第167話 もう一度
文字数 454文字
「仲良くなさるのは後にして……まあ、殿、お怪我をされているではありませんか。お早く手当しないと!」
ひっくり返った調度品をよっ、と起こし、如月はてきぱきと治療に必要な布や薬を用意していく。
「わたくしがやるわ」
藤音は如月から布を受け取り、隼人の頬の血を慎重にぬぐっていった。
「申し訳ございません。わたくしのせいで……」
かすり傷だよ、と隼人が小さく笑む。
「それより、藤音」
「はい?」
血止めの薬を塗り終えた藤音は小首をかしげ、隼人を見つめる。
「わたしはさっき、藤音とたくさん話をして、笑いあって、と言ったけれど。もう少し欲ばってもいいかな」
「と、おっしゃいますと?」
「えーと、今すぐでなくてもかまわないけど、どうせならもう一度、婚礼の夜からやり直したいと思って。あ、もちろん藤音が嫌でなければ、の話だけど……」
赤くなってしどろもどろの隼人の言わんとする意味を汲みとると、藤音は頬を染めた。
ひっくり返った調度品をよっ、と起こし、如月はてきぱきと治療に必要な布や薬を用意していく。
「わたくしがやるわ」
藤音は如月から布を受け取り、隼人の頬の血を慎重にぬぐっていった。
「申し訳ございません。わたくしのせいで……」
かすり傷だよ、と隼人が小さく笑む。
「それより、藤音」
「はい?」
血止めの薬を塗り終えた藤音は小首をかしげ、隼人を見つめる。
「わたしはさっき、藤音とたくさん話をして、笑いあって、と言ったけれど。もう少し欲ばってもいいかな」
「と、おっしゃいますと?」
「えーと、今すぐでなくてもかまわないけど、どうせならもう一度、婚礼の夜からやり直したいと思って。あ、もちろん藤音が嫌でなければ、の話だけど……」
赤くなってしどろもどろの隼人の言わんとする意味を汲みとると、藤音は頬を染めた。