘のためにも良くありません」
「何て言って祈らされるんですか?」
「この異変は戦争の罰だとか、星獣兵器を創った罰だとか……でも結局、最後は同じで、悔い改めよと。でも、そんなこと、私たちの世界が壊れてしまったことと関係がありますか?」
 言ってから、女性は自分が何を言ったか気付いたようだった。
 表情が凍りつく。
 私たちの世界が。
 壊れてしまった。
「壊れてしまった」カルナデルは呟く。「確かにもう、異変が起こる以前の日常には戻れないかもしれませんね」
「そうかもしれません。本当に世界が滅ぶのか……でも」
 女性は顔の筋肉をほぐすように、ゆっくり目を細めたり微笑んだりしながら娘に目を戻した。
「もしそうだとしても……たとえあの子が六歳で死ななくてはいけないとしても、そのことをあの子に不幸だと思ってほしくないんです。生まれてこないほうがよかったなんてことは、決して」

 ※

 アルマの実家は海岸線にほど近い庭付きの邸宅だった。門番の詰所があるが、今はもう番人を雇っていないようだ。アルマは自分で門扉を開け、庭を突っ切って前階段を上がるとノッカーで扉を叩いた。
 召使いが返事をし、玄関扉を開く。土気色の顔の、老いた女性の召使いだ。彼女は戸口のアルマに会うや、ほとんど卒倒せんばかりに青ざめ、両手で口を押さえた。
 アルマが平然と尋ねる。
「パパはいる?」
 召使いはそれに直接答えず、よろめきながら屋敷の奥に逃げ込んでいった。
「ご主人様、大変です! アルマお嬢様が戻って来られました!」
 アルマが呆れてカルナデルを振り返る。カルナデルはまだ腹をさすっていた。昼食にエビ料理をたらふく食べたのだ。
「あのお婆さん、

