正当性と被虐愛

文字数 6,604文字

 1.

「市の財産がですね」
 北ルナリア副市長ジェレナク・トアンの杖が、コブレンの市場(いちば)の石畳を突いた。
一切合切(いっさいがっさい)なくなっているんですな、これが」
 ガツッ! と音をたて、もともと亀裂が入っていた石畳は半分に割れた。
「現金、貴金属、宝石類、手形、帳簿、穀物、一切です。一切合切です!」
 この男らしい所作(しょさ)だとエーリカは思った。ぶち壊しにするのが好きな男。美しいものならなおさら。
 第二公女エーリカ・ダーシェルナキとトアンの間を、降りしきる雪の幕が遮っていた。もちろんコブレンの(いち)は開かれず、都市は静まり返っている。住人が息を潜めているのではない。もうこの区画には誰も住んでいないのだ。
 多くの家は壁のどこかしらが打ち壊されて内部が剥き出しになり、また別の家は内側から焼き払われていた。黒い煤が窓から伸びて外壁の色を変えているため、コブレンの戦いが行われた日の風向きがよくわかった。知りたくもなかったが。
「至らぬ弟のしでかしたことは、いかにも新総督の顔を汚す当家の恥……」
 エーリカは眉をひそめながら、心の中ではこう悪態をついていた。
 カーラーン。生きて会えたらお前の出来損ないの頭を肥溜めにぶちこんで窒息死させてやる。首を洗って待ってろ。
(わたくし)は、もっと早く慰問に訪れるべきでしたわね。市民にかける言葉を道中(どうちゅう)考えておりましたが、市内の惨状を目にした今、それも無意味なこと」
滅相(めっそう)もございません、公女殿下。あなた様のお言葉を市民は待ちわびております。慰めが必要なのです」
 トアンは市場を見下ろす集合住宅を大仰な手振りで示した。
「殿下のお慰めを」
「慰めるですって?」
 そこには死者しかいなかった。コブレンの戦いから一週間が過ぎたが、戦闘に巻き込まれた市民の遺体は打ち捨てられたままだった。日輪連盟の将兵たちも、敵味方の兵を埋めた後は、葬儀を続けようと誰も言い出さない。
 市民の埋葬は市民の手に(ゆだ)ねられているが、それがどれほど進んでいるか知るには、洗濯物のように窓から上半身を乗り出して死んでいる男を見れば十分だ。
 エーリカは頭上の死体からトアンに目を戻した。
「お(たわむ)れを。副市長殿、コブレン市民の傷ついた心には、私もまた加害者でございますわ」
「加害者ですと」
「あなた方の部隊は投入した星獣を制御できませんでした」
「何を仰います」
「副市長殿」
 エーリカの声が低くなる。
禍根(かこん)(のこ)すやり方をすべきでないと、私は申し上げたはずですわ」
「殿下、いかにも私は民衆の遺恨(いこん)の恐ろしさをよく存じております」
 反対に、トアンの声は高い猫なで声に変わった。
「私は、かの前トリエスタ伯の末路をこの目で見ておりましたので」
 エーリカは心の中で舌打ちする。失言だった。トアンは勢いづいて尋ねてきた。
「ところで殿下、そのう、現在のトリエスタ伯が殿下とのご結婚を望んでいらっしゃるというお噂をかねがねと伺っておりますが」
「あら、婚約の件でしたら既に成立しております」
 エーリカは毛織りの手袋を取り、従卒(じゅうそつ)に渡した。剥き出しになった褐色の手は、優雅な物腰に反して、剣術の稽古で血豆だらけになっていた。むしろ薬指に光る指輪のほうこそがそぐわぬ物に見えた。
「おや、まあ、これは」
 トアンは本当に驚いていた。
「存じ上げませんでした。これは大変、失礼をば」
「祝福は結構ですわ」
「そうはいきません、殿下。いやはやしかし、私のもとにはお招きはおろか、(しら)せの一つも聞こえて参りませんでした」
「北ルナリアの兵を率いて戦地におられたゆえ、当然のこと。私は人を招くどころか、式を挙げる必要すらないと考えておりましたの。この戦時に私めの結婚祝いに駆けつけるよりも、諸侯や資産家の方々にはするべきことがあるはずですわ」
 これはトリエスタ伯オロー家の面目(めんぼく)を失わせる発言だが、エーリカは気にしなかった。
 私の男はゼラだけなの。
 ゼラ・セレテスだけよ。
「挙式は星獣祭の最終日でございますわ。内々の式です。それで、副市長殿」
 エーリカは従卒から手袋を受け取り、はめた。
「本来保護すべきであったコブレンの市民に対し、あなたは指揮官の一人としてどのような補償をご提案なさるおつもりなのかしら」
「正直に申し上げますと、殿下、現在のところ私には何の考えもございません」
 エーリカは微笑みながら、トアンの瞳を冷たい目でじっと見つめた。
「というのも、市民への補償が喫緊の課題であるとは、私にはとても思えないのです。星獣の暴走は敵軍及び市内の武装勢力が引き金となった偶発的な事故でございますから、戦後の処理の課題として保留されて(しか)るべきです」
「あなたの言う戦後が訪れるまで、星獣を他の都市にも解き放つおつもりでございますね?」
「我ら日輪連盟軍への断固たる抵抗を表明する者たちも、この新しい星獣たちを目にすれば、考えを変えることは間違いありません。そのほうが戦争は早く終わり、無用な死者を出さずに済むというものです」
