星獣戦(1)

文字数 6,567文字

 1.

 シオンの戦い、都の反乱、それらが行われる前のこと。
 グロリアナでミスリルたちと別れたアズ、トビィ、レミの三人は、それから五日ののちに北ルナリア市を見おろす丘に到着していた。

 北ルナリアは、『橋梁(きょうりょう)都市』の異名で知られている。
 その都市は高架道路だった。橋脚は五、六十階建てに相当するという触れ込みの塔であり、内部には、住居はもちろん、文明退化以前の都市生活に必要なあらゆる施設が存在したという。その橋脚が五本あり、今の文明レベルでは破壊不能な強度の大道路を支えている。
 ルナリア山脈の北側を巻くこの道路は、全体が地球人の手による聖遺物であり、地球人たちが去った後はリジェク神官団の管理下に置かれた。神官領でないにも関わらず、地球人の遺構であるゆえに神官団の庇護下に置かれざるを得なかった北ルナリア市は、必然的にリジェクの支配を受けた。
 橋脚の居住地は大部分が閉鎖され、残された区域でも、人は耕作可能な土を求めて塔を降りていった。狭い地域で一千万の口を潤すという(わざ)を続けたからだろう。土地の塩化(えんか)が著しく、橋梁内部のプランテーションをなくした以上、ここで人が暮らしていくことは不可能とまで言われた。
 それでも一部の人が残り、土地の改良に専念した。千年経った現在も都市として機能しているのは、その人たちの語られ得ぬ努力があってのことだ。
 第一橋脚の基部は、丘の斜面に据えられていた。リジェクを通過した隊商が最初にたどり着くのは、日のある間、塔の影が時計の針のように動き回る村落だ。一日を通して日当たりのいい南側では農耕が行われ、家々は塔を巻いて広がる。
 橋脚は灰白色の冷たい質感で、その威容は大部分が霧に隠れていた。隊商は荷を下ろし、基部の周囲に散乱するように建てられた家々を見下ろしながら、丘の上で炊事を始めた。北ルナリア側の受け入れ時刻が過ぎていたからだった。
 隊商には商人以外の旅人も同行する。一人や少人数で行動するよりも安全であり、道も知らないならばなおさらだ。旅人たちは、隊商の荷馬車から少し離れたところに固まって、めいめいくつろいでいた。アズは草の上に座り込む双子の兄弟の姿を見つけ、柔らかい草を踏んで近付いていった。
 トビィは夜に備え、長い柄に刃物をつけているところだった。先端に槍の穂がつき、その横に月牙(げつが)と呼ばれる三日月状の刃がつく。その湾曲した鋭い刃は、軽い力で引っ掻くだけで硬い動脈を切り裂くほか、槍の穂が深く刺さり過ぎるのを防ぐ役も果たしていた。トビィのそばにはレミがいて、荷物の上に座っていた。二人は同時にアズを振り向いた。
「行こう。第三シャフトの位置がわかった」
 アズは立ったまま、仲間たちに唇の動きだけで伝えた。北ルナリアの副市長の署名が入った手紙では、第三シャフト側なる名称の出入り口から市内に入るよう指示されていたのだ。橋脚と橋脚の間には城壁がある。アズは城壁のどの辺りに目指す門があるかを商人たちに教えてもらったのだった。
 トビィの肩に顎を乗せて作業を覗き込んでいた赤目が、アズを見て舌を出し、嬉しそうに目を細めた。耳の後ろを撫でてやると、トビィが尋ねた。
「近いの? 夕方までにたどり着けたらいいんだけど」
「ああ。二十分ほどかけて橋脚の北西側に回り込んだところらしい。木立(こだち)の向こうに行けばわかるそうだ。急ごう」
 レミが立ち上がり、荷物を背負いあげた。日除けの帽子が草に落ちる。アズはそれを拾い、レミに渡してやった。