の屋敷に二十歳(はたち)のときから仕えてるって言ってたけど絶対嘘よ。父さんはすぐに騙されるの」
 ほどなくして、入れ違いにペレ家の主人が戸口に現れた。鼻の下に髭を生やした、恰幅はいいが背の低い男で、髪が薄くなった頭はカルナデルの胸の高さにあった。
「アルマ! アルマ! おお……」
 躓きながら日差しの中に出てきた男は、娘の手を取り、ついで背中に腕を回し抱きしめた。
「本当にアルマだ、信じられん……神よ、感謝します!」
 と叫んで、天球儀を仰いだ。
「パパ、私は大丈夫。興奮すると心臓に悪いよ」
「パパもママもずっとお前の帰りを待ってたんだ。ママはセレスタの葬儀以来寝込んでしまってな。一体、今までどこにいたんだ」
「この人が保護してくれていたの」
 アルマの言葉で、ペレ家の主人は初めてカルナデルの存在に気がついた。涙ぐんでいたのが真顔になる。
 すかさずアルマが嘘をついた。
「リジェク神官団の事務局に勤めてらっしゃるロックハートさんっていういい人よ」
「リジェク」
 一言呟き凍りつくペレに、カルナデルはアルマと打ち合わせた通り重い口を開いた。
「お久しぶりぶりです、ペレさん。リジェク神官団のロックハート書記官です。グロリアナの浚渫工事以来ですね」
 青ざめていきながら、ペレは自分の記憶の沼を浚渫しているようであった。カルナデルのことを思い出せないのは当たり前なのだが。
 とにかく、彼はなんとか愛想笑いを浮かべた。
「ええ、お久しぶりです、ロックハートさん」
 容赦なく、アルマは父親に追い討ちをかけた。
「パパ、私この人と結婚を考えてるの!」
 ペレの笑顔が消え、真顔で瞬きを繰り返すのみとなる。カルナデルは正気に戻してやった。
「本日はそのことでご挨拶に参りました。六年前の工事以来ですので、弾む話もございます」
「あ、ええ、そうですね」
 縋りつくように、ペレが玄関のドアノブを握りしめた。
「まずはお上がりください。ささ、さあ。お茶をお出ししますから。アルマ! お前はママに会ってあげなさい。パパはロックハートさんと話があるから!」
「はぁい、パパ」
 アルマは一足先に、奥の吹き抜けから光が注ぐ廊下の向こうへと消えていった。
 一方のカルナデルは、玄関に近い応接間に通された。
 そこは、一人で事業を立ち上げて、どうにか軌道に乗せてきた男の城だった。
 応接間の内装や調度品を見て、成金趣味と笑う人もいるだろう。だがカルナデルにはペレを笑うつもりはなかった。
 アルマによれば、ペレは十八歳で徴兵されて戦地で左肩を負傷し、今でも少し左手の動きがぎこちないという。生きて帰ったペレを、両親は片腕の動かない穀潰しとして追い出し、彼はそれにもめげず、家すらない身の上から成り上がったのだ。
 不正な取引はいけないことだ。それでも本当は、努力ができる人間のはずなのだ。カルナデルは努力家が好きだった。
 それに、応接間には一つだけ、カルナデルの人並みの感性でも良いと思えるものがあった。人の背丈ほどの柱時計だ。明らかに、文明退化の深度が浅い時期の作だ。木目は飴色の艶を放ち、時間が壊れたこの惑星(ほし)で、今なお落ち着いた佇まいで振り子を揺らしている。
 召使いが、熱い茶と、苺を練り込んだクッキーを持ってきた。それから一分とせぬうちに、身だしなみを整えたペレが応接間に入ってきた。鍵のかかった金属の箱を抱えている。平板な形からして、書類を保管する箱だろう。
 ペレは一言も話さぬうちから脂汗をかいていた。
 どうしたものかとカルナデルは思ったが、悩み無用。ペレのほうから口火を切った。低いテーブルを挟んでカルナデルの真向かいに座った彼は、自分の両膝を鷲掴みにすると、深々と頭を下げたのだ。
「どうかアルマだけは勘弁してください! どうか!」
「顔を上げてください」
 ペレがその言葉に従ったとき、蒼白な顔の中で目だけが赤かった。
「書記官殿、私たち夫婦にはもうあの子しかいないのです。セレスタのみならずアルマまで失われたら、何を希望に生きていけばいいのか――」
 カルナデルは、できるだけ冷たく聞こえるように言った。
「まずは落ち着いて話し合いましょう」
「ええ、ええ。何でもお話ししますとも」
「ご息女のことは我々も残念に思います。セレスタさんは当神官団にとって素晴らしい協力者でした。
 ところでペレさん。あなたは『例のもの』が見つかったあと、せっかくの事業から手を引いてしまわれた。我らリジェクはそのことを大変残念に思っているのですが、どうしてです?」
「それはそうですよ、書記官殿……聖遺物らしきものが見つかったあと、次々人がいなくなったと聞けば怖気(おじけ)づくのも当然です。決して他の理由はありません」
「では、あなたは『例のもの』が何なのかはご存じないのですね?」
「もちろんですとも。むしろあれの正体や行方をご存じなのはあなた方のほうでしょう」
「それもそうです」
 ボロが出る前に、カルナデルは話を変えることにした。
「では、もう一つの取引について」
 ペレの伏せられた目はカップから上る湯気を見ており、表情はない。が、返事はした。
「はい」
「あの工事が終わった後、我々は研究の成果物を日輪連盟内で取引するためゼラ・セレテス氏に協力を仰いだ」
 ここで、わざとらしく沈黙を置いた。
「わかりますね」
 これは賭けだった。カルナデルのほうから喋りすぎるわけにはいかない。嘘がばれてしまう。一方で、カルナデルはペレを不憫に思っていた。心から。
 時間だけが過ぎる。
 耐えられなくなったのは、ペレのほうだった。
「南部ルナリア独立騎兵大隊、ギルモア中佐のことですね」
 興奮のあまりカルナデルは叫びだしそうになった。
 賭けに勝ったのだ。
「そうです」僅かに早口になる。「ギルモア中佐とセレテス子爵は共謀して架空の団体に成果物を直送した」
 騙されやすいペレは、黙って金属の書類入れを膝に載せた。
 いつ頃の時代の箱だろうか。材質はわからないが、真鍮に似た色をし、表面に水紋が彫られている。持ち手の近くに穴があった。ペレがその穴にネジを入れて回した。確かに左手の動きがぎこちない。
「これのことですね」
 全く観念した様子で、ペレは書類入れを開けた。
 大判の封筒を差し出す。
 いかにもリジェク神官団の封印が捺されていた。カルナデルは構わず、糊付けされた封を開けた。
 中には数枚の紙。
 目を走らせる。
 譜面だった。
「一部持っていろ、と言われたのです」
「誰に」
「セレテス子爵です。いつか取りに来ると」
「セレテス子爵はその際、あなたに何か言付けをされたのでは?」
 ペレは口ごもるが、結局、アルマを人質に取られていると彼は思い込んでいるのだ――言うしかなかった。
「こう言われました。もしも私が――ああ、『私』というのはセレテス子爵のことですが――姿を消し、その後、星獣の被害や人が変色する奇病の流行が目に余る事態となったら、これをシオネビュラ神官団に持ち込め、と」
 指が震えそうになるのを堪え、カルナデルは譜面を封筒に戻した。
 戻しながら、これはひとまずシオネビュラ神官団の貸金庫に預けよう、と考えた。アルマとはここでお別れだ。金庫の場所と中身だけを教えて。
 シオネビュラ神官団に持ち込むのは彼女の仕事だ。
「後日、改めて」
 指の力で封筒に皺が寄った。
「アルマさんとは別れ話をさせていただきましょう」
 それを聞き、ペレは初めて安堵して、深々と息をついた。


ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

◆ミスリル・フーケ

◆25歳/男性

◆所属:コブレン自警団


『暗殺者を狩る暗殺者』の育成機関、コブレン自警団の団長の一番弟子。正義感が強く、好戦的で熱血だけど気分屋なのでいきなり冷める。自分のことを暗殺者だと思ってるわりに騒々しい。11歳のときに実の母親との間にできた娘が「いないつってんだろっ!!」いません(忖度)。

画像は「このカス野郎をどう始末してやろうか」と思案しているときの顔。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 2作目『鳥籠ノ国』

 外伝『失語の鳥』

◆アエリエ・フーケ

◆27歳/女性

◆所属:コブレン自警団


もとは豪商の娘だったがいろいろあって10歳で浮浪児となり、コブレン自警団に保護された。

女性ながら大鎌をはじめとする長柄武器の扱いに長け、ミスリルの行くところにはどこにでもついて回って敵の生首を刎ね飛ばす。恐い。ちょっと恐い。笑顔がちょっと恐い。足許にひれ伏すと踏んでくれる。マゾは急げ!


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 2作目『鳥籠ノ国』

 外伝『失語の鳥』

◆マリステス・オーサー

◆25歳/男性

◆所属:コブレン自警団


通称テス。鳥好きで頭が緑とかいう実に安直な理由で『真鴨』とか『鴨』とか呼ばれている。

自閉傾向が顕著に強く、表情の変化の乏しさと相俟って「何を考えているのかわからない」という印象を与えがちだが、感じる力も考える力も強いほう。

コミュ障の自覚があるため、コミュ力の高い兄弟子のトビィに対してとても屈託している(嫌ってるわけではない(むしろ大好き(面倒くさいタイプ)))。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 2作目『鳥籠ノ国』

 外伝『失語の鳥』

◆アザリアス・オーサー

◆27歳/男性

◆所属:コブレン自警団


通称アズ。自警団の武術師範の一人であるオーサー師の一番弟子。30歳以下の自警団主力戦闘員の中では第一位の戦闘能力を持つ。

戦いになると実に容赦ないが、素の性格はシャイで温厚。天然だけど人から天然って言われると傷つく(繊細)。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 外伝『使者と死者の迷宮』

