鋼の心

文字数 6,126文字

 5.

 愛しあう二人に言葉はいらないとは使い古された言い回しだ。が、実際そうだった。レミとトビィは、視線に凝縮された、共に過ごした客観的時間の長さと共に過ごせなかった主観的時間の長さ、その濃密さを込めて伝えあうことができた。愛していると。
 二人の頭上ではポロポロと月が砕け始めた。愛しあう男女の再会にはいささか無粋な歌が響いていた。
「コブレンを返せ! コブレンを返せ!」
「日輪連盟消えろ!」
 大合唱。
 レミは路地に足を踏み入れた。もう止まらなかった。結局、体当たりするようにトビィに抱きついた。トビィの服に染み込んだ返り血で顔が汚れようがお構いなしだ。トビィは後ろにふらついたものの、レミをしっかり受け止めて、優しく頭を撫でた。
「たまに私のこと見てたよね?」
 レミは泣き出しそうな声で言った。
「気付いてたんだね」
「どうして声をかけてくれなかったの? ずっと会いたかったよ」
「ごめん」トビィはレミの両肩に手を置いた。「俺の顔をよく見て」
 レミはそうした。月が近すぎるので、明かりは十分だった。トビィの顔が黒くまだらになっているのは、返り血のせいではなく、肌そのものが変色しているのだとはっきりわかる程度には。
「どうしたの、その顔」
「俺たちはもうすぐこの変色に飲み込まれる」
 話している間にも、トビィは肌を蝕む痛みを感じていた。灼けるような、刻むような痛みだ。明らかに歌が侵蝕をひどくしていた。
「だから、君に見せたくなかった」
 俺たち、という言葉にレミは反応した。
「アズはどこ?」
「こっち」
 トビィがレミの手を取る。
「気をつけて」
 レミにわかることは一つとしてなかった。どうして月がこんなに近いの? どうして崩れ落ちていくの? あそこで、月で何が起きているの? トビィの肌はどうして変色しているの? 俺たちってことは、アズもなの?
 アズは二人の殺し屋を始末した地点で、うずくまるように座り込んでいた。目を固く閉ざし、瞼を震わせている。苦痛のうめきが漏れていた。
「アズ」
 レミが屈んで手を取ると、アズは冷たい汗をかきながら目を開けた。蔓のような黒色が、アズの顎から鼻へ、そして目尻へとじわじわ伸びていく。アズは出血のせいで衰弱していた。既に顔面蒼白だ。それでも弱音を吐かなかった。
「レミ、よく無事で……」
 トビィもまた、アズの眼前に身を屈めた。
「苦しいよね、生きているというのは」アズの手を包むレミの手に、自分の手を重ねる。「心配しないで。俺も君の後に逝くよ」
 アズが拳を握りしめる、その力がトビィの掌に伝わってきた。
「トビィ、許してくれ……」
「ああ、もう。アズは俺を信用できないのかな? 何度謝られても答えは同じだよ」
 トビィは地面に両膝をつき、血で汚れた自分の胸の中にアズの頭を抱いた。
「許す、って」
 トビィの喉からは、まだあのヒュウヒュウという音が微かに続いていた。
「大丈夫だよ。苦しくたって素晴らしいことだ、生きているのは」
「本当にそう思うか?」
「うん、本当に」
 トビィはアズを抱くのをやめて、頬に手を当てた。
「俺にもう一度君やレミと過ごす時間を与えてくれてありがとう」
 アズの目尻が潤むのをレミは見た。だが大切な、残り僅かなひとときを台無しにするものが、足音を立ててやってきた。
 これまでそうであったように、三人はもはや一体であり、誰もうろたえず、驚かず、恐怖もなかった。トビィとレミが左右からアズの腕を取り、立ち上がるのを助けた。アズはよろめきながら半月刀を鞘から抜いた。両手に。
 隠れる闇がなくなったコブレンで、歩み寄るジェノスはもう振り香炉を手にしておらず、微かな乳香の匂いを夢の名残のようにまとわせていた。
 けしかけた部下を皆殺しにされた殺し屋の頭目は、それらの死体の手前で足を止め、黒塗りの両手剣を抜いた。両手剣は光を反射しなかった。その切先が向く舗道には、殺し屋の一人が手に持っていた槍が落ちていた。
「消耗したな」
 ジェノスが言った。答えるのはトビィ。
「君を討つまでは()つって言ったの忘れないでほしいね」
「くたばりかけた二人にとどめを刺せば、あとは街じゅう駆けずり回って疲れ果てたのが一人だ」
「確かに俺たちは疲れ果ててる、認めるよ」トビィは庇うように二人の仲間の前に出た。「でも、一人じゃない」
 レミが、音もなく取り出した鎖をジェノスに投げつけた。顔面目掛けて投げつけられた鎖をジェノスは両手剣に絡めるように防ぎ、鎖が絡まるままのその刃を、繰り出されたトビィの月牙の根本に引っ掛けた。
 トビィの手から月牙の柄が落ちる。
「トビィ!」
 アズが叫んでジェノスの気を引いた。左手の半月刀を右肩の上に、右手の半月刀を左の脇腹に構え、ジェノスに斬りかかっていく。
 その間にトビィは足許に転がる槍を蹴った。蹴って、左手に握る。
 ジェノスに斬りつける、その一撃がアズの限界だった。半月刀は空振りし、ジェノスが体の位置を入れ替えてアズの背後を取る。
 と、アズの右の脇の下から左肩へと腕を回し、盾にした。
「天球の祝福にかけて、止まれ!」
 ジェノスの左手がアズの喉にダガーをつきつける。
 トビィは止まらなかった。
 レミすら予測していなかった。全身の力を込めたトビィの槍の一撃が、アズもろともジェノスの体を貫くことを。