 荷運び用の騾馬(ラバ)を連れて行かないと判断したのはアズだったが、今は後悔していた。騾馬は水と食料を大量に必要とするし、世話にも手がかかる。ミスリルは邪魔になったら売って旅費にすればいいという考えだったが、アズは自警団の資産をそのように使う気になれなかったのだ。
「もう少しの辛抱だ」
「大丈夫だよ、アズ」
 レミが帽子を右手にぶら下げた。帯に潜ませた彼女の鎖が音を立てた。
「夜までだって歩けるよ。やっと寝床で寝られるんだもの」
 旅人たちが顔を向けてきたが、場所を変えるだけだと思ったのか、誰も干渉してこなかった。
 商人たちはアズに本当のことを教えたが、夕方までに市内に入るのは無理そうだとじきにわかった。
 基部に近付くと、まず地面から突き出した白いブロックが三人を出迎えた。足首ほどの高さで、すでに辺りは薄暗く、うっかりすると(つまず)きそうだ。次に現れたのは膝までの高さのブロック。腰の高さ、胸の高さときて、頭の高さ。もっと高く。より高く。
 様々な高さの壁を組み合わせて城壁としているのだった。それも、ひと繋がりの壁ではなく、いくつもの長いブロックが、十分な奥行きを持って配置されている。明らかに現代より高度な文明によって建造されたものだ。兵が押し寄せればどのような混乱が起きるかは想像に難くない。攻め落とすのは難儀だろう。
 日が沈みつつあり、霧が茜の最後の光を拡散した。空を這う天球儀の網も今は見えない。ブロックの迷路を少しでも早く抜けようと、三人は黙々と歩を進める。
 進むうち、赤目が足を止めた。首を右に向け、臭いを気にしているようだ。トビィと目線をかわしてから、ある方向へ向かっていく。
 草を踏む音に気をつけながら、三人は後を追った。赤目がブロックの陰で立ち止まり、振り返る。
 アズは屈んで赤目の首を抱き、向こう側を覗き込んだ。黒い小山が目に映った。人が何人かいた。小山は四つ足の動物のようだ。霧の中で黒と銀にぼやけるその体は、背中が大小の尖ったイボに覆われ、頭が大きい。天籃石(てんらんせき)のランプを持った人間が話をしながら動き、成人の頭よりも高い位置にあるその生き物の顔を照らした。
 星獣で、その原型はカエルだった。黒い体には銀色の線が何がしかの模様を描いていた。そして、人間は見える範囲で六人いた。
 アズは音を立てずに後ずさり、仲間に場所を譲った。トビィが、最後にレミが、アズと同じものを見た。
「知ってる奴がいた」
 レミの唇が興奮気味に動く。
「コブレンにいる連中だよ。『三つ首蛇』の一味だ」
「薬物の独自の販路を持っていたな。確かか、レミ」
「うん。似てるなんてレベルじゃないよ。姉さんが目をつけてた奴らが三人揃ってる」
「あの星獣をコブレンに連れ込むつもりかな?」
 トビィのその言葉も、声を伴わぬものだったが、アズとレミの緊張を高めるには十分だった。
「今のうちに潰しとこうよ、アズ。ここでなら私たちが関与したって物証は残らない」
 アズは浅く頷いた。
「二手に分かれよう。トビィ、レミ、赤目を連れてあいつらの後ろのブロックに回り込めるか?」
「三分あれば」
「俺が星獣を引きつける。その間に蛇の連中を片付けてくれ」
「一人であの大物を相手にするなんて無茶だよ」
 そう言うトビィの両目をじっと見返して、アズはゆっくり首を横に振った。言い争っている余裕はない。トビィは目をそらし、提案を受け入れる意思表示をした。
「星獣の売人は?」
「やむを得ないなら」
 三人は身を屈めたまま、めいめい胸に手を当てた。服の下に護符が隠されているのだ。目を伏せ祈る。