◆トビアス・オーサー

◆27歳/男性

◆所属:コブレン自警団


通称トビィ。アズの双子の兄弟。長柄武器を得意とするほか、犬を訓練する技能を持つ。陽気でとっても優しくて、子供と動物が大好きな親しみやすいお兄さんだよ! たまに笑いながら人殺しちゃうけど……。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 外伝『使者と死者の迷宮』

◆レミ・イスタル

◆25歳/女性

◆所属:コブレン自警団


イスタル師の二番弟子。朝寝坊クイーン。三人一組が基本となる重要な仕事ではアズ&トビィと組むことが多く、この二人と一緒にいる日は朝自分から起きてこない。

生真面目かつ強気にふるまっている反動か、妹のようにかわいがってくれる人の前では子供のように無邪気な態度になる。かと思えば妙に機嫌が悪いときもある。特に朝。朝。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 外伝『使者と死者の迷宮』

◆リレーネ・リリクレスト

◆17歳/女性

◆所属:北方領リリクレスト公爵家


北方領リリクレスト家の公女だが、他家に嫁がせるためのお飾りとして育てられた。でも根が逞しいので環境への適応力が高い。


リリクレスト家は惑星アースフィアが移住可能な環境になる遥か以前から続く古い家であり、その血筋は地球における最初の10体の言語生命体試作品にまで遡るとされている。

それゆえ言語生命体の神である地球人からさえも重んじられ、宇宙戦争が行われた時代に授与された宝冠が数千年ものあいだ家宝として受け継がれてきたがリレーネが6歳のときに壊しちゃった。昔お転婆だったから壊しちゃった。

6歳だけどさすがにこれはヤバイと思って庭に埋めてしまった。

家じゅう大騒ぎになってたけど無駄に意志が固いので沈黙を守り抜いた。

ときおり思い出して寝れなくなる。

たぶん今も埋まっている。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆リージェス・アークライト

◆22歳/男性

◆所属:北方領陸軍


北方領陸軍で最もぼっち飯が似合う男と恐れられる若き護衛武官。階級は少尉。士官学生時代は優等生だった。毎日ぼっち飯だったけど。

なんだかんだでお人好しなので、試験の前にノートを貸してくれと泣き付かれて貸したら試験が終わるまで返ってこなかったりしたタイプ。怒っていいと思う。


巻き込まれ型の不幸体質なので登場するたびにひどい目に遭う。

仮にもシリーズ第1作目のメインヒーローが何故このような扱いをされるのかと思うと不憫で笑いが止まらない。

ごめん間違えた。

涙が止まらない。


とってつけたように言うけどリレーネ付きの護衛である。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

(過去作での名はリージェス・メリルクロウ)

◆パンジェニー・ロクシ

◆22歳/女性

◆所属:北方領陸軍


北方領の護衛武官。試験が終わるまでリージェスにノートを返さなかった犯人。

本編ではリレーネとリージェスが南西領に潜入するのに協力したが、コブレンの手前ではぐれたらしい。過去作を読まれた方のうちの実に99%以上が忘却の彼方へと葬り去ったであろう、シリーズ一作目からのリベンジャー。それでは一言意気込みをどうぞ。

「パンジーって呼んでよ(血涙)」


◆初登場回:8章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

◆リアンセ・ホーリーバーチ

◆24歳/女性

◆所属:南西領陸軍(解放軍)


陸軍情報部の間諜。間諜は単独での潜入が必要となる任務が多いため、油断を誘うべく実年齢より幼く見える格好を普段からしている。上腕二頭筋とかムキムキだけど。任務のためだけでなく、本人もかわいい服や小物が大好きである。背筋とかゴリゴリだけど。その甲斐あってか潜入や工作の成功率が非常に高く、情報部内ですら(服の上からの)外見に騙される者が一定数いる。腹筋とかバキバキだけど。

