第33話 案じる者
文字数 551文字
如月が蒼白な顔で考えを巡らせていた、ちょうど同じ頃。
城では他にも藤音を案じる者たちがいた。隼人と桜花である。
「藤音さまのお加減がよくないとうかがいましたが」
隼人の私室で、向かいあって座った桜花が遠慮がちにたずねると。ええ、と隼人は深刻な表情でうなずいた。
「薬師は気鬱 の病だろうと言っていました。本当はしばらく実家へ帰した方がよいのでしょうが、この縁組は和睦の証ゆえ、簡単に里帰りもできないし……」
桜花はどう答えていいかわからず、手元に視線を落とす。
目通りの時にあれほど頑なに拒絶されては、見舞いに行くこともはばかられる。
隼人も気にかけてはいるのだが、顔を合わせればますます藤音を傷つけてしまいそうな気がして、あの日から一度も会っていない。
自分はどうすればよいのか、すがるように問うた細い声と、瞳からとめどもなくあふれる涙。藤音が悲しむ姿は見たくなかった。
気鬱の病か、と隼人はぽつんとつぶやいた。
「藤音は、ひどく重い荷をひとりで背負っているようなものだから……」
わざと曖昧にするもの言いに、桜花も余計な詮索はしない。ただ隼人が辛そうにしている様子に胸が痛む。
城では他にも藤音を案じる者たちがいた。隼人と桜花である。
「藤音さまのお加減がよくないとうかがいましたが」
隼人の私室で、向かいあって座った桜花が遠慮がちにたずねると。ええ、と隼人は深刻な表情でうなずいた。
「薬師は
桜花はどう答えていいかわからず、手元に視線を落とす。
目通りの時にあれほど頑なに拒絶されては、見舞いに行くこともはばかられる。
隼人も気にかけてはいるのだが、顔を合わせればますます藤音を傷つけてしまいそうな気がして、あの日から一度も会っていない。
自分はどうすればよいのか、すがるように問うた細い声と、瞳からとめどもなくあふれる涙。藤音が悲しむ姿は見たくなかった。
気鬱の病か、と隼人はぽつんとつぶやいた。
「藤音は、ひどく重い荷をひとりで背負っているようなものだから……」
わざと曖昧にするもの言いに、桜花も余計な詮索はしない。ただ隼人が辛そうにしている様子に胸が痛む。