「それは下々(しもじも)の言葉で『屁理屈(へりくつ)』というものでございますわ。あなたはあの歌う星獣たちを、なし崩し的に統治の手段に持ち込もうとしているように見受けられますが?」わざとらしく小首を傾げた。「恐怖による統治」
 トアンが眉を上げ、下げた。その後ろを象の星獣が兵士たちにひかれて行った。象牙の歌を歌いながら。
「……醜悪な」
「殿下にはお気に召しませんかな?」
「見えたのですわ、星獣が人を統治する未来が。あれは人には制御できません」エーリカは右の肩だけを竦めた。「今まさに、私たちは地球人と同じ(てつ)を踏もうとしています」
「どのような意味ですか?」
「地球人と言語生命体が同じ科学力を有していた時代にさえ、地球人たちは特別な方法で我々の先祖を治めておりました。おわかりになりませんか?」
「わかりませんな」
「強い武器の価値を裏打ちする、唯一神の被造物としての正当性です。地球人にしか持ち得ない正当性」
 強い風が吹き、エーリカの首を温める毛皮が口に入った。エーリカは唇の右端についた毛を取り去り、風に乗せて飛ばした。
「その正当性を盾に、地球人は宇宙艦隊をアースフィアの宙域に展開した。それは今なお私たちの恐怖」
「地球人統治時代の晩年には、言語生命体に対しても唯一神信仰が解禁されたと聞きますが」
「そもそも唯一神のもとの平等という理念を抱えた一部の地球人のみが」
 今度は左から強風が吹き、唇の左端に毛皮がこびりつく。
「……一部の地球人のみが、言語生命体とともに、地球環境化された惑星アースフィアに移り住んだ。それがこの星の歴史の始まりでした」
「ですが差別は繰り返され、平等は神とともに遠ざけられ――」
 エーリカは唇の左端から毛を取り去ると、その手を天に向けた。雪雲が隠す天球儀、さらにその奥の、いつ大陸を焼き尽くすかも知れぬ宇宙艦隊がある場所を。
 だが今見えるものは雪と雪雲だけだった。
「ですが、私たちの先祖は決然と『平等』を選び取りました。武器を握りしめ、私たちの創造主である地球人を神の座から撃ち落とした」
 手を下ろす。つむじ風の中で、エーリカの両手はそれぞれ反対側の肘を握りしめた。
「あなた方が歌う星獣による統治を始めれば、まさにその歌う星獣の存在によって玉座から撃ち落とされることになりますわ」
「いやいや、私たちは何も神になろうとしているのではございません」
「開発競争が起きます」
 エーリカは断言した。
「必ずや、敵勢もあれと同じものを手に入れます。大陸が荒野となり果てるまで、試作と投入が繰り返し行われることに。このようなことを言わなければならないのは悲しいことですわ。副市長殿、ある一つの点においてのみ地球人は我々に正しいことをした。再発明の禁止です。あれは――」
「殿下! 殿下! あれは再発明による産物ではございません! 我ら言語生命体が、歌という独自の文化から生み出した純然たる発明品ですぞ」
 笑い始めたトアンの後ろから、まだ象牙の歌が聞こえていた。市内の巡行だ。遠ざかっていく。
 エーリカは本音をぶちまけたくなった。
 笑ってんじゃねえよ、殺すぞ。
「あれが? あのような醜い兵器が我々の純然たる発明品であると? 副市長殿は本気でそのようにお考えで?」
 だが、もちろんぶちまけなかった。
 地球人が言語生命体の神ではなかった時代が確かにあったのだ。連中もまた、自分たちと同じく人だった時代が。
 倫理の背後にある神=地球人を失ったとき、言語生命体には新しい倫理と価値観が必要だった。それに(もとづ)き自分たち独自のものを創りあげていくはずだった。自立できるはずだった。
 素晴らしい時代が来るはずだった。
 なのに結局、先祖たちは地球人が去った『囲いの大陸』で、再び地球人たちを神の座につけた。いなくなった地球人を。
 その果てに創り出したものが、あれ。
 エーリカはふと疑問を抱いた。
 (わたし)はこんなところで何をしてるんだろう。
「……とにかく(わたくし)は、星獣の運用の仕方はコブレン市民への補償と同じく喫緊(きっきん)の議題であると考えていることをお伝え申し上げておきますわ。市内での無法が許されるほど完璧な勝利などございませんことよ、いかに新兵器の力を()ってしても。それでは、私は私で巡行に戻ります。さようなら。ご機嫌よう」
「お待ちください、殿下」
 予期せず呼び止められた。
「以前、北ルナリアで星獣の歌に『伝染』した自警団員の件について報告が済んでおりませんので」
 それで、一度は背を向けたエーリカも、改めてトアンと向き直った。
 北ルナリアで会ったアズとトビィとレミの三人を、もちろんエーリカは覚えていた。ある条件と引き換えに違法に住みつくことを許可した貧民たちは、洗濯物に見せかけた信号ではっきりこう伝えたのだ。
『男が一人、核心部の紋様と物理接触した。伝染の可能性高し』
 トアンが羊皮紙を差し出した。アズとトビィの人相書きだった。
「市街戦の日に、確かにこの二人を見たという市民はいるのですが、(よう)として行方がわからず」
「逃げおおせたのかしら」
「むしろ彼らと戦って逃げ出したという商人の話を聞いたのですが」
 トアンは顔をしかめた。
「二人のうちの一人は殺した、とのことです。なにぶん同じ顔ですので、伝染したほうかそうでないほうかはわかりませんが」
「死体は?」
