第66話 刀だけでは
文字数 367文字
「さっき言っていた家の伝承とか、魔封じとかの話だが」
桜花は黙って先を待つ。
「できるだけ早く、祖父どのが都合のいい時に、話を聞く機会を作ってくれないか」
つい先刻までは家の伝承など興味もなくて、鬼などと言われてもおとぎ話くらいにしか考えていなかった。
が、眼の前で起きた異変に、魔物の存在を信じないわけにはいかなかった。
呑気に知らないではすまされない。
もし自分に何か「力」があるのなら、理解して使いこなせるようにならなければ。
今のままでは桜花はたったひとりで鬼に立ち向わなくてはならない。
こんな華奢な少女が背負わされた重責に、伊織は唇を噛みしめた。
相手が「魔」だというのなら。刀だけでは、桜花を守りきれない──。
桜花は黙って先を待つ。
「できるだけ早く、祖父どのが都合のいい時に、話を聞く機会を作ってくれないか」
つい先刻までは家の伝承など興味もなくて、鬼などと言われてもおとぎ話くらいにしか考えていなかった。
が、眼の前で起きた異変に、魔物の存在を信じないわけにはいかなかった。
呑気に知らないではすまされない。
もし自分に何か「力」があるのなら、理解して使いこなせるようにならなければ。
今のままでは桜花はたったひとりで鬼に立ち向わなくてはならない。
こんな華奢な少女が背負わされた重責に、伊織は唇を噛みしめた。
相手が「魔」だというのなら。刀だけでは、桜花を守りきれない──。