第128話 空の色
文字数 644文字
二人のやりとりの間にも、澄んだ空の色をした守護石は、淡く暖かく桜花を見守るように照らしている。
「この石は邪を払う力があると言われている。そなたが大切に持っているといい」
祖父に言われ、桜花はためらいがちに守護石に視線を向けた。
「ですが、おじいさま、わたしにこの石を持つ資格があるでしょうか。一度は、鬼に屈したわたしに」
「決して屈したわけではないぞ。そなたは自分の力を制御できなかっただけじゃ」
「でも……」
「なに、余計な心配はせずともよい。石が輝くのは、そなたが正当な持ち主である証。この守護石を使いこなせるのは、天宮の魔を封じる力を持った者だけなのだから」
残念ながらわしとて使えん、と祖父は肩をすくめてみせる。
「この守護石には何世代にも渡る天宮の巫女たちと、そなたの母の想いがこめられておる。必ずやそなたを導き、助けとなってくれるであろう」
桜花を癒すかのように、柔らかな光を放ち続ける天河石。
その様子を満足げに眺めながら、祖父は再び立ち上がった。
「どれ、薬湯を持ってこよう。そなたはまだ床についていなさい。力を使いすぎて、かなり消耗しているはずじゃ」
桜花は内心ぎくりとした。藤音が世にも不味 いという顔をした、例の薬湯だ。
そんな気持ちを見透かしたように、祖父は部屋を出ていきざま、振り返って念を押した。
「よいか、不味くてもちゃんと残さず飲むのだぞ」
「この石は邪を払う力があると言われている。そなたが大切に持っているといい」
祖父に言われ、桜花はためらいがちに守護石に視線を向けた。
「ですが、おじいさま、わたしにこの石を持つ資格があるでしょうか。一度は、鬼に屈したわたしに」
「決して屈したわけではないぞ。そなたは自分の力を制御できなかっただけじゃ」
「でも……」
「なに、余計な心配はせずともよい。石が輝くのは、そなたが正当な持ち主である証。この守護石を使いこなせるのは、天宮の魔を封じる力を持った者だけなのだから」
残念ながらわしとて使えん、と祖父は肩をすくめてみせる。
「この守護石には何世代にも渡る天宮の巫女たちと、そなたの母の想いがこめられておる。必ずやそなたを導き、助けとなってくれるであろう」
桜花を癒すかのように、柔らかな光を放ち続ける天河石。
その様子を満足げに眺めながら、祖父は再び立ち上がった。
「どれ、薬湯を持ってこよう。そなたはまだ床についていなさい。力を使いすぎて、かなり消耗しているはずじゃ」
桜花は内心ぎくりとした。藤音が世にも
そんな気持ちを見透かしたように、祖父は部屋を出ていきざま、振り返って念を押した。
「よいか、不味くてもちゃんと残さず飲むのだぞ」