「見つかっておりません」
「逃げ出した人ではなく、他の人の話を聞くことはできないかしら。死んだというほうの死亡確認をしたのはどなた? そもそも確実に息の根を止めたのかしら?」
「聞くことはできません。逃げ出さなかった者は皆殺しの()き目に遭いましたため」
「あら、そう」
 苦々しい思いが顔に出るのをエーリカは隠さなかった。よく訓練された武装商人の部隊が、しかも新型兵器の星獣たちを従えた部隊が、皆殺しに? 相手は二人か、せいぜい三人だというのに。
「もし仮に、の話ですが」
(おっしゃ)って?」
「生き延びたほうが伝染したほうであれば、彼は星獣の歌を聞いたはず。そのときに、どうすればいいかわかったはずです」
 促さずとも、トアンは喜んで話した。
「彼自らが星獣となり果てるとき、変化する総質量を補うために兄弟の亡骸を(しょく)すればいいのですな。なにせ死にたてで、自我はないが言語子は新鮮です。その後彼自身の理性が残っているうちに、山に逃れるか……逃れながら死体を食ったか……」
 エーリカは羊皮紙に目を落とす。
 ああ、二人とも、せっかくの美形なのに。
 もったいない。
「よくわかりましたわ、副市長殿」
 羊皮紙を突き返しながら、エーリカは無愛想に言った。
「あれが発明品か再発明品かなど、実にどうでもいい問題でした。問題のうちにも入りませんこと」
「殿下」
 その呼びかける声で、エーリカははっきりとわかった。トアンはリジェク神官団と共に準備を始めるのだ。第二公女エーリカと(たもと)を分かったあとの準備を。
「地球人による再発明禁止は正しいことだったと、本当にそのようにお考えですか?」
「これから正しくなりますわ」
「すなわち我々言語生命体は野蛮であり、発達した文明を持つに値しない存在であると」
「そのような被虐愛はしばしば気味悪く感じられますわね」
 エーリカは自分の馬に近付いた。
「理由は簡単。その思考には、どのような時流や個人の状況にも訴えかける力があるからですわ。屈従を余儀なくされた際に、自分の側に非があるという考え方の甘美さに飛び付かずに済ますのは至難の(わざ)。晴れた日には空をご覧になって。天球儀は(いま)だに言語生命体の屈辱の歴史を思い出させる力を保っておりますわ」
 トアンから顔を背けぬまま手綱を取る。
語歌(かたりうた)の世界でさえ、天球儀は好んで歌われます。地球人から自立できない私たちの象徴として」
「語歌の世界では、天球儀は我らの生命維持に必要だから語られるのですぞ」
 しつこく話しかけてくるトアンに首を振る。
「それは、果てなき昼の王国だの、明けない夜の王国だのが歌われる場合のみですわ。確かにそれらのお話の世界では、天球儀は光と熱を循環させるシステムとしてアースフィアに必要な存在」
 クソ忌々(いまいま)しい。
 エーリカの内なる声が毒づいた。
 天球儀。お前の存在意義なんて、昼と夜が正しく巡るこの世界には存在しないのに。一体どういうつもりで私たちの頭上に輝いているの?
 あるいは。
 あらゆる象徴に意味があるのなら。
 私たち自身が求めているの?
 天球儀を。
 私たちには必要なの?
 あの鳥籠が。
「では、今度こそご機嫌よう。どうか最後に覚えてらして。システムでも、物でも、被造物は人に隷属(れいぞく)するものです。ですが人が神や支配を求めるなら、被造物は求めに応じて神や支配者として振る舞うようになる。ゆめゆめあなた方はご自分の被造物に隷属なさいませんよう」
 (あぶみ)に足をかけると、トアンの後ろに見える十字路から若い女が現れた。軽鎧(けいがい)をまとい、兜を外した灰色の髪の侍従(じじゅう)長だ。エーリカは仕方なく鎧から足を下ろした。本当は一秒でも早くトアンの前から立ち去りたいのだが。
 侍従長ララセル・ハーティは、エーリカより六歳年上の二十四歳。一年前、好色な姉のシルヴェリアが唾をつける前にエーリカが専任護衛に指名した。エーリカとしては助けたつもりである。
 ララセルはエーリカが日頃望んでいる通り余計な挨拶を一切せず、エーリカに語りかけた。そのためトアンの存在を無視する形となった。
「お話し中でしたでしょうか」
 だが、それでいいのだ。この男には。ララセルもわかっている。
「終わりましたわ。構わなくてよ」
 ララセルは風雪で青白くなった顔を寄せ、エーリカの耳に囁いた。
「日輪連盟軍の偵察部隊がカーラーン・ダーシェルナキを捕捉しました。現在カーラーンは残余の兵を率いて裾野の森林をミナルタ方面に移動中」
 ミナルタか、とエーリカは噛み締める。シオネビュラ方面に抜ければ待ち伏せがいると読んだのだろう。
「わかりました。ハーティ大尉、あなたはあなたのルートで巡視を継続なさい。指揮所で落ち合いましょう」
 ララセルを去らせ、今度こそ騎乗する。が、馬の首を返すとき、しつこいことにトアンがもう一度口を開いた。
「地球人から自立できない我々、という以外に、天球儀を全く新しい象徴にする解釈も可能であったかもしれませんが」
 エーリカは、馬上から、荒れ果てた市場に立つトアンと彼の護衛たちとを無言で見下ろした。
(しるし)がありました。セレスタ・ペレは死にました」
 馬の腹を軽く蹴る。
 あえて返事はしなかった。