()が手を血に染むるがさだめによる(ことわり)ならば、生によりて吾を慈しみたまえ。さだめになき悪逆ならば、死によりて吾を慈しみたまえ』

 レミとトビィが目配せしあい、ブロックに沿って移動し始めた。赤目が後についていった。アズは動かず三分待った。それから立ち上がり、取引が行われる広場へと、ブロックの陰から一歩踏み出した。
 わざと靴底で砂を鳴らす。
 そこにいる全員の目がアズに向けられた。
 身を翻す。
「誰だ!」
 大きな足音を立てながら広場から遠ざかった。
 見立て通り、アズの追跡に放たれたのは星獣だった。
 湿った重いものを叩きつける音が頭上でした。ちらりと目をやると、カエルの星獣が壁の上にいた。吸盤のついた脚でブロックの上からついてくる。巨体であるがゆえに、人間一人を追うにはゆっくり歩めばいいようだ。その吸盤が、壁の内側に下りてくる。
 アズはブロックの角を曲がった。
 予期せず広い空間に出た。
 そこは人が住む区画になっていた。許可を取ってのことかは知らないが、ブロックに密着して窓も出入り口もない土壁の建造物が作られていた。それは話に聞く要塞化された集落の典型。外壁を共有する家々が、切れ目のない防衛線の役目を果たすのだ。侵入者は外壁を壊したところでどこかの家の一室にしか入れず、内部を知り尽くす住民によって迎え撃たれることになる。出入り口は屋根に設けられ、梯子や縄がかけられているのが目に入った。干しっぱなしの洗濯物が縄にかかって揺れていた。住民が無精なのか……それとも皆、出払っているのか。
 アズは走る。身を隠せるところはなさそうだ。背後遠くであの湿った音がした。振り返る。星獣との間合いは十分にある。
 と、思いきや、黒い波のようなものが一瞬目に入った。同時にそれを腹に受けた。重い衝撃に薙ぎ払われ、広場へと弾き飛ばされる。体が地面をバウンドし、うっ、と声をあげた。地面は土ではなく固い石畳になっていた。
 態勢を崩されたときに寝たままでいることは死を意味する。転がって、着地位置から距離をあけた。重量物が着地位置に振り下ろされた。沈む太陽の最後の光が、それが纏う粘液を反射した。
 カエルの舌だ。
 それは出現したときと同じく突然視界から消えた。アズは近くの壁に身を寄せて膝立ちになり、マントの内側に両手を差し入れた。それぞれの手が半月刀の柄を握る。立ち上がりながら抜刀。広場の向こうの通路から星獣の姿が消えた。すぐに土壁の上からその着地を示す鈍い音がした。振動が、石畳を通して体に伝わってくる。
 体の大きさと重さに反してあまりに俊敏だ。
 広場の中央のアズは、直感で身を翻して半月刀を振るった。体の真横をカエルの舌が掠め、それを深く切り裂く。
『痛ぇっ!』
 予期せず人間の男の声がして、アズは息をのんだ。身を伏せ、土壁のほうへ滑り込むアズの頭上で、鞭のように舌が暴れる。舌は広場中の空間を、高低を問わず素早く舐め回した。住居の屋根の上の梯子、縄と支柱と洗濯物をあらかた薙ぎ払い、ようやく動きを止めた。
『やってくれるじゃねえか! あっ!?』
 壁際で屈んでやり過ごしたアズへと洗濯物が降り注ぐ。頭に降りかかった布を払う。それは下着だった。
 星獣はアズの頭上を跳躍して向かいの建物に移った。舌を、今度はゆっくり伸ばしてくる。アズの眼前で舌を裏返せば、その柔らかい肉に埋もれるように、人間の目玉があった。
 瞼もなく、睫毛もない。
 二つの小さな穴と一つの大きな穴は、鼻と口だろう。半月刀の斬撃を受けた箇所からは臭い液体が滴っている。
 蛇が鎌首をあげるように、舌を上げた。おぞましくもカエルの舌と一体化した人間の顔がアズを睥睨(へいげい)する。
『てめぇは何者(なにもん)だ? こんなところで何してやがる? あぁん?』
 アズは立ち上がり、肩と頭に乗った洗濯物を払いのけて答えた。
「コブレン自警団のアザリアス・オーサーだ。見ての通り下着をかぶっている」
『最っ低な自己紹介すんな!』
「最低な自己紹介のついでに」左腕を伸ばし、半月刀を目玉に突きつける。「最低な殺し合いをしよう」
 アズが顎を引くと、アメジストの瞳がきらりと光った。蹴り上げるように跳ね、左腕を振るう。恐ろしく鋭利な刃が肉に沈んだ。
 半月刀は形状からして刺突には向かないが、斬撃の威力は高い。アズの半月刀は刃を重くして、威力をさらに高めていた。そのぶん手の中で回転しやすくなり、扱いは難しくなるが、長く使い続けることでその欠点は補える。
 専用の武器を特注することは、特殊部門に配属された団員の特権だった。同門のテスもまた半月刀二刀流を習得しているが、テスが使う半月刀は体格にあわせて小ぶりだ。その代わり、アズの半月刀にはない変わった仕掛けがあるのだが。
 カエルの舌に埋め込まれた目玉を半月刀が(えぐ)り出す。大きく開いた口の端に右手の半月刀を引っ掛ける。そのまま膝を屈めて着地。口は大きな亀裂に変わった。
 もはや発音不能となった亀裂から、大きいが力のない叫びが漏れてくる。舌の先端は力をなくし、アズを捕らえようとする付け根の動きにあわせてぶらぶら揺れるのみとなった。その動きを避けながら、カエルの舌を切り刻んでいく。
 汗が滲み、息があがる。激しい動きのせいだけではない。傷を受けた腹部の痛みから気をそらそうと、ゆっくり息を吸い込んだ。
 心を鎮め、口を開く。

『死者ヲ呼バワル 嬰児(みどりご)
 土ノ(しとね)ニ 接吻(くちづ)ケリ』

 古い歌。街道の捨て子の歌。
 カエルの舌先が落下した。それは石畳に触れるや輪郭を失い、黒い砂ないし粉末と化して散る。

『深キニ眠ル 憧レノ
 月ハ涙ヲ(たた)エ 満チ』

 舌が引っ込んだ。
 星獣が動き、べしゃ、べしゃ、と音を立てて吸盤を建物の外壁に張り付ける。イボだらけの背中を晒し、頭を下にして外壁を下りてくるかに見えた。動きを止め、姿を消す。
 外壁を蹴って跳んだのだ。
 入れ違いに、アズは星獣が張り付いていた外壁まで走る。
 直後、背後に星獣が着地して、広場は揺れに見舞われた。

