第168話 とびきりの笑顔
文字数 445文字
はにかみながら、こくりとうなずく。
「わたくしも、隼人さまに添うて眠りとうございます」
「本当に !?」
隼人はがばっと身を乗り出し、藤音の両手を握る。
勢いこむ隼人に藤音はいささか引き気味に、
「本当ですわ。恥ずかしいですから、何度も言わせないでくださいませ」
「よかった!」
声を弾ませ、とびきりの笑顔で藤音を抱きしめる。
「あ、あのっ、殿……」
藤音は人目が、と咎めようとしたが、隼人の腕の中があまりに心地よくて、そのままゆだねてしまう。身も、心も。
幸福そうに身を寄せあう主 夫妻の邪魔をしないよう、伊織と桜花は足音を忍ばせ、ひそかに部屋を出ていった。
自分たちの役目は終わっている。これ以上の長居は不粋というものだ。
二人に続いて如月と侍女たちもそそくさと退出し、陽光のまぶしい庭へと降りていく。
「如月どのはおそばに控えてなくてよろしいのですか?」
耳打ちする伊織に、如月はまさか、と首を振った。
「わたくしとて野暮はしたくありませんよ。この如月の一番の望みは、藤音さまのお幸せなのですから」
「わたくしも、隼人さまに添うて眠りとうございます」
「本当に !?」
隼人はがばっと身を乗り出し、藤音の両手を握る。
勢いこむ隼人に藤音はいささか引き気味に、
「本当ですわ。恥ずかしいですから、何度も言わせないでくださいませ」
「よかった!」
声を弾ませ、とびきりの笑顔で藤音を抱きしめる。
「あ、あのっ、殿……」
藤音は人目が、と咎めようとしたが、隼人の腕の中があまりに心地よくて、そのままゆだねてしまう。身も、心も。
幸福そうに身を寄せあう
自分たちの役目は終わっている。これ以上の長居は不粋というものだ。
二人に続いて如月と侍女たちもそそくさと退出し、陽光のまぶしい庭へと降りていく。
「如月どのはおそばに控えてなくてよろしいのですか?」
耳打ちする伊織に、如月はまさか、と首を振った。
「わたくしとて野暮はしたくありませんよ。この如月の一番の望みは、藤音さまのお幸せなのですから」