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登場人物紹介

◆ミスリル・フーケ

◆25歳/男性

◆所属:コブレン自警団


『暗殺者を狩る暗殺者』の育成機関、コブレン自警団の団長の一番弟子。正義感が強く、好戦的で熱血だけど気分屋なのでいきなり冷める。自分のことを暗殺者だと思ってるわりに騒々しい。11歳のときに実の母親との間にできた娘が「いないつってんだろっ!!」いません(忖度)。

画像は「このカス野郎をどう始末してやろうか」と思案しているときの顔。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 2作目『鳥籠ノ国』

 外伝『失語の鳥』

◆アエリエ・フーケ

◆27歳/女性

◆所属:コブレン自警団


もとは豪商の娘だったがいろいろあって10歳で浮浪児となり、コブレン自警団に保護された。

女性ながら大鎌をはじめとする長柄武器の扱いに長け、ミスリルの行くところにはどこにでもついて回って敵の生首を刎ね飛ばす。恐い。ちょっと恐い。笑顔がちょっと恐い。足許にひれ伏すと踏んでくれる。マゾは急げ!


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 2作目『鳥籠ノ国』

 外伝『失語の鳥』

◆マリステス・オーサー

◆25歳/男性

◆所属:コブレン自警団


通称テス。鳥好きで頭が緑とかいう実に安直な理由で『真鴨』とか『鴨』とか呼ばれている。

自閉傾向が顕著に強く、表情の変化の乏しさと相俟って「何を考えているのかわからない」という印象を与えがちだが、感じる力も考える力も強いほう。

コミュ障の自覚があるため、コミュ力の高い兄弟子のトビィに対してとても屈託している(嫌ってるわけではない(むしろ大好き(面倒くさいタイプ)))。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 2作目『鳥籠ノ国』

 外伝『失語の鳥』

◆アザリアス・オーサー

◆27歳/男性

◆所属:コブレン自警団


通称アズ。自警団の武術師範の一人であるオーサー師の一番弟子。30歳以下の自警団主力戦闘員の中では第一位の戦闘能力を持つ。

戦いになると実に容赦ないが、素の性格はシャイで温厚。天然だけど人から天然って言われると傷つく(繊細)。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 外伝『使者と死者の迷宮』

◆トビアス・オーサー

◆27歳/男性

◆所属:コブレン自警団


通称トビィ。アズの双子の兄弟。長柄武器を得意とするほか、犬を訓練する技能を持つ。陽気でとっても優しくて、子供と動物が大好きな親しみやすいお兄さんだよ! たまに笑いながら人殺しちゃうけど……。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 外伝『使者と死者の迷宮』

◆レミ・イスタル

◆25歳/女性

◆所属:コブレン自警団


イスタル師の二番弟子。朝寝坊クイーン。三人一組が基本となる重要な仕事ではアズ&トビィと組むことが多く、この二人と一緒にいる日は朝自分から起きてこない。

生真面目かつ強気にふるまっている反動か、妹のようにかわいがってくれる人の前では子供のように無邪気な態度になる。かと思えば妙に機嫌が悪いときもある。特に朝。朝。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