『涙ヲ流シ 欠ケ』

 左足を軸に振り向く。

『タエテ叢雲ナカリセバ』

 カエルの尻が視界を埋めた。左手の、次に右手の半月刀で深い傷を刻む。

『春ノ命ノ 凍エザラマシ』

 黒い肌に浮かぶ銀色のまだら模様が動き始めた。細く引き伸ばされ、一つに繋がり、鎖のように体全体を巻く。
 この現象は顕鎖(けんさ)と呼ばれる。星獣が化生に堕ちる前兆とされていた。
 宥めるように歌いながら、アズは星獣の体を刻み続けた。銀色の筋の中に記憶が見えた。
 緑色に濁った水。
 カエル。カエル。たくさんのカエル。アマガエル。ウシガエル。そして蛇。アメンボ。水に飛び込む。その水の生ぬるさと生臭さが幻覚のように感じられた。水の中にはカジカ。タナゴ。水をかき分ける人間の手。
 これらの光景は、水の中を泳ぐ人間の目で見られたものであり――。
 アズは理解する。
 この星獣は、人間だったのだ。
 人間が星獣になるなどありえない……ということになっているはずだが。
 絶え間ない斬撃から逃れようと、星獣が身を屈める。跳躍の予備動作だ。
「アズ!」
 トビィの叫び声がどこからか降ってきた。顔を上げたアズは体を強張らせ、大声で危険を知らせようとした。トビィがいたのが、星獣が飛び移ろうとしている建物の上だったからだ。
 だが、星獣よりもトビィのほうが先に動いた。
 月牙を振りかざし、屋根の縁を蹴る。その姿は星獣の体に隠れて見えなくなったが、月牙がカエルの目に直撃するのを見逃さなかった。
 頭部が消失し、粉になって散る。星獣の体を巻いていた銀の模様が溶け、ついで四肢が消失した。
 背中のイボの正体が、薄暮の下で明らかになった。
 ミニチュアの村だった。
 鐘楼(しょうろう)を備えた教会堂があり、井戸がある広場を小さな家々が囲む。家からわらわらと小人が出てきた。男。女。赤子。子供。成人。老人。それらは狂乱して小道と広場と畑とを駆け回る。だが滅びを避けられぬと悟ったか、一斉にアズを仰ぎ見た。性別と年齢に関わらず、皆同じ顔だった。カエルの舌の裏に張り付いていた顔の面影があった。
 全ての小人が目を剥いて、

『地獄に落ちろ!』

 ひとりの男の声で吼えた。

『俺は先に行って待ってるぞ、アザリアス・オーサー!』

 怨嗟(えんさ)は霧に吸い込まれ、残響も失せた。村も小人も色を失い、黒に覆われる。次に輪郭をなくして石畳に撒き散らされた。
 呆然とするアズの隣で、トビィがようやく「趣味(わる)っ」、と真顔で呟いた。


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登場人物紹介

◆ミスリル・フーケ

◆25歳/男性

◆所属:コブレン自警団


『暗殺者を狩る暗殺者』の育成機関、コブレン自警団の団長の一番弟子。正義感が強く、好戦的で熱血だけど気分屋なのでいきなり冷める。自分のことを暗殺者だと思ってるわりに騒々しい。11歳のときに実の母親との間にできた娘が「いないつってんだろっ!!」いません(忖度)。

画像は「このカス野郎をどう始末してやろうか」と思案しているときの顔。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 2作目『鳥籠ノ国』

 外伝『失語の鳥』

◆アエリエ・フーケ

◆27歳/女性

◆所属:コブレン自警団


もとは豪商の娘だったがいろいろあって10歳で浮浪児となり、コブレン自警団に保護された。

女性ながら大鎌をはじめとする長柄武器の扱いに長け、ミスリルの行くところにはどこにでもついて回って敵の生首を刎ね飛ばす。恐い。ちょっと恐い。笑顔がちょっと恐い。足許にひれ伏すと踏んでくれる。マゾは急げ!


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 2作目『鳥籠ノ国』

 外伝『失語の鳥』

◆マリステス・オーサー

◆25歳/男性

◆所属:コブレン自警団


通称テス。鳥好きで頭が緑とかいう実に安直な理由で『真鴨』とか『鴨』とか呼ばれている。

自閉傾向が顕著に強く、表情の変化の乏しさと相俟って「何を考えているのかわからない」という印象を与えがちだが、感じる力も考える力も強いほう。

コミュ障の自覚があるため、コミュ力の高い兄弟子のトビィに対してとても屈託している(嫌ってるわけではない(むしろ大好き(面倒くさいタイプ)))。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 2作目『鳥籠ノ国』

 外伝『失語の鳥』

◆アザリアス・オーサー

◆27歳/男性

◆所属:コブレン自警団


通称アズ。自警団の武術師範の一人であるオーサー師の一番弟子。30歳以下の自警団主力戦闘員の中では第一位の戦闘能力を持つ。

戦いになると実に容赦ないが、素の性格はシャイで温厚。天然だけど人から天然って言われると傷つく(繊細)。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 外伝『使者と死者の迷宮』