 まさか、とレミが息をのんだときには、それは実行されていた。
 アズはとても驚いたような顔をしていた。
 その目は光を宿したまま――
 ジェノスに後ろから突き飛ばされて、アズは倒れた。
 腹から背へと槍が貫通したままだった。
「アズ!」
 レミは悲鳴のように叫んだが、どこか冷静だった。アズは一人で逝くわけではないのだ。
「馬鹿な――」
「俺が動揺するとでも思った?」トビィは言った。「弟の命に換えてでも、お前を殺すよ」
 腹から血を流しながらよろめくジェノスに、レミは残るもう一本の鎖を握りしめ、肩の後ろに振りかざしながら飛びかかった。今度の一撃は命中した。ジェノスは頭から血を噴き上げ、壁に激突した。ジェノスの腰から、レミは彼の黒塗りの両手剣を抜いた。
「ジェノス、お前のような輩は自ら振るう刃に討たれて死ぬがいい!」
 ジェノスはまだ、かろうじて立っていた。腹を手で押さえているが、流血の勢いは止められない。
「何故」
 ジェノスの歯の隙間から、声と共に血が出てきた。
「何故貴様らは戦うのだ、何のために」
「コブレンの戦後の平定のため」
 疲れた両手に月牙を握りしめるトビィをジェノスは嘲笑った。
「戦後など来ぬわ。神である地球人が我らを裁くために来られた」
「来るのは地球人じゃない。神でもない。戦後だよ」
 油断なく月牙をジェノスの首に突きつけて、トビィは笑い返した。
「俺たちの誰も神を見たことはない」トビィは言った。「神は実体じゃなくて、いるかもしれないという可能性だった。天球の巡りも大地の恵みも今は可能性の領域に押し込められている。でも俺は信じるよ。もう一度大地が芽吹き、新しい命が生まれるって」
「何を根拠に」
「根拠? 何言ってるの?」
 トビィの声を聞きながら、致命傷を負ったジェノスがずるずると地面に崩れ落ちる。トビィにはわかった。ジェノスは脾臓をやられている。その激痛に耐えて話し続けるとは、常人離れした精神力だ。
「信じるって、博打(ばくち)だよ。信仰に根拠がいると思う?」
 ジェノスはもはや答えなかった。答えようとはするものの、口から血の塊を吐くだけだった。
 それで、レミは慈悲の一撃をくれてやることにした。とどめを。
 ジェノスの首が彼自身の剣で裂かれるのを見たあと、トビィはしばし戦いの余韻に浸った。その間にレミは剣を投げ捨て、仲間、倒れているアズのもとに駆け寄った。
「アズ」
 槍に貫かれたまま、驚くべきことにアズはまだ意識を保っていた。何度も目をしばたたき、月の眩しさに耐えていた。
 掠れた声が言った
「レミ、いいんだ、俺なら」レミの涙が顔に落ちるのをアズは感じた。「……本、望……」
 トビィもやってきて、レミと二人してアズの顔を覗き込んだ。二人は何かを必死に伝えようとしていた。アズは聞こうと努力した。二人の顔を見ようとさえした。けれどアズの両目はもう焦点を結ばない。
 見えるのは、月。砕け落ちる月の光――
『アズ』
 命が流れ出ていくなか、誰かが魂に呼びかけた。
『アズ、私を覚えてる?』
 少しずつ苦痛から解放されていくのを感じながら、アズはその声に心で応じた。
『この声は、マナか?』
『うん』
 気付けば、一面の灰白色。トビィもいない。レミもいない。もはや傷つくことも疲れることもない体でアズは立っていた。
『マナ、どこにいる?』
 何もない空間に問いかければ、答えは直接心に与えられた。
『どこにでもいるよ。私は私じゃなくなってしまったの』
『俺は死んだのか?』
『ううん、まだ』
『お前にはコブレンにいる俺たちが見えているか?』
『うん』マナは訴えた。『助けてほしいの』
 アズは困惑しながら尋ねた。
『俺はもうすぐ死ぬ。まだできることがあるのか?』
『あるよ。アズにしかできないこと』
『教えてくれ』
『可能性を選択するの。あなたが口にした希望を。私は……』
 声が一瞬、中性的な別人のものとなり、すぐマナの声に戻った。
『……砂の書記官は、確かに地球人に作られた。だけど千年、ずっと言語生命体を見てきた。私は/砂の書記官は』
 二つの声。
『お前たちに味方する/言語生命体の味方だよ』
 なんと心強いことだろう。アズは微笑んだ。心は安らぎに満ちていた。死にゆくものの安らぎに。
 安らぎは破られようとしていた。
『だからアズ、もう一度戦って』
『どうすればいい』
『可能性を選ぶの。あなたが願う可能性を。実行して』
 可能性――。
 レミの腕の中で、いよいよ息を引き取ろうとしていたアズが両目を見開いた。
 可能性。俺が望む可能性を。
 実行する。
 最後の力を振り絞り、左手を胸に寄せた。その意志を汲み、トビィの手が腕を支えた。
 アズは天を指す。
 月を。
 天球儀を。
 その指先が炎に包まれた。
 望むことは一つ。
 世界が蘇ること。
 もう一度、命と祝福が大地に満ちること。
 その可能性を選び取れるというのなら、賭けよう。
 アズの手が燃える。
 もう一度生きる、再生、その象徴、太古歌の領域に豊かに息づく象徴。
 不死鳥。
 アズの体は炎に包まれたが、その炎でレミとトビィを害することはなかった。
 コブレンの路地、驚きに息詰めるレミの膝から、燃え盛る火の鳥が翼を広げて舞い上がった。
 星獣兵器の呪いに体を侵された者の最期の姿が。
 アズだったものが。