でもそれは、強くなければ生き残れないことをよく知っているからこそ。毒舌だったり辛辣なところがあるけれど、姉と妹のことは大好きな三姉妹の次女。

シリーズ1作目からいるけど登場するたびに箍が外れていく。


◆初登場回:4章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆シルヴェリア・ダーシェルナキ

◆20歳/女性

◆所属:南西領陸軍(解放軍)


南西領総督シグレイの長子。自分の軍隊が欲しくて18歳のお誕生日に少将の官位を買ってしまった(買ってしまった)。

買官によって権威を得た者に武官たちが向ける目は冷ややかなものだが、シルヴェリアは卓抜した手腕によってたちまち最悪の評価を覆した。

ただし露出の多い服装で人前に出たり、高貴な身分の人間が口にすべきでない単語や言いまわしを使いこなしたり、好色が過ぎて男女問わず手を出したりと問題行動が多い。


弟妹が5人いるのだが、2歳年下の妹エーリカには嫌われている。

もともとプライドが高いエーリカのコンプレックスを刺激しがちなうえ、10歳の頃にエーリカが丁寧に作った押し花を目の前でムッシャムッシャバリボリと貪り食ってからは蛇蝎の如く嫌われている。

何故そんなことをしたのか全くわからない点もまた嫌われている。

しかも父シグレイがその件でシルヴェリアを叱責しなかったので必要以上に嫌われている。

まあとにかく嫌われている。

結論:全部パパが悪い。


◆初登場回:4章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆フェン・アルドロス

◆37歳/女性

◆所属:南西領陸軍(解放軍)


シルヴェリアの副官。美少年のような色香を漂わせる37歳独身美熟女というちょっとどういう層を狙っているのかよくわからない逸材。お遊びの度が過ぎ、陸軍司令部で17股をかけていたことがばれて無事職場の人間関係を崩壊させる。

前線送りとなった先で出会ったシルヴェリアとはすぐに意気投合し、同性の愛人の座を獲得した。

しかしながら誰にでも見境なくちょっかいを出すわけではなく、性的合意があっても未熟過ぎたり責任能力のない相手には一切手出ししない。当たり前のことなんだけど……。

シオネビュラ神官団のメイファ・アルドロスの実の姉。


◆初登場回:4章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆マグダリス・ヨリス

◆35歳/男性

◆所属:南西領陸軍(解放軍)


歩兵精鋭部隊を指揮する大隊長だったが、編成中だった親衛連隊内の一個大隊を鍛えるべくシルヴェリアに抜擢されていた。階級は少佐。陸軍内においては『歩く殺戮装置』とか『三つ編み三十代』とか陰口を叩かれる。

高潔さと冷酷さを併せ持ち、他人に厳しいが自分に対してはもっと厳しいので立場の弱い者たちからは愛されている。

ときに行動が大胆なだけでなく、天才的な剣の腕を持つため恐い人だと思われることもしばしば。大丈夫。恐くない。たまに一人で百人殺しちゃうだけだ。よくあるよくある。


◆初登場回:5章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ヴァンスベール・リンセル

◆20歳/男性

◆所属:南西領陸軍


通称ヴァン。前線部隊に配属されたばかりの士官学校の新卒。リンセル家は海軍士官を多く輩出する家柄だが、本人曰く「伯父さんが恐いから陸軍に来た」。でも本当は船酔いするからである。実は馬にも酔う。

一見してそんなに強そうには見えないけれど実力派のダークホース。士官学校の剣術の成績は一、二を争うレベルだった。なお座学に関しては下から一、二を争うレベルだった模様。


◆初登場回:12章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆プリシラ・ホーリーバーチ

◆20歳/女性

◆所属:南西領陸軍


通称プリス。ロザリア、リアンセに続くホーリーバーチ家三姉妹の三女。お姉ちゃんたちが大好きで、リアンセが父親を見限って西方領を出奔するとき一緒に家を出てしまった。

11歳で家をでた娘を心配して母親は父に内緒で送金してくれたのだが、そのお金で「神学校に通う」と嘘をついて陸軍士官学校を卒業。

性格は明るく大胆で、良くも悪くも自分に正直。

陸軍広報部徴募部隊所属。ヴァンとは士官学校の同期の間柄。


◆初登場回:12章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆アイオラ・コティー

◆26歳/女性

◆所属:南西領陸軍(解放軍)