 外伝『使者と死者の迷宮』

◆リレーネ・リリクレスト

◆17歳/女性

◆所属:北方領リリクレスト公爵家


北方領リリクレスト家の公女だが、他家に嫁がせるためのお飾りとして育てられた。でも根が逞しいので環境への適応力が高い。


リリクレスト家は惑星アースフィアが移住可能な環境になる遥か以前から続く古い家であり、その血筋は地球における最初の10体の言語生命体試作品にまで遡るとされている。

それゆえ言語生命体の神である地球人からさえも重んじられ、宇宙戦争が行われた時代に授与された宝冠が数千年ものあいだ家宝として受け継がれてきたがリレーネが6歳のときに壊しちゃった。昔お転婆だったから壊しちゃった。

6歳だけどさすがにこれはヤバイと思って庭に埋めてしまった。

家じゅう大騒ぎになってたけど無駄に意志が固いので沈黙を守り抜いた。

ときおり思い出して寝れなくなる。

たぶん今も埋まっている。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆リージェス・アークライト

◆22歳/男性

◆所属:北方領陸軍


北方領陸軍で最もぼっち飯が似合う男と恐れられる若き護衛武官。階級は少尉。士官学生時代は優等生だった。毎日ぼっち飯だったけど。

なんだかんだでお人好しなので、試験の前にノートを貸してくれと泣き付かれて貸したら試験が終わるまで返ってこなかったりしたタイプ。怒っていいと思う。


巻き込まれ型の不幸体質なので登場するたびにひどい目に遭う。

仮にもシリーズ第1作目のメインヒーローが何故このような扱いをされるのかと思うと不憫で笑いが止まらない。

ごめん間違えた。

涙が止まらない。


とってつけたように言うけどリレーネ付きの護衛である。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

(過去作での名はリージェス・メリルクロウ)

◆パンジェニー・ロクシ

◆22歳/女性

◆所属:北方領陸軍


北方領の護衛武官。試験が終わるまでリージェスにノートを返さなかった犯人。

本編ではリレーネとリージェスが南西領に潜入するのに協力したが、コブレンの手前ではぐれたらしい。過去作を読まれた方のうちの実に99%以上が忘却の彼方へと葬り去ったであろう、シリーズ一作目からのリベンジャー。それでは一言意気込みをどうぞ。

「パンジーって呼んでよ(血涙)」


◆初登場回:8章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

◆リアンセ・ホーリーバーチ

◆24歳/女性

◆所属:南西領陸軍(解放軍)


陸軍情報部の間諜。間諜は単独での潜入が必要となる任務が多いため、油断を誘うべく実年齢より幼く見える格好を普段からしている。上腕二頭筋とかムキムキだけど。任務のためだけでなく、本人もかわいい服や小物が大好きである。背筋とかゴリゴリだけど。その甲斐あってか潜入や工作の成功率が非常に高く、情報部内ですら(服の上からの)外見に騙される者が一定数いる。腹筋とかバキバキだけど。

でもそれは、強くなければ生き残れないことをよく知っているからこそ。毒舌だったり辛辣なところがあるけれど、姉と妹のことは大好きな三姉妹の次女。

シリーズ1作目からいるけど登場するたびに箍が外れていく。


◆初登場回:4章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆シルヴェリア・ダーシェルナキ

◆20歳/女性

◆所属:南西領陸軍(解放軍)


南西領総督シグレイの長子。自分の軍隊が欲しくて18歳のお誕生日に少将の官位を買ってしまった(買ってしまった)。

買官によって権威を得た者に武官たちが向ける目は冷ややかなものだが、シルヴェリアは卓抜した手腕によってたちまち最悪の評価を覆した。

ただし露出の多い服装で人前に出たり、高貴な身分の人間が口にすべきでない単語や言いまわしを使いこなしたり、好色が過ぎて男女問わず手を出したりと問題行動が多い。


弟妹が5人いるのだが、2歳年下の妹エーリカには嫌われている。

もともとプライドが高いエーリカのコンプレックスを刺激しがちなうえ、10歳の頃にエーリカが丁寧に作った押し花を目の前でムッシャムッシャバリボリと貪り食ってからは蛇蝎の如く嫌われている。

何故そんなことをしたのか全くわからない点もまた嫌われている。

しかも父シグレイがその件でシルヴェリアを叱責しなかったので必要以上に嫌われている。

まあとにかく嫌われている。

結論:全部パパが悪い。


◆初登場回:4章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆フェン・アルドロス

◆37歳/女性

◆所属:南西領陸軍(解放軍)