 ※

「コブレンを返せ! コブレンを――」
 群衆は、赤く燃え盛る鳥が頭上に舞い上がるのを見た。合唱が小さくなり、星獣兵器を思い出して悲鳴を上げる者もいた。
「あれは星獣兵器なの?」
 レミはトビィの右腕に抱きつきながら尋ねた。鳥は、かつてこの街で昼星がそうしていたように、屋根屋根の上で円を描きながら高度を増していく。
「わからない。でも違うと思うな」トビィは心のままに答えた。「だって、あんなにきれいじゃない?」
 人々は鳥を見て、鳥は人々を見た。人々の苦しみを見た。
 こんなに寒いのに、しかも暴動が起きているのに、家に入れてもらえず裏の戸口でうずくまる子供を見た。
 騒動に便乗した強盗に押し入られ、手ひどく縛り上げられた老人がいるのを見た。
 金持ちの家の玄関先で、パンの一かけらももらえず蹴り出される物乞いを見た。
 先の戦禍に伴う火災で両目と両腕を失い、恐慌に駆られ、何が起きているのか教えてくれ、それか殺してくれと喚く傷病兵を見た。
 それらの苦しみを、鳥は全身で受けた。
 身をよじり、甲高い金切り声で鳴く。
 気を失ったかのように翼を畳んで落下する。民家の屋根に激突する直前、鳥はもう一度翼を広げ、どうにか姿勢を立て直した。
 首を上げ、天を目指す。
「見てられない」レミの声は震えていた。「あれは落ちる」
「ううん、レミ」トビィは鳥から目を離さずに言った。「アズは諦めないよ」