◆トビアス・オーサー

◆27歳/男性

◆所属:コブレン自警団


通称トビィ。アズの双子の兄弟。長柄武器を得意とするほか、犬を訓練する技能を持つ。陽気でとっても優しくて、子供と動物が大好きな親しみやすいお兄さんだよ! たまに笑いながら人殺しちゃうけど……。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 外伝『使者と死者の迷宮』

◆レミ・イスタル

◆25歳/女性

◆所属:コブレン自警団


イスタル師の二番弟子。朝寝坊クイーン。三人一組が基本となる重要な仕事ではアズ&トビィと組むことが多く、この二人と一緒にいる日は朝自分から起きてこない。

生真面目かつ強気にふるまっている反動か、妹のようにかわいがってくれる人の前では子供のように無邪気な態度になる。かと思えば妙に機嫌が悪いときもある。特に朝。朝。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 外伝『使者と死者の迷宮』

◆リレーネ・リリクレスト

◆17歳/女性

◆所属:北方領リリクレスト公爵家


北方領リリクレスト家の公女だが、他家に嫁がせるためのお飾りとして育てられた。でも根が逞しいので環境への適応力が高い。


リリクレスト家は惑星アースフィアが移住可能な環境になる遥か以前から続く古い家であり、その血筋は地球における最初の10体の言語生命体試作品にまで遡るとされている。

それゆえ言語生命体の神である地球人からさえも重んじられ、宇宙戦争が行われた時代に授与された宝冠が数千年ものあいだ家宝として受け継がれてきたがリレーネが6歳のときに壊しちゃった。昔お転婆だったから壊しちゃった。

6歳だけどさすがにこれはヤバイと思って庭に埋めてしまった。

家じゅう大騒ぎになってたけど無駄に意志が固いので沈黙を守り抜いた。

ときおり思い出して寝れなくなる。

たぶん今も埋まっている。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆リージェス・アークライト

◆22歳/男性

◆所属:北方領陸軍


北方領陸軍で最もぼっち飯が似合う男と恐れられる若き護衛武官。階級は少尉。士官学生時代は優等生だった。毎日ぼっち飯だったけど。

なんだかんだでお人好しなので、試験の前にノートを貸してくれと泣き付かれて貸したら試験が終わるまで返ってこなかったりしたタイプ。怒っていいと思う。


巻き込まれ型の不幸体質なので登場するたびにひどい目に遭う。

仮にもシリーズ第1作目のメインヒーローが何故このような扱いをされるのかと思うと不憫で笑いが止まらない。

ごめん間違えた。

涙が止まらない。


とってつけたように言うけどリレーネ付きの護衛である。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

(過去作での名はリージェス・メリルクロウ)

◆パンジェニー・ロクシ

◆22歳/女性

◆所属:北方領陸軍


北方領の護衛武官。試験が終わるまでリージェスにノートを返さなかった犯人。

本編ではリレーネとリージェスが南西領に潜入するのに協力したが、コブレンの手前ではぐれたらしい。過去作を読まれた方のうちの実に99%以上が忘却の彼方へと葬り去ったであろう、シリーズ一作目からのリベンジャー。それでは一言意気込みをどうぞ。

「パンジーって呼んでよ(血涙)」


◆初登場回:8章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

◆リアンセ・ホーリーバーチ

◆24歳/女性

◆所属:南西領陸軍(解放軍)


陸軍情報部の間諜。間諜は単独での潜入が必要となる任務が多いため、油断を誘うべく実年齢より幼く見える格好を普段からしている。上腕二頭筋とかムキムキだけど。任務のためだけでなく、本人もかわいい服や小物が大好きである。背筋とかゴリゴリだけど。その甲斐あってか潜入や工作の成功率が非常に高く、情報部内ですら(服の上からの)外見に騙される者が一定数いる。腹筋とかバキバキだけど。

でもそれは、強くなければ生き残れないことをよく知っているからこそ。毒舌だったり辛辣なところがあるけれど、姉と妹のことは大好きな三姉妹の次女。

シリーズ1作目からいるけど登場するたびに箍が外れていく。


◆初登場回:4章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆シルヴェリア・ダーシェルナキ

◆20歳/女性

◆所属:南西領陸軍(解放軍)


南西領総督シグレイの長子。自分の軍隊が欲しくて18歳のお誕生日に少将の官位を買ってしまった(買ってしまった)。

買官によって権威を得た者に武官たちが向ける目は冷ややかなものだが、シルヴェリアは卓抜した手腕によってたちまち最悪の評価を覆した。

ただし露出の多い服装で人前に出たり、高貴な身分の人間が口にすべきでない単語や言いまわしを使いこなしたり、好色が過ぎて男女問わず手を出したりと問題行動が多い。


弟妹が5人いるのだが、2歳年下の妹エーリカには嫌われている。

もともとプライドが高いエーリカのコンプレックスを刺激しがちなうえ、10歳の頃にエーリカが丁寧に作った押し花を目の前でムッシャムッシャバリボリと貪り食ってからは蛇蝎の如く嫌われている。