シルヴェリアの副官。美少年のような色香を漂わせる37歳独身美熟女というちょっとどういう層を狙っているのかよくわからない逸材。お遊びの度が過ぎ、陸軍司令部で17股をかけていたことがばれて無事職場の人間関係を崩壊させる。

前線送りとなった先で出会ったシルヴェリアとはすぐに意気投合し、同性の愛人の座を獲得した。

しかしながら誰にでも見境なくちょっかいを出すわけではなく、性的合意があっても未熟過ぎたり責任能力のない相手には一切手出ししない。当たり前のことなんだけど……。

シオネビュラ神官団のメイファ・アルドロスの実の姉。


◆初登場回:4章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆マグダリス・ヨリス

◆35歳/男性

◆所属:南西領陸軍(解放軍)


歩兵精鋭部隊を指揮する大隊長だったが、編成中だった親衛連隊内の一個大隊を鍛えるべくシルヴェリアに抜擢されていた。階級は少佐。陸軍内においては『歩く殺戮装置』とか『三つ編み三十代』とか陰口を叩かれる。

高潔さと冷酷さを併せ持ち、他人に厳しいが自分に対してはもっと厳しいので立場の弱い者たちからは愛されている。

ときに行動が大胆なだけでなく、天才的な剣の腕を持つため恐い人だと思われることもしばしば。大丈夫。恐くない。たまに一人で百人殺しちゃうだけだ。よくあるよくある。


◆初登場回:5章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ヴァンスベール・リンセル

◆20歳/男性

◆所属:南西領陸軍


通称ヴァン。前線部隊に配属されたばかりの士官学校の新卒。リンセル家は海軍士官を多く輩出する家柄だが、本人曰く「伯父さんが恐いから陸軍に来た」。でも本当は船酔いするからである。実は馬にも酔う。

一見してそんなに強そうには見えないけれど実力派のダークホース。士官学校の剣術の成績は一、二を争うレベルだった。なお座学に関しては下から一、二を争うレベルだった模様。


◆初登場回:12章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆プリシラ・ホーリーバーチ

◆20歳/女性

◆所属:南西領陸軍


通称プリス。ロザリア、リアンセに続くホーリーバーチ家三姉妹の三女。お姉ちゃんたちが大好きで、リアンセが父親を見限って西方領を出奔するとき一緒に家を出てしまった。

11歳で家をでた娘を心配して母親は父に内緒で送金してくれたのだが、そのお金で「神学校に通う」と嘘をついて陸軍士官学校を卒業。

性格は明るく大胆で、良くも悪くも自分に正直。

陸軍広報部徴募部隊所属。ヴァンとは士官学校の同期の間柄。


◆初登場回:12章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆アイオラ・コティー

◆26歳/女性

◆所属:南西領陸軍(解放軍)


南西領陸軍の歩兵部隊指揮官で、階級は中尉。弓術・馬術に秀でるほか、詩人の才をも併せ持つ画伯。特に男性同士の濃厚な接触の模様を描いた画を得意とし、それらの作品は女性士官たちの間でひっそりと流通している。

反乱によって中隊を追われたのちは手許にある過去作と新作を火にくべてから都解放軍に合流。「いつどこで討ち死にしようともこれで私の秘密は守られる」と思ったようだが、まさかこんなところでバラされているとは夢にも思うまい。


◆初登場回:20章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ララセル・ハーティ

◆24歳/女性

◆所属:南西領陸軍


エーリカの専属護衛で、侍従長を兼任する。階級は大尉。クールビューティーなので周囲から勝手に有能そうだと期待されるけど、何かが人よりずば抜けているわけではないので結局勝手にがっかりされる。

冷たい印象の見た目に反して性格は至って素朴で素直。「あっち向いてホイ→」ってやったら全く何の疑問も抱かずに顔を「→」ってやっちゃうくらい素直。褒められて伸びるタイプだと思う。かわいがってあげて……カワイガッテアゲテ……カッ…………カワイガッ…テ…………………………カ……………ゲテ……………………。


◆初登場回:21章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆エーリカ・ダーシェルナキ

◆18歳/女性

◆所属:南西領ダーシェルナキ公爵家


ダーシェルナキ家の第二子。こじらせてるシスコン。

グロリアナ領主ゼラ・セレテスに言い寄って困らせているけど自分は四十手前のトリエスタ伯に言い寄られて困っている。

それではトリエスタ伯に一言

「死にさらせですわ!」

口汚ぇですわ。

そして怖くて誰も指摘しないんだけどインテリアの趣味が悪い。


◆初登場回:10章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ミサヤ・クサナギ

◆31歳/女性

◆所属:ソラート神官団


ソラート神官団二位神官将補。農民の出だが村をあげての推挙と資金援助を得て高位聖職者になる夢を叶えた地元大好きお姉さん。それでは南東領ソラート地方のいいところを語っていただきましょう。