 ※

 少しでも高みに上がろうと、鳥はもがいていた。もはやアズとしての意識はほとんど残っていなかった。
 それでも鳥は、眼下にコブレン自警団の本部を目にしたとき、魂までもが燃え上がるのを感じた。自警団本部からさほど離れていないところに陶房の集まる区画がある。
 明るすぎる月光の中で、レミとトビィがまっすぐに鳥を見上げていた。
「頑張れ!」レミは涙を振り絞り叫んだ。「頑張れ! 諦めるな! 頑張れ!」
 あれはもうアズではない。呼んではいけない。呼び止めることになるから。
「行け! 行け!」
 レミは心に決めていた。惨めに泣き喚いたりするものか。にも関わらず、(ほとばし)る涙を止めることができなかった。
 ぐるり、鳥は群衆の上を旋回する。鳥は白く輝く鏡の広場を見下ろした。そこに捨てられた子供たちがかつて己の仲間だったことを微かに意識した。
 鳥はまた、苦しみと同じくらいの喜びを街に見出した。
 家から閉め出された子供は立ち上がり、閉め出した両親が決して見ることのできないもの、天を舞う火の鳥が徐々に高度を上げていくのを目にした。群衆は何か希望のようなものが芽生えるのを感じ、帽子をかぶっていた者はそれを脱いで、手に手に振った。恋人たちは指を絡め、身を寄せ合っていた。睦まじい老夫婦が、窓辺で互いの腰に腕を回していた。楽士たちがめいめい喇叭やシンバルを鳴らし始めた。
 オーサー師がいた。
 レンヌがいた。
 ジェスティとアスターもいた。
 皆、鳥を見ていた。
 その視線、祈るような眼差しが翼に揚力を与えた。鳥は今やまっすぐに首を伸ばしていた。
 空へ。
 人々が生きている。そう感じると、ふわりと体が軽くなった。
 命ある限り生きるがいい。世界は美しく、生きるに値する。
 レミは、鳥の姿がひときわ燃え立つ炎となって輝くのを見た。燃え落ちるかと思えたそれは、重力に反してまっすぐ夜空に吸い込まれていく。
 そして天球儀に激突した。
 あっ、と思う間もなく、白色光を放つ天球儀に大きな丸い穴が穿(うが)たれた。その穴を中心に、天球儀に(ひび)が走る。
 一瞬ののちには、月もろとも、天球儀は無数の破片に変わった。
 惑星アースフィアを包み込む鳥籠は無限の流れ星となった。寄り添うトビィとレミの姿を白く映し出す。
「鳥籠が開いたよ」
 トビィが囁いた。
「アズはやり遂げたんだね」
「うん」
 二人の胸は静かに満たされていた。
「俺たちの大事なアズ」
 白かった天球儀の全て破片は、アースフィアの上空で赤い尾を引きながら消えていく。そのもう少し上では、月が崩れ続け、もう半分、姿を消していた。
 トビィは体の向きを変え、右腕に抱きつくレミの肩に手を触れた。
「オーサー師に伝えて。俺たちの最期を。今までありがとうって」
「……うん」
「レミ」
 真っ黒に変色した手で、トビィはレミの頬に触れた。
「愛してる」
 レミの息が震えた。
 全力で抱きしめようとした。それが返事だ。が、手応えはなかった。抱きしめるのと全く同時に、トビィは姿形を失って、黒い砂と化した。
 トビィの着ていた衣服がレミの腕に残った。


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登場人物紹介

◆ミスリル・フーケ

◆25歳/男性

◆所属:コブレン自警団


『暗殺者を狩る暗殺者』の育成機関、コブレン自警団の団長の一番弟子。正義感が強く、好戦的で熱血だけど気分屋なのでいきなり冷める。自分のことを暗殺者だと思ってるわりに騒々しい。11歳のときに実の母親との間にできた娘が「いないつってんだろっ!!」いません(忖度)。

画像は「このカス野郎をどう始末してやろうか」と思案しているときの顔。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 2作目『鳥籠ノ国』

 外伝『失語の鳥』

◆アエリエ・フーケ

◆27歳/女性

◆所属:コブレン自警団


もとは豪商の娘だったがいろいろあって10歳で浮浪児となり、コブレン自警団に保護された。

女性ながら大鎌をはじめとする長柄武器の扱いに長け、ミスリルの行くところにはどこにでもついて回って敵の生首を刎ね飛ばす。恐い。ちょっと恐い。笑顔がちょっと恐い。足許にひれ伏すと踏んでくれる。マゾは急げ!


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 2作目『鳥籠ノ国』

 外伝『失語の鳥』

◆マリステス・オーサー

◆25歳/男性

◆所属:コブレン自警団


通称テス。鳥好きで頭が緑とかいう実に安直な理由で『真鴨』とか『鴨』とか呼ばれている。

自閉傾向が顕著に強く、表情の変化の乏しさと相俟って「何を考えているのかわからない」という印象を与えがちだが、感じる力も考える力も強いほう。

コミュ障の自覚があるため、コミュ力の高い兄弟子のトビィに対してとても屈託している(嫌ってるわけではない(むしろ大好き(面倒くさいタイプ)))。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 2作目『鳥籠ノ国』

 外伝『失語の鳥』

◆アザリアス・オーサー

◆27歳/男性

◆所属:コブレン自警団


通称アズ。自警団の武術師範の一人であるオーサー師の一番弟子。30歳以下の自警団主力戦闘員の中では第一位の戦闘能力を持つ。

戦いになると実に容赦ないが、素の性格はシャイで温厚。天然だけど人から天然って言われると傷つく(繊細)。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 外伝『使者と死者の迷宮』

◆トビアス・オーサー

◆27歳/男性

◆所属:コブレン自警団


通称トビィ。アズの双子の兄弟。長柄武器を得意とするほか、犬を訓練する技能を持つ。陽気でとっても優しくて、子供と動物が大好きな親しみやすいお兄さんだよ! たまに笑いながら人殺しちゃうけど……。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 外伝『使者と死者の迷宮』