何故そんなことをしたのか全くわからない点もまた嫌われている。

しかも父シグレイがその件でシルヴェリアを叱責しなかったので必要以上に嫌われている。

まあとにかく嫌われている。

結論:全部パパが悪い。


◆初登場回:4章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆フェン・アルドロス

◆37歳/女性

◆所属:南西領陸軍(解放軍)


シルヴェリアの副官。美少年のような色香を漂わせる37歳独身美熟女というちょっとどういう層を狙っているのかよくわからない逸材。お遊びの度が過ぎ、陸軍司令部で17股をかけていたことがばれて無事職場の人間関係を崩壊させる。

前線送りとなった先で出会ったシルヴェリアとはすぐに意気投合し、同性の愛人の座を獲得した。

しかしながら誰にでも見境なくちょっかいを出すわけではなく、性的合意があっても未熟過ぎたり責任能力のない相手には一切手出ししない。当たり前のことなんだけど……。

シオネビュラ神官団のメイファ・アルドロスの実の姉。


◆初登場回:4章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆マグダリス・ヨリス

◆35歳/男性

◆所属:南西領陸軍(解放軍)


歩兵精鋭部隊を指揮する大隊長だったが、編成中だった親衛連隊内の一個大隊を鍛えるべくシルヴェリアに抜擢されていた。階級は少佐。陸軍内においては『歩く殺戮装置』とか『三つ編み三十代』とか陰口を叩かれる。

高潔さと冷酷さを併せ持ち、他人に厳しいが自分に対してはもっと厳しいので立場の弱い者たちからは愛されている。

ときに行動が大胆なだけでなく、天才的な剣の腕を持つため恐い人だと思われることもしばしば。大丈夫。恐くない。たまに一人で百人殺しちゃうだけだ。よくあるよくある。


◆初登場回:5章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ヴァンスベール・リンセル

◆20歳/男性

◆所属:南西領陸軍


通称ヴァン。前線部隊に配属されたばかりの士官学校の新卒。リンセル家は海軍士官を多く輩出する家柄だが、本人曰く「伯父さんが恐いから陸軍に来た」。でも本当は船酔いするからである。実は馬にも酔う。

一見してそんなに強そうには見えないけれど実力派のダークホース。士官学校の剣術の成績は一、二を争うレベルだった。なお座学に関しては下から一、二を争うレベルだった模様。


◆初登場回:12章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆プリシラ・ホーリーバーチ

◆20歳/女性

◆所属:南西領陸軍


通称プリス。ロザリア、リアンセに続くホーリーバーチ家三姉妹の三女。お姉ちゃんたちが大好きで、リアンセが父親を見限って西方領を出奔するとき一緒に家を出てしまった。

11歳で家をでた娘を心配して母親は父に内緒で送金してくれたのだが、そのお金で「神学校に通う」と嘘をついて陸軍士官学校を卒業。

性格は明るく大胆で、良くも悪くも自分に正直。

陸軍広報部徴募部隊所属。ヴァンとは士官学校の同期の間柄。


◆初登場回:12章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆アイオラ・コティー

◆26歳/女性

◆所属:南西領陸軍(解放軍)


南西領陸軍の歩兵部隊指揮官で、階級は中尉。弓術・馬術に秀でるほか、詩人の才をも併せ持つ画伯。特に男性同士の濃厚な接触の模様を描いた画を得意とし、それらの作品は女性士官たちの間でひっそりと流通している。

反乱によって中隊を追われたのちは手許にある過去作と新作を火にくべてから都解放軍に合流。「いつどこで討ち死にしようともこれで私の秘密は守られる」と思ったようだが、まさかこんなところでバラされているとは夢にも思うまい。


◆初登場回:20章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ララセル・ハーティ

◆24歳/女性

◆所属:南西領陸軍


エーリカの専属護衛で、侍従長を兼任する。階級は大尉。クールビューティーなので周囲から勝手に有能そうだと期待されるけど、何かが人よりずば抜けているわけではないので結局勝手にがっかりされる。

冷たい印象の見た目に反して性格は至って素朴で素直。「あっち向いてホイ→」ってやったら全く何の疑問も抱かずに顔を「→」ってやっちゃうくらい素直。褒められて伸びるタイプだと思う。かわいがってあげて……カワイガッテアゲテ……カッ…………カワイガッ…テ…………………………カ……………ゲテ……………………。


◆初登場回:21章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆エーリカ・ダーシェルナキ

◆18歳/女性

◆所属:南西領ダーシェルナキ公爵家


ダーシェルナキ家の第二子。こじらせてるシスコン。

グロリアナ領主ゼラ・セレテスに言い寄って困らせているけど自分は四十手前のトリエスタ伯に言い寄られて困っている。

それではトリエスタ伯に一言

「死にさらせですわ!」

口汚ぇですわ。

そして怖くて誰も指摘しないんだけどインテリアの趣味が悪い。


◆初登場回:10章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ミサヤ・クサナギ

◆31歳/女性

◆所属:ソラート神官団


ソラート神官団二位神官将補。農民の出だが村をあげての推挙と資金援助を得て高位聖職者になる夢を叶えた地元大好きお姉さん。それでは南東領ソラート地方のいいところを語っていただきましょう。