「ソラートの富の源は潤沢な湧き水にある。平原を裂いて流れる水と温暖な気候は滋味豊かな作物を育て、その地方の最も貧しい村の民ですら、まず飢え渇くということがない。澄んだ空気と穏やかな野山に囲まれた環境が人を朗らかにすることから療養地としての人気も高い。かくいう私の夫も、喘息の治療のため幼少期に都から移り住んだ口だ。田舎にありがちな排他的な空気もソラートにはなく、そのため移り住む者がもたらす知識や技術が容易に根付き、その地をさらに住みよい場所にするのだ。無論、これほど恵まれた土地であるから、無闇に野山を切り開いたり、または武力で支配しようとする者たちも多くいた。一つはっきり断っておきたいのだが、住民が温和であることは、侵入者や圧政者への従順とは結びつかない。歴代の……(※これがあと30分続く)


◆初登場回:15章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆ゾレア

◆14歳/女性

◆所属:ソラート神官団


ソラート神官団の従軍歌流民。浮世離れしたミステリアスな少女(※ぼーっとしているだけだ)。


歌流民とは、野山に身を置く流浪の民。大陸中に散らばる彼らは共通する生活様式を持っており、すなわち氏族の歌い手は、歌うときしか声を出さない。

ゾレアの氏族は戦時に歌を売るのみでなく、平時にキノコや薬草を原料とする丸薬を作っていた。歌流民の神秘の力で病が癒されるという思い込みによって服用者の本来の自然治癒力を引き出し、さも薬が効いているかのように見せかけるただの黒い粒である。人体って不思議。

ソラートの住人たちは知っているので買わない。「本体価格よりレジにて20%オフ」とか言われても買わない。


◆初登場回:15章

◆シリーズの他の登場作品

 なし

◆エルーシヤ

◆17歳/女性

◆所属:-


ゾレアと同じく歌流民の少女であり、歌うときにしか声を出さない。その生活で得た不思議な感性を有しておれど、中身は普通の女の子。田舎暮らしが嫌になって逃げてきてしまった。今は陸軍広報部のプリシラ・ホーリーバーチ少尉と行動を共にしている。


都の星獣祭で配られる胡桃の護符は、北ルナリアやグロリアナの山塊を塒とする彼女の氏族が歌によって清めながら作るものだ。胡桃の可食部はクッキーにしてグロリアナの周辺で売られる。商品名は「グロリアナに行ってきましたクッキー」とかだろうか。知らんけど。


ちなみに「エルーシヤ」は歌流民の中でありふれた女性名であり、『失語の鳥』の番外編に出てくるエルーシヤとは完全に別人。


◆初登場回:12章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆マナ

◆14歳(※肉体年齢)/女性

◆所属:-


旅の途中でミスリルが出会う謎めいた少女。自称ミスリルの娘。もし本当に娘だったらミスリルが11歳のときの子になるのだが、当然ながら彼に心当たりはない。心当たりどころか女性と手を繋いで街を歩いたことすらない。

14歳という年齢は推定であり自称。なお生まれてきたとき既に14歳だった。


◆初登場回:6章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆シンクルス・ライトアロー

◆25歳/男性

◆所属:ヨリスタルジェニカ神官団


ヨリスタルジェニカ神官団正位神官将。政争によって傾きかけた西方領の名家の嫡男で、家の再興のために父親によって南西領に送り込まれた。古風な喋り方が特徴だが、ここだけの話普通に喋ろうと思えば喋れる。


過集中と注意力散漫を繰り返す。黙ってさえいればとても美形なのにいらんことまでよく喋る。実家は太いが傾きかけている。頭が良くて弁も立つけどこれっぽっちも自重できない。

そんな残念なタイプの天才だが、物事は前向きに考えよう。

普段はあちらこちらに興味の対象が移ろうが、並外れた集中力を発揮した際の成果は素晴らしい。近寄りがたいほどの美形だが、中身は気さくで親しみやすい。実家も傾きかけたとはいえまだ太い。自然に振る舞うだけで目立ってしまうのは自信家で聡明だからである。

残念なタイプの天才なのではない。

天才なタイプの残念なのだ。


◆初登場回:5章

◆シリーズの他の登場作品

   1作目『壊れた太陽の王国』

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ロザリア・ライトアロー

◆25歳/女性

◆所属:ヨリスタルジェニカ神官団


正位神官将夫人。シンクルスの妻であり、リアンセとプリスの姉。西方領出身。

シンクルスと初めて顔を合わせたのは三歳のときで、このとき既にライトアロー家とホーリーバーチ家の第一子同士として結ばれることが決まっていた。

親同士が決めた結婚とはいえ、成長に従い二人は自然に惹かれあうようになった。

政治的なごたごたから逃れるべく、ロザリアとシンクルスは南西領の神学校に入り直すことが決まり家を出る。同じ時期に、リアンセは父親の当主としての資質に疑問を抱き出奔。