◆レミ・イスタル

◆25歳/女性

◆所属:コブレン自警団


イスタル師の二番弟子。朝寝坊クイーン。三人一組が基本となる重要な仕事ではアズ&トビィと組むことが多く、この二人と一緒にいる日は朝自分から起きてこない。

生真面目かつ強気にふるまっている反動か、妹のようにかわいがってくれる人の前では子供のように無邪気な態度になる。かと思えば妙に機嫌が悪いときもある。特に朝。朝。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 外伝『使者と死者の迷宮』

◆リレーネ・リリクレスト

◆17歳/女性

◆所属:北方領リリクレスト公爵家


北方領リリクレスト家の公女だが、他家に嫁がせるためのお飾りとして育てられた。でも根が逞しいので環境への適応力が高い。


リリクレスト家は惑星アースフィアが移住可能な環境になる遥か以前から続く古い家であり、その血筋は地球における最初の10体の言語生命体試作品にまで遡るとされている。

それゆえ言語生命体の神である地球人からさえも重んじられ、宇宙戦争が行われた時代に授与された宝冠が数千年ものあいだ家宝として受け継がれてきたがリレーネが6歳のときに壊しちゃった。昔お転婆だったから壊しちゃった。

6歳だけどさすがにこれはヤバイと思って庭に埋めてしまった。

家じゅう大騒ぎになってたけど無駄に意志が固いので沈黙を守り抜いた。

ときおり思い出して寝れなくなる。

たぶん今も埋まっている。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆リージェス・アークライト

◆22歳/男性

◆所属:北方領陸軍


北方領陸軍で最もぼっち飯が似合う男と恐れられる若き護衛武官。階級は少尉。士官学生時代は優等生だった。毎日ぼっち飯だったけど。

なんだかんだでお人好しなので、試験の前にノートを貸してくれと泣き付かれて貸したら試験が終わるまで返ってこなかったりしたタイプ。怒っていいと思う。


巻き込まれ型の不幸体質なので登場するたびにひどい目に遭う。

仮にもシリーズ第1作目のメインヒーローが何故このような扱いをされるのかと思うと不憫で笑いが止まらない。

ごめん間違えた。

涙が止まらない。


とってつけたように言うけどリレーネ付きの護衛である。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

(過去作での名はリージェス・メリルクロウ)

◆パンジェニー・ロクシ

◆22歳/女性

◆所属:北方領陸軍


北方領の護衛武官。試験が終わるまでリージェスにノートを返さなかった犯人。

本編ではリレーネとリージェスが南西領に潜入するのに協力したが、コブレンの手前ではぐれたらしい。過去作を読まれた方のうちの実に99%以上が忘却の彼方へと葬り去ったであろう、シリーズ一作目からのリベンジャー。それでは一言意気込みをどうぞ。

「パンジーって呼んでよ(血涙)」


◆初登場回:8章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

◆リアンセ・ホーリーバーチ

◆24歳/女性

◆所属:南西領陸軍(解放軍)


陸軍情報部の間諜。間諜は単独での潜入が必要となる任務が多いため、油断を誘うべく実年齢より幼く見える格好を普段からしている。上腕二頭筋とかムキムキだけど。任務のためだけでなく、本人もかわいい服や小物が大好きである。背筋とかゴリゴリだけど。その甲斐あってか潜入や工作の成功率が非常に高く、情報部内ですら(服の上からの)外見に騙される者が一定数いる。腹筋とかバキバキだけど。

でもそれは、強くなければ生き残れないことをよく知っているからこそ。毒舌だったり辛辣なところがあるけれど、姉と妹のことは大好きな三姉妹の次女。

シリーズ1作目からいるけど登場するたびに箍が外れていく。


◆初登場回:4章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆シルヴェリア・ダーシェルナキ

◆20歳/女性

◆所属:南西領陸軍(解放軍)


南西領総督シグレイの長子。自分の軍隊が欲しくて18歳のお誕生日に少将の官位を買ってしまった(買ってしまった)。

買官によって権威を得た者に武官たちが向ける目は冷ややかなものだが、シルヴェリアは卓抜した手腕によってたちまち最悪の評価を覆した。

ただし露出の多い服装で人前に出たり、高貴な身分の人間が口にすべきでない単語や言いまわしを使いこなしたり、好色が過ぎて男女問わず手を出したりと問題行動が多い。


弟妹が5人いるのだが、2歳年下の妹エーリカには嫌われている。

もともとプライドが高いエーリカのコンプレックスを刺激しがちなうえ、10歳の頃にエーリカが丁寧に作った押し花を目の前でムッシャムッシャバリボリと貪り食ってからは蛇蝎の如く嫌われている。

何故そんなことをしたのか全くわからない点もまた嫌われている。

しかも父シグレイがその件でシルヴェリアを叱責しなかったので必要以上に嫌われている。

まあとにかく嫌われている。

結論:全部パパが悪い。


◆初登場回:4章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆フェン・アルドロス

◆37歳/女性

◆所属:南西領陸軍(解放軍)