南西領陸軍の歩兵部隊指揮官で、階級は中尉。弓術・馬術に秀でるほか、詩人の才をも併せ持つ画伯。特に男性同士の濃厚な接触の模様を描いた画を得意とし、それらの作品は女性士官たちの間でひっそりと流通している。

反乱によって中隊を追われたのちは手許にある過去作と新作を火にくべてから都解放軍に合流。「いつどこで討ち死にしようともこれで私の秘密は守られる」と思ったようだが、まさかこんなところでバラされているとは夢にも思うまい。


◆初登場回:20章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ララセル・ハーティ

◆24歳/女性

◆所属:南西領陸軍


エーリカの専属護衛で、侍従長を兼任する。階級は大尉。クールビューティーなので周囲から勝手に有能そうだと期待されるけど、何かが人よりずば抜けているわけではないので結局勝手にがっかりされる。

冷たい印象の見た目に反して性格は至って素朴で素直。「あっち向いてホイ→」ってやったら全く何の疑問も抱かずに顔を「→」ってやっちゃうくらい素直。褒められて伸びるタイプだと思う。かわいがってあげて……カワイガッテアゲテ……カッ…………カワイガッ…テ…………………………カ……………ゲテ……………………。


◆初登場回:21章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆エーリカ・ダーシェルナキ

◆18歳/女性

◆所属:南西領ダーシェルナキ公爵家


ダーシェルナキ家の第二子。こじらせてるシスコン。

グロリアナ領主ゼラ・セレテスに言い寄って困らせているけど自分は四十手前のトリエスタ伯に言い寄られて困っている。

それではトリエスタ伯に一言

「死にさらせですわ!」

口汚ぇですわ。

そして怖くて誰も指摘しないんだけどインテリアの趣味が悪い。


◆初登場回:10章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ミサヤ・クサナギ

◆31歳/女性

◆所属:ソラート神官団


ソラート神官団二位神官将補。農民の出だが村をあげての推挙と資金援助を得て高位聖職者になる夢を叶えた地元大好きお姉さん。それでは南東領ソラート地方のいいところを語っていただきましょう。



「ソラートの富の源は潤沢な湧き水にある。平原を裂いて流れる水と温暖な気候は滋味豊かな作物を育て、その地方の最も貧しい村の民ですら、まず飢え渇くということがない。澄んだ空気と穏やかな野山に囲まれた環境が人を朗らかにすることから療養地としての人気も高い。かくいう私の夫も、喘息の治療のため幼少期に都から移り住んだ口だ。田舎にありがちな排他的な空気もソラートにはなく、そのため移り住む者がもたらす知識や技術が容易に根付き、その地をさらに住みよい場所にするのだ。無論、これほど恵まれた土地であるから、無闇に野山を切り開いたり、または武力で支配しようとする者たちも多くいた。一つはっきり断っておきたいのだが、住民が温和であることは、侵入者や圧政者への従順とは結びつかない。歴代の……(※これがあと30分続く)


◆初登場回:15章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆ゾレア

◆14歳/女性

◆所属:ソラート神官団


ソラート神官団の従軍歌流民。浮世離れしたミステリアスな少女(※ぼーっとしているだけだ)。


歌流民とは、野山に身を置く流浪の民。大陸中に散らばる彼らは共通する生活様式を持っており、すなわち氏族の歌い手は、歌うときしか声を出さない。

ゾレアの氏族は戦時に歌を売るのみでなく、平時にキノコや薬草を原料とする丸薬を作っていた。歌流民の神秘の力で病が癒されるという思い込みによって服用者の本来の自然治癒力を引き出し、さも薬が効いているかのように見せかけるただの黒い粒である。人体って不思議。

