第13話 婚礼
文字数 456文字
伊織が頭を下げる脇で、隼人があわててとりなす。
「どうか二人を叱らないでやってください。わたしの愚痴 につきあってくれていたのですから」
愚痴、という言葉に引っかかりを覚えないわけではなかったが、和臣はあえて黙殺することにした。何しろ時間が迫っているのだ。
「さあ、とにかくお仕度を。これ以上遅くなりますと、ご家老さまが卒倒なさいますぞ」
三人を追い立てるようにして小さな建物から庭へと連れ出す。
「お気持ちはわからなくはございませんが、今さら取り消すことはできませぬ」
四人の中で最も年長である和臣は、急ぎ本丸に向かいながら冷徹 に言い放った。
「もはやこうなった以上、覚悟をお決めくださいませ」
花嫁が城内に到着したのはもう夕刻、陽光があたりを金色に染め始めた頃だった。
仕度、などと大騒ぎしていたが、婚礼の儀はあっさりしたものだった。盃事の後にささやかな宴が催されたくらいである。
「どうか二人を叱らないでやってください。わたしの
愚痴、という言葉に引っかかりを覚えないわけではなかったが、和臣はあえて黙殺することにした。何しろ時間が迫っているのだ。
「さあ、とにかくお仕度を。これ以上遅くなりますと、ご家老さまが卒倒なさいますぞ」
三人を追い立てるようにして小さな建物から庭へと連れ出す。
「お気持ちはわからなくはございませんが、今さら取り消すことはできませぬ」
四人の中で最も年長である和臣は、急ぎ本丸に向かいながら
「もはやこうなった以上、覚悟をお決めくださいませ」
花嫁が城内に到着したのはもう夕刻、陽光があたりを金色に染め始めた頃だった。
仕度、などと大騒ぎしていたが、婚礼の儀はあっさりしたものだった。盃事の後にささやかな宴が催されたくらいである。