シルヴェリアの副官。美少年のような色香を漂わせる37歳独身美熟女というちょっとどういう層を狙っているのかよくわからない逸材。お遊びの度が過ぎ、陸軍司令部で17股をかけていたことがばれて無事職場の人間関係を崩壊させる。

前線送りとなった先で出会ったシルヴェリアとはすぐに意気投合し、同性の愛人の座を獲得した。

しかしながら誰にでも見境なくちょっかいを出すわけではなく、性的合意があっても未熟過ぎたり責任能力のない相手には一切手出ししない。当たり前のことなんだけど……。

シオネビュラ神官団のメイファ・アルドロスの実の姉。


◆初登場回:4章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆マグダリス・ヨリス

◆35歳/男性

◆所属:南西領陸軍(解放軍)


歩兵精鋭部隊を指揮する大隊長だったが、編成中だった親衛連隊内の一個大隊を鍛えるべくシルヴェリアに抜擢されていた。階級は少佐。陸軍内においては『歩く殺戮装置』とか『三つ編み三十代』とか陰口を叩かれる。

高潔さと冷酷さを併せ持ち、他人に厳しいが自分に対してはもっと厳しいので立場の弱い者たちからは愛されている。

ときに行動が大胆なだけでなく、天才的な剣の腕を持つため恐い人だと思われることもしばしば。大丈夫。恐くない。たまに一人で百人殺しちゃうだけだ。よくあるよくある。


◆初登場回:5章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ヴァンスベール・リンセル

◆20歳/男性

◆所属:南西領陸軍


通称ヴァン。前線部隊に配属されたばかりの士官学校の新卒。リンセル家は海軍士官を多く輩出する家柄だが、本人曰く「伯父さんが恐いから陸軍に来た」。でも本当は船酔いするからである。実は馬にも酔う。

一見してそんなに強そうには見えないけれど実力派のダークホース。士官学校の剣術の成績は一、二を争うレベルだった。なお座学に関しては下から一、二を争うレベルだった模様。


◆初登場回:12章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆プリシラ・ホーリーバーチ

◆20歳/女性

◆所属:南西領陸軍


通称プリス。ロザリア、リアンセに続くホーリーバーチ家三姉妹の三女。お姉ちゃんたちが大好きで、リアンセが父親を見限って西方領を出奔するとき一緒に家を出てしまった。

11歳で家をでた娘を心配して母親は父に内緒で送金してくれたのだが、そのお金で「神学校に通う」と嘘をついて陸軍士官学校を卒業。

性格は明るく大胆で、良くも悪くも自分に正直。

陸軍広報部徴募部隊所属。ヴァンとは士官学校の同期の間柄。


◆初登場回:12章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆アイオラ・コティー

◆26歳/女性

◆所属:南西領陸軍(解放軍)


南西領陸軍の歩兵部隊指揮官で、階級は中尉。弓術・馬術に秀でるほか、詩人の才をも併せ持つ画伯。特に男性同士の濃厚な接触の模様を描いた画を得意とし、それらの作品は女性士官たちの間でひっそりと流通している。

反乱によって中隊を追われたのちは手許にある過去作と新作を火にくべてから都解放軍に合流。「いつどこで討ち死にしようともこれで私の秘密は守られる」と思ったようだが、まさかこんなところでバラされているとは夢にも思うまい。


◆初登場回:20章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ララセル・ハーティ

◆24歳/女性

◆所属:南西領陸軍


エーリカの専属護衛で、侍従長を兼任する。階級は大尉。クールビューティーなので周囲から勝手に有能そうだと期待されるけど、何かが人よりずば抜けているわけではないので結局勝手にがっかりされる。

冷たい印象の見た目に反して性格は至って素朴で素直。「あっち向いてホイ→」ってやったら全く何の疑問も抱かずに顔を「→」ってやっちゃうくらい素直。褒められて伸びるタイプだと思う。かわいがってあげて……カワイガッテアゲテ……カッ…………カワイガッ…テ…………………………カ……………ゲテ……………………。


◆初登場回:21章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆エーリカ・ダーシェルナキ

◆18歳/女性

◆所属:南西領ダーシェルナキ公爵家


ダーシェルナキ家の第二子。こじらせてるシスコン。

グロリアナ領主ゼラ・セレテスに言い寄って困らせているけど自分は四十手前のトリエスタ伯に言い寄られて困っている。

それではトリエスタ伯に一言

「死にさらせですわ!」

口汚ぇですわ。

そして怖くて誰も指摘しないんだけどインテリアの趣味が悪い。


◆初登場回:10章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ミサヤ・クサナギ

◆31歳/女性

◆所属:ソラート神官団


ソラート神官団二位神官将補。農民の出だが村をあげての推挙と資金援助を得て高位聖職者になる夢を叶えた地元大好きお姉さん。それでは南東領ソラート地方のいいところを語っていただきましょう。