ソラートの住人たちは知っているので買わない。「本体価格よりレジにて20%オフ」とか言われても買わない。


◆初登場回:15章

◆シリーズの他の登場作品

 なし

◆エルーシヤ

◆17歳/女性

◆所属:-


ゾレアと同じく歌流民の少女であり、歌うときにしか声を出さない。その生活で得た不思議な感性を有しておれど、中身は普通の女の子。田舎暮らしが嫌になって逃げてきてしまった。今は陸軍広報部のプリシラ・ホーリーバーチ少尉と行動を共にしている。


都の星獣祭で配られる胡桃の護符は、北ルナリアやグロリアナの山塊を塒とする彼女の氏族が歌によって清めながら作るものだ。胡桃の可食部はクッキーにしてグロリアナの周辺で売られる。商品名は「グロリアナに行ってきましたクッキー」とかだろうか。知らんけど。


ちなみに「エルーシヤ」は歌流民の中でありふれた女性名であり、『失語の鳥』の番外編に出てくるエルーシヤとは完全に別人。


◆初登場回:12章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆マナ

◆14歳(※肉体年齢)/女性

◆所属:-


旅の途中でミスリルが出会う謎めいた少女。自称ミスリルの娘。もし本当に娘だったらミスリルが11歳のときの子になるのだが、当然ながら彼に心当たりはない。心当たりどころか女性と手を繋いで街を歩いたことすらない。

14歳という年齢は推定であり自称。なお生まれてきたとき既に14歳だった。


◆初登場回:6章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆シンクルス・ライトアロー

◆25歳/男性

◆所属:ヨリスタルジェニカ神官団


ヨリスタルジェニカ神官団正位神官将。政争によって傾きかけた西方領の名家の嫡男で、家の再興のために父親によって南西領に送り込まれた。古風な喋り方が特徴だが、ここだけの話普通に喋ろうと思えば喋れる。


過集中と注意力散漫を繰り返す。黙ってさえいればとても美形なのにいらんことまでよく喋る。実家は太いが傾きかけている。頭が良くて弁も立つけどこれっぽっちも自重できない。

そんな残念なタイプの天才だが、物事は前向きに考えよう。

普段はあちらこちらに興味の対象が移ろうが、並外れた集中力を発揮した際の成果は素晴らしい。近寄りがたいほどの美形だが、中身は気さくで親しみやすい。実家も傾きかけたとはいえまだ太い。自然に振る舞うだけで目立ってしまうのは自信家で聡明だからである。

残念なタイプの天才なのではない。

天才なタイプの残念なのだ。


◆初登場回:5章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ロザリア・ライトアロー

◆25歳/女性

◆所属:ヨリスタルジェニカ神官団


正位神官将夫人。シンクルスの妻であり、リアンセとプリスの姉。西方領出身。

シンクルスと初めて顔を合わせたのは三歳のときで、このとき既にライトアロー家とホーリーバーチ家の第一子同士として結ばれることが決まっていた。

親同士が決めた結婚とはいえ、成長に従い二人は自然に惹かれあうようになった。

政治的なごたごたから逃れるべく、ロザリアとシンクルスは南西領の神学校に入り直すことが決まり家を出る。同じ時期に、リアンセは父親の当主としての資質に疑問を抱き出奔。

家族喧嘩の最中に妹のリアンセ(脳筋)がカッとなって父親の頭を壺でぶん殴り、心配して見に来たシンクルスが我慢できずに腹を抱えて笑うのを見て以来「実はこの人ちょっとバカなんじゃないか」と思っている。


◆初登場回:5章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆レグロ・ヒューム

◆34歳/男性

◆所属:シオネビュラ神官団


シオネビュラ神官団二位神官将。

独特の個性と落ち着きなさゆえに生家では「将来の見込みなし」と冷遇されていたが、実際大人になったら兄弟の中で一番有能だったというオチがつく。たぶんヒューム家はもう終わっとる。

