第42話 家からの使い
文字数 435文字
「兄上、こちらでしたか」
「何だ、伊織。今頃来ても、こんぺいとうはやらんぞ」
「は?」
怪訝 な顔をする伊織に、冗談だ、と軽く笑う。
「で、いかがした?」
「家から使いの者が参っておりますが」
「やれやれ、またか。どうせ母上からであろう」
いささかげんなりした顔つきで和臣は立ち上がった。
「では、桜花どの、わたしはこれで。男手が必要な時は、いつでもお声をかけてください」
はい、と答えてから桜花がもう一度、礼を述べると、和臣は部屋を出ていく。
兄の姿が廊下のむこうに見えなくなると、伊織は不思議そうにたずねてくる。
「こんぺいとう、とはいったい何の話だ?」
桜花はきれいな花模様の布袋の口を開け、中の小さな粒を伊織に示してみせた。
「これのことよ。和臣さまにいただいたの」
「兄上はまめだなあ」
感心したようにつぶやいてから、こっそり桜花に耳打ちする。
「何だ、伊織。今頃来ても、こんぺいとうはやらんぞ」
「は?」
「で、いかがした?」
「家から使いの者が参っておりますが」
「やれやれ、またか。どうせ母上からであろう」
いささかげんなりした顔つきで和臣は立ち上がった。
「では、桜花どの、わたしはこれで。男手が必要な時は、いつでもお声をかけてください」
はい、と答えてから桜花がもう一度、礼を述べると、和臣は部屋を出ていく。
兄の姿が廊下のむこうに見えなくなると、伊織は不思議そうにたずねてくる。
「こんぺいとう、とはいったい何の話だ?」
桜花はきれいな花模様の布袋の口を開け、中の小さな粒を伊織に示してみせた。
「これのことよ。和臣さまにいただいたの」
「兄上はまめだなあ」
感心したようにつぶやいてから、こっそり桜花に耳打ちする。