家族喧嘩の最中に妹のリアンセ(脳筋)がカッとなって父親の頭を壺でぶん殴り、心配して見に来たシンクルスが我慢できずに腹を抱えて笑うのを見て以来「実はこの人ちょっとバカなんじゃないか」と思っている。


◆初登場回:5章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

◆レグロ・ヒューム

◆34歳/男性

◆所属:シオネビュラ神官団


シオネビュラ神官団二位神官将。

独特の個性と落ち着きなさゆえに生家では「将来の見込みなし」と冷遇されていたが、実際大人になったら兄弟の中で一番有能だったというオチがつく。たぶんヒューム家はもう終わっとる。

他のことはともかく仕事はできるというタイプ。

何故かしら自分のことを美男子だと思っている(根拠不明)。


◆初登場回:7章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆メイファ・アルドロス

◆32歳/女性

◆所属:シオネビュラ神官団


シオネビュラ神官団二位神官将補を務めるクレイジー長広舌。南西領陸軍のフェン・アルドロスの妹。

アルドロス家の後継がフェンとメイファしかいない事実からお察しいただける通り、もうアルドロス家も終わっとる。

人間としての中身に関しては姉より多少マシなレベル。

甲冑の上から乳首の位置を当てる能力を持っている。


◆初登場回:1章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ニコシア・コールディー

◆29歳/女性

◆所属:シオネビュラ神官団


シオネビュラ神官団三位神官将。真面目で責任感が強い性格。二位神官将に対する態度が横柄だが、これでもかつては敬意を払っていた。

出身もシオネビュラ西部で、居城である西神殿の近くに妹夫婦が住んでいる。市内巡行の際など幼い姪が「おばさまー!」と手を振ってくる。

「お姉さまと呼べ」と思っている。


◆初登場回:7章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ミオン・ジェイル

◆25歳/男性

◆所属:シオネビュラ神官団


シオネビュラ神官団三位神官将補。神学校卒業から僅か一年で現在の地位に抜擢された経歴を持つ。振る舞いは優等生然としているが口が悪い。

ジェイル家は家格が低く、神学校には長男である兄しか通えないはずだったが、武芸と学問の両方で兄より優れていることを証明し、進学の権利を勝ち取った。この生い立ちゆえに成果主義者である。

現在の地位を得てから両親は掌を返してちやほやしだしたが、家督を継ぐ気はない。ジェイル家も終わっとる。


◆初登場回:7章

◆シリーズの他の登場作品

   2作目『鳥籠ノ国』

◆ゼラ・セレテス

◆25歳/男性

◆所属:ソレリア民兵団


グロリアナ領主にしてソレリア民兵団代表。セレテス家は吹けば飛ぶような底辺領主(((失礼)))ながら、質実剛健を旨とする家風によってグロリアナ領を堅実に治めてきた。

セレテス流炎剣術の継承者。一子相伝なので、ゼラが死んだら剣術も絶える。


性格はやや強情で、数年前に自分で育てた野菜を上流貴族の客に供したところ「痩せた土で育った貧乏くさい味」と馬鹿にされ、「嫌なら召し上がらなくて結構でございます」と言って皿を下げ父親にこっぴどく怒られた。

以来、気にいらない客に対しては問答無用で畑を手伝わせている。


◆初登場回:3章

◆シリーズの他の登場作品

   なし

付録◆アースフィア世界の度量衡


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◇長さの単位


基本単位はセスタセリオン。地域や職業によってセスタ尺とセリオン尺が使い分けられる。


1セスタ=2.5㎝

1セリオン=7.5㎝

1リセスタ(1リセリオン)=1/10セスタ(1/10セリオン)

1ニ―セスタ(1二―セリオン)=100セスタ(100セリオン)

1デセスタ(1デセリオン)=100ニーセスタ(100ニ―セリオン)

1クレッセスタ(1クレッセリオン)=10デセスタ(10デセリオン)


言語生命体たちが地球で創造主たちと暮らしていた時代、言語生命体の独立をかけた戦に異を唱え、地球人信仰を保つよう呼びかけた姉弟がいた。

姉の名はセスタ。弟の名はセリオン。

二人は同胞によって捕らえられ、両手をすりおろす拷問にかけられた。

救出されたとき、セスタの手首の関節より先の長さは2.5㎝、セリオンは7.5㎝しか残っていなかったと伝えられる。


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◇重さの単位


基本単位はケララ

ケララは麦をさす言葉だが、教会の伝統において典礼及び典礼聖歌を意味することもある。


1ケララ=2.5g

1リケララ=1/10ケララ

1ニーケララ=100ケララ

1デケララ=100ニーケララ

1クレスケララ=10デケララ


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◇体積の単位


基本体積はダータ。野蜜の意であり、血液ないし精液を暗喩する。


1ダータ=25ml

リダータ=1/10ダータ

ニーダータ=100ダータ

デダータ=100ニーダータ

クレスダータ=10デダータ

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