「ソラートの富の源は潤沢な湧き水にある。平原を裂いて流れる水と温暖な気候は滋味豊かな作物を育て、その地方の最も貧しい村の民ですら、まず飢え渇くということがない。澄んだ空気と穏やかな野山に囲まれた環境が人を朗らかにすることから療養地としての人気も高い。かくいう私の夫も、喘息の治療のため幼少期に都から移り住んだ口だ。田舎にありがちな排他的な空気もソラートにはなく、そのため移り住む者がもたらす知識や技術が容易に根付き、その地をさらに住みよい場所にするのだ。無論、これほど恵まれた土地であるから、無闇に野山を切り開いたり、または武力で支配しようとする者たちも多くいた。一つはっきり断っておきたいのだが、住民が温和であることは、侵入者や圧政者への従順とは結びつかない。歴代の……(※これがあと30分続く)


◆初登場回:15章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆ゾレア

◆14歳/女性

◆所属:ソラート神官団


ソラート神官団の従軍歌流民。浮世離れしたミステリアスな少女(※ぼーっとしているだけだ)。


歌流民とは、野山に身を置く流浪の民。大陸中に散らばる彼らは共通する生活様式を持っており、すなわち氏族の歌い手は、歌うときしか声を出さない。

ゾレアの氏族は戦時に歌を売るのみでなく、平時にキノコや薬草を原料とする丸薬を作っていた。歌流民の神秘の力で病が癒されるという思い込みによって服用者の本来の自然治癒力を引き出し、さも薬が効いているかのように見せかけるただの黒い粒である。人体って不思議。

ソラートの住人たちは知っているので買わない。「本体価格よりレジにて20%オフ」とか言われても買わない。


◆初登場回:15章

◆シリーズの他の登場作品

 なし

◆エルーシヤ

◆17歳/女性

◆所属:-


ゾレアと同じく歌流民の少女であり、歌うときにしか声を出さない。その生活で得た不思議な感性を有しておれど、中身は普通の女の子。田舎暮らしが嫌になって逃げてきてしまった。今は陸軍広報部のプリシラ・ホーリーバーチ少尉と行動を共にしている。


都の星獣祭で配られる胡桃の護符は、北ルナリアやグロリアナの山塊を塒とする彼女の氏族が歌によって清めながら作るものだ。胡桃の可食部はクッキーにしてグロリアナの周辺で売られる。商品名は「グロリアナに行ってきましたクッキー」とかだろうか。知らんけど。


ちなみに「エルーシヤ」は歌流民の中でありふれた女性名であり、『失語の鳥』の番外編に出てくるエルーシヤとは完全に別人。


◆初登場回:12章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆マナ

◆14歳(※肉体年齢)/女性

◆所属:-


旅の途中でミスリルが出会う謎めいた少女。自称ミスリルの娘。もし本当に娘だったらミスリルが11歳のときの子になるのだが、当然ながら彼に心当たりはない。心当たりどころか女性と手を繋いで街を歩いたことすらない。

14歳という年齢は推定であり自称。なお生まれてきたとき既に14歳だった。


◆初登場回:6章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆シンクルス・ライトアロー

◆25歳/男性

◆所属:ヨリスタルジェニカ神官団


ヨリスタルジェニカ神官団正位神官将。政争によって傾きかけた西方領の名家の嫡男で、家の再興のために父親によって南西領に送り込まれた。古風な喋り方が特徴だが、ここだけの話普通に喋ろうと思えば喋れる。


過集中と注意力散漫を繰り返す。黙ってさえいればとても美形なのにいらんことまでよく喋る。実家は太いが傾きかけている。頭が良くて弁も立つけどこれっぽっちも自重できない。

そんな残念なタイプの天才だが、物事は前向きに考えよう。

普段はあちらこちらに興味の対象が移ろうが、並外れた集中力を発揮した際の成果は素晴らしい。近寄りがたいほどの美形だが、中身は気さくで親しみやすい。実家も傾きかけたとはいえまだ太い。自然に振る舞うだけで目立ってしまうのは自信家で聡明だからである。

残念なタイプの天才なのではない。

天才なタイプの残念なのだ。


◆初登場回:5章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ロザリア・ライトアロー

◆25歳/女性

◆所属:ヨリスタルジェニカ神官団


正位神官将夫人。シンクルスの妻であり、リアンセとプリスの姉。西方領出身。

シンクルスと初めて顔を合わせたのは三歳のときで、このとき既にライトアロー家とホーリーバーチ家の第一子同士として結ばれることが決まっていた。

親同士が決めた結婚とはいえ、成長に従い二人は自然に惹かれあうようになった。

政治的なごたごたから逃れるべく、ロザリアとシンクルスは南西領の神学校に入り直すことが決まり家を出る。同じ時期に、リアンセは父親の当主としての資質に疑問を抱き出奔。