他のことはともかく仕事はできるというタイプ。

何故かしら自分のことを美男子だと思っている(根拠不明)。


◆初登場回:7章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆メイファ・アルドロス

◆32歳/女性

◆所属:シオネビュラ神官団


シオネビュラ神官団二位神官将補を務めるクレイジー長広舌。南西領陸軍のフェン・アルドロスの妹。

アルドロス家の後継がフェンとメイファしかいない事実からお察しいただける通り、もうアルドロス家も終わっとる。

人間としての中身に関しては姉より多少マシなレベル。

甲冑の上から乳首の位置を当てる能力を持っている。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ニコシア・コールディー

◆29歳/女性

◆所属:シオネビュラ神官団


シオネビュラ神官団三位神官将。真面目で責任感が強い性格。二位神官将に対する態度が横柄だが、これでもかつては敬意を払っていた。

出身もシオネビュラ西部で、居城である西神殿の近くに妹夫婦が住んでいる。市内巡行の際など幼い姪が「おばさまー!」と手を振ってくる。

「お姉さまと呼べ」と思っている。


◆初登場回:7章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ミオン・ジェイル

◆25歳/男性

◆所属:シオネビュラ神官団


シオネビュラ神官団三位神官将補。神学校卒業から僅か一年で現在の地位に抜擢された経歴を持つ。振る舞いは優等生然としているが口が悪い。

ジェイル家は家格が低く、神学校には長男である兄しか通えないはずだったが、武芸と学問の両方で兄より優れていることを証明し、進学の権利を勝ち取った。この生い立ちゆえに成果主義者である。

現在の地位を得てから両親は掌を返してちやほやしだしたが、家督を継ぐ気はない。ジェイル家も終わっとる。


◆初登場回:7章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ゼラ・セレテス

◆25歳/男性

◆所属:ソレリア民兵団


グロリアナ領主にしてソレリア民兵団代表。セレテス家は吹けば飛ぶような底辺領主(((失礼)))ながら、質実剛健を旨とする家風によってグロリアナ領を堅実に治めてきた。

セレテス流炎剣術の継承者。一子相伝なので、ゼラが死んだら剣術も絶える。


性格はやや強情で、数年前に自分で育てた野菜を上流貴族の客に供したところ「痩せた土で育った貧乏くさい味」と馬鹿にされ、「嫌なら召し上がらなくて結構でございます」と言って皿を下げ父親にこっぴどく怒られた。

以来、気にいらない客に対しては問答無用で畑を手伝わせている。


◆初登場回:3章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

付録◆アースフィア世界の度量衡


----------------------------------------------


◇長さの単位


基本単位はセスタセリオン。地域や職業によってセスタ尺とセリオン尺が使い分けられる。


1セスタ=2.5㎝

1セリオン=7.5㎝

1リセスタ(1リセリオン)=1/10セスタ(1/10セリオン)

1ニ―セスタ(1二―セリオン)=100セスタ(100セリオン)

1デセスタ(1デセリオン)=100ニーセスタ(100ニ―セリオン)

1クレッセスタ(1クレッセリオン)=10デセスタ(10デセリオン)


言語生命体たちが地球で創造主たちと暮らしていた時代、言語生命体の独立をかけた戦に異を唱え、地球人信仰を保つよう呼びかけた姉弟がいた。

姉の名はセスタ。弟の名はセリオン。

二人は同胞によって捕らえられ、両手をすりおろす拷問にかけられた。

救出されたとき、セスタの手首の関節より先の長さは2.5㎝、セリオンは7.5㎝しか残っていなかったと伝えられる。


----------------------------------------------


◇重さの単位


基本単位はケララ

ケララは麦をさす言葉だが、教会の伝統において典礼及び典礼聖歌を意味することもある。


1ケララ=2.5g

1リケララ=1/10ケララ

1ニーケララ=100ケララ

1デケララ=100ニーケララ

1クレスケララ=10デケララ


----------------------------------------------


◇体積の単位


基本体積はダータ。野蜜の意であり、血液ないし精液を暗喩する。


1ダータ=25ml

リダータ=1/10ダータ

ニーダータ=100ダータ

デダータ=100ニーダータ

クレスダータ=10デダータ

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み