「ソラートの富の源は潤沢な湧き水にある。平原を裂いて流れる水と温暖な気候は滋味豊かな作物を育て、その地方の最も貧しい村の民ですら、まず飢え渇くということがない。澄んだ空気と穏やかな野山に囲まれた環境が人を朗らかにすることから療養地としての人気も高い。かくいう私の夫も、喘息の治療のため幼少期に都から移り住んだ口だ。田舎にありがちな排他的な空気もソラートにはなく、そのため移り住む者がもたらす知識や技術が容易に根付き、その地をさらに住みよい場所にするのだ。無論、これほど恵まれた土地であるから、無闇に野山を切り開いたり、または武力で支配しようとする者たちも多くいた。一つはっきり断っておきたいのだが、住民が温和であることは、侵入者や圧政者への従順とは結びつかない。歴代の……(※これがあと30分続く)


◆初登場回:15章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆ゾレア

◆14歳/女性

◆所属:ソラート神官団


ソラート神官団の従軍歌流民。浮世離れしたミステリアスな少女(※ぼーっとしているだけだ)。


歌流民とは、野山に身を置く流浪の民。大陸中に散らばる彼らは共通する生活様式を持っており、すなわち氏族の歌い手は、歌うときしか声を出さない。

ゾレアの氏族は戦時に歌を売るのみでなく、平時にキノコや薬草を原料とする丸薬を作っていた。歌流民の神秘の力で病が癒されるという思い込みによって服用者の本来の自然治癒力を引き出し、さも薬が効いているかのように見せかけるただの黒い粒である。人体って不思議。

ソラートの住人たちは知っているので買わない。「本体価格よりレジにて20%オフ」とか言われても買わない。


◆初登場回:15章

◆シリーズの他の登場作品

 なし

◆エルーシヤ

◆17歳/女性

◆所属:-


ゾレアと同じく歌流民の少女であり、歌うときにしか声を出さない。その生活で得た不思議な感性を有しておれど、中身は普通の女の子。田舎暮らしが嫌になって逃げてきてしまった。今は陸軍広報部のプリシラ・ホーリーバーチ少尉と行動を共にしている。


都の星獣祭で配られる胡桃の護符は、北ルナリアやグロリアナの山塊を塒とする彼女の氏族が歌によって清めながら作るものだ。胡桃の可食部はクッキーにしてグロリアナの周辺で売られる。商品名は「グロリアナに行ってきましたクッキー」とかだろうか。知らんけど。


ちなみに「エルーシヤ」は歌流民の中でありふれた女性名であり、『失語の鳥』の番外編に出てくるエルーシヤとは完全に別人。


◆初登場回:12章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆マナ

◆14歳(※肉体年齢)/女性

◆所属:-


旅の途中でミスリルが出会う謎めいた少女。自称ミスリルの娘。もし本当に娘だったらミスリルが11歳のときの子になるのだが、当然ながら彼に心当たりはない。心当たりどころか女性と手を繋いで街を歩いたことすらない。

14歳という年齢は推定であり自称。なお生まれてきたとき既に14歳だった。


◆初登場回:6章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆シンクルス・ライトアロー

◆25歳/男性

◆所属:ヨリスタルジェニカ神官団


ヨリスタルジェニカ神官団正位神官将。政争によって傾きかけた西方領の名家の嫡男で、家の再興のために父親によって南西領に送り込まれた。古風な喋り方が特徴だが、ここだけの話普通に喋ろうと思えば喋れる。


過集中と注意力散漫を繰り返す。黙ってさえいればとても美形なのにいらんことまでよく喋る。実家は太いが傾きかけている。頭が良くて弁も立つけどこれっぽっちも自重できない。

そんな残念なタイプの天才だが、物事は前向きに考えよう。

普段はあちらこちらに興味の対象が移ろうが、並外れた集中力を発揮した際の成果は素晴らしい。近寄りがたいほどの美形だが、中身は気さくで親しみやすい。実家も傾きかけたとはいえまだ太い。自然に振る舞うだけで目立ってしまうのは自信家で聡明だからである。

残念なタイプの天才なのではない。

天才なタイプの残念なのだ。


◆初登場回:5章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ロザリア・ライトアロー

◆25歳/女性

◆所属:ヨリスタルジェニカ神官団


正位神官将夫人。シンクルスの妻であり、リアンセとプリスの姉。西方領出身。

シンクルスと初めて顔を合わせたのは三歳のときで、このとき既にライトアロー家とホーリーバーチ家の第一子同士として結ばれることが決まっていた。

親同士が決めた結婚とはいえ、成長に従い二人は自然に惹かれあうようになった。

政治的なごたごたから逃れるべく、ロザリアとシンクルスは南西領の神学校に入り直すことが決まり家を出る。同じ時期に、リアンセは父親の当主としての資質に疑問を抱き出奔。