家族喧嘩の最中に妹のリアンセ(脳筋)がカッとなって父親の頭を壺でぶん殴り、心配して見に来たシンクルスが我慢できずに腹を抱えて笑うのを見て以来「実はこの人ちょっとバカなんじゃないか」と思っている。


◆初登場回:5章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆レグロ・ヒューム

◆34歳/男性

◆所属:シオネビュラ神官団


シオネビュラ神官団二位神官将。

独特の個性と落ち着きなさゆえに生家では「将来の見込みなし」と冷遇されていたが、実際大人になったら兄弟の中で一番有能だったというオチがつく。たぶんヒューム家はもう終わっとる。

他のことはともかく仕事はできるというタイプ。

何故かしら自分のことを美男子だと思っている(根拠不明)。


◆初登場回:7章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆メイファ・アルドロス

◆32歳/女性

◆所属:シオネビュラ神官団


シオネビュラ神官団二位神官将補を務めるクレイジー長広舌。南西領陸軍のフェン・アルドロスの妹。

アルドロス家の後継がフェンとメイファしかいない事実からお察しいただける通り、もうアルドロス家も終わっとる。

人間としての中身に関しては姉より多少マシなレベル。

甲冑の上から乳首の位置を当てる能力を持っている。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ニコシア・コールディー

◆29歳/女性

◆所属:シオネビュラ神官団


シオネビュラ神官団三位神官将。真面目で責任感が強い性格。二位神官将に対する態度が横柄だが、これでもかつては敬意を払っていた。

出身もシオネビュラ西部で、居城である西神殿の近くに妹夫婦が住んでいる。市内巡行の際など幼い姪が「おばさまー!」と手を振ってくる。

「お姉さまと呼べ」と思っている。


◆初登場回:7章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ミオン・ジェイル

◆25歳/男性

◆所属:シオネビュラ神官団


シオネビュラ神官団三位神官将補。神学校卒業から僅か一年で現在の地位に抜擢された経歴を持つ。振る舞いは優等生然としているが口が悪い。

ジェイル家は家格が低く、神学校には長男である兄しか通えないはずだったが、武芸と学問の両方で兄より優れていることを証明し、進学の権利を勝ち取った。この生い立ちゆえに成果主義者である。

現在の地位を得てから両親は掌を返してちやほやしだしたが、家督を継ぐ気はない。ジェイル家も終わっとる。


◆初登場回:7章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ゼラ・セレテス

◆25歳/男性

◆所属:ソレリア民兵団


グロリアナ領主にしてソレリア民兵団代表。セレテス家は吹けば飛ぶような底辺領主(((失礼)))ながら、質実剛健を旨とする家風によってグロリアナ領を堅実に治めてきた。

セレテス流炎剣術の継承者。一子相伝なので、ゼラが死んだら剣術も絶える。


性格はやや強情で、数年前に自分で育てた野菜を上流貴族の客に供したところ「痩せた土で育った貧乏くさい味」と馬鹿にされ、「嫌なら召し上がらなくて結構でございます」と言って皿を下げ父親にこっぴどく怒られた。

以来、気にいらない客に対しては問答無用で畑を手伝わせている。


◆初登場回:3章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

付録◆アースフィア世界の度量衡


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◇長さの単位


基本単位はセスタセリオン。地域や職業によってセスタ尺とセリオン尺が使い分けられる。


1セスタ=2.5㎝

1セリオン=7.5㎝

1リセスタ(1リセリオン)=1/10セスタ(1/10セリオン)

1ニ―セスタ(1二―セリオン)=100セスタ(100セリオン)

1デセスタ(1デセリオン)=100ニーセスタ(100ニ―セリオン)

1クレッセスタ(1クレッセリオン)=10デセスタ(10デセリオン)


言語生命体たちが地球で創造主たちと暮らしていた時代、言語生命体の独立をかけた戦に異を唱え、地球人信仰を保つよう呼びかけた姉弟がいた。

姉の名はセスタ。弟の名はセリオン。

二人は同胞によって捕らえられ、両手をすりおろす拷問にかけられた。

救出されたとき、セスタの手首の関節より先の長さは2.5㎝、セリオンは7.5㎝しか残っていなかったと伝えられる。


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◇重さの単位


基本単位はケララ

ケララは麦をさす言葉だが、教会の伝統において典礼及び典礼聖歌を意味することもある。


1ケララ=2.5g

1リケララ=1/10ケララ

1ニーケララ=100ケララ

1デケララ=100ニーケララ

1クレスケララ=10デケララ


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◇体積の単位


基本体積はダータ。野蜜の意であり、血液ないし精液を暗喩する。


1ダータ=25ml

リダータ=1/10ダータ

ニーダータ=100ダータ

デダータ=100ニーダータ

クレスダータ=10デダータ

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