家族喧嘩の最中に妹のリアンセ(脳筋)がカッとなって父親の頭を壺でぶん殴り、心配して見に来たシンクルスが我慢できずに腹を抱えて笑うのを見て以来「実はこの人ちょっとバカなんじゃないか」と思っている。


◆初登場回:5章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆レグロ・ヒューム

◆34歳/男性

◆所属:シオネビュラ神官団


シオネビュラ神官団二位神官将。

独特の個性と落ち着きなさゆえに生家では「将来の見込みなし」と冷遇されていたが、実際大人になったら兄弟の中で一番有能だったというオチがつく。たぶんヒューム家はもう終わっとる。

他のことはともかく仕事はできるというタイプ。

何故かしら自分のことを美男子だと思っている(根拠不明)。


◆初登場回:7章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆メイファ・アルドロス

◆32歳/女性

◆所属:シオネビュラ神官団


シオネビュラ神官団二位神官将補を務めるクレイジー長広舌。南西領陸軍のフェン・アルドロスの妹。

アルドロス家の後継がフェンとメイファしかいない事実からお察しいただける通り、もうアルドロス家も終わっとる。

人間としての中身に関しては姉より多少マシなレベル。

甲冑の上から乳首の位置を当てる能力を持っている。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ニコシア・コールディー

◆29歳/女性

◆所属:シオネビュラ神官団


シオネビュラ神官団三位神官将。真面目で責任感が強い性格。二位神官将に対する態度が横柄だが、これでもかつては敬意を払っていた。

出身もシオネビュラ西部で、居城である西神殿の近くに妹夫婦が住んでいる。市内巡行の際など幼い姪が「おばさまー!」と手を振ってくる。

「お姉さまと呼べ」と思っている。


◆初登場回:7章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ミオン・ジェイル

◆25歳/男性

◆所属:シオネビュラ神官団


シオネビュラ神官団三位神官将補。神学校卒業から僅か一年で現在の地位に抜擢された経歴を持つ。振る舞いは優等生然としているが口が悪い。

ジェイル家は家格が低く、神学校には長男である兄しか通えないはずだったが、武芸と学問の両方で兄より優れていることを証明し、進学の権利を勝ち取った。この生い立ちゆえに成果主義者である。

現在の地位を得てから両親は掌を返してちやほやしだしたが、家督を継ぐ気はない。ジェイル家も終わっとる。


◆初登場回:7章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ゼラ・セレテス

◆25歳/男性

◆所属:ソレリア民兵団


グロリアナ領主にしてソレリア民兵団代表。セレテス家は吹けば飛ぶような底辺領主(((失礼)))ながら、質実剛健を旨とする家風によってグロリアナ領を堅実に治めてきた。

セレテス流炎剣術の継承者。一子相伝なので、ゼラが死んだら剣術も絶える。


性格はやや強情で、数年前に自分で育てた野菜を上流貴族の客に供したところ「痩せた土で育った貧乏くさい味」と馬鹿にされ、「嫌なら召し上がらなくて結構でございます」と言って皿を下げ父親にこっぴどく怒られた。

以来、気にいらない客に対しては問答無用で畑を手伝わせている。


◆初登場回:3章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

付録◆アースフィア世界の度量衡


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◇長さの単位


基本単位はセスタセリオン。地域や職業によってセスタ尺とセリオン尺が使い分けられる。


1セスタ=2.5㎝

1セリオン=7.5㎝

1リセスタ(1リセリオン)=1/10セスタ(1/10セリオン)

1ニ―セスタ(1二―セリオン)=100セスタ(100セリオン)

1デセスタ(1デセリオン)=100ニーセスタ(100ニ―セリオン)

1クレッセスタ(1クレッセリオン)=10デセスタ(10デセリオン)


言語生命体たちが地球で創造主たちと暮らしていた時代、言語生命体の独立をかけた戦に異を唱え、地球人信仰を保つよう呼びかけた姉弟がいた。

姉の名はセスタ。弟の名はセリオン。

二人は同胞によって捕らえられ、両手をすりおろす拷問にかけられた。

救出されたとき、セスタの手首の関節より先の長さは2.5㎝、セリオンは7.5㎝しか残っていなかったと伝えられる。


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◇重さの単位


基本単位はケララ

ケララは麦をさす言葉だが、教会の伝統において典礼及び典礼聖歌を意味することもある。


1ケララ=2.5g

1リケララ=1/10ケララ

1ニーケララ=100ケララ

1デケララ=100ニーケララ

1クレスケララ=10デケララ


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◇体積の単位


基本体積はダータ。野蜜の意であり、血液ないし精液を暗喩する。


1ダータ=25ml

リダータ=1/10ダータ

ニーダータ=100ダータ

デダータ=100ニーダータ

クレスダータ=10デダータ

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