第41話 こんぺいとう
文字数 507文字
「祖父の屋敷は九条のお館から歩いてもほど近く。隼人さまにお願いして、遠海にいる間は祖父の元から通わせていただくことにしました」
「それはよい。祖父どのも喜ばれることでしょう」
話しながら、和臣は袂 から小さな布袋を取り出し、桜花に差し出した。
「そうそう、忘れるところでした。珍しい菓子が手に入ったので、桜花どのにお届けに来たのです」
「お菓子?」
首をかしげて桜花が布袋の口をほどくと、中には色とりどりの小さな粒がぎっしりと詰められている。
「こんぺいとう、とかいいましたか。桜花どのはお好きだと聞いたので」
桜花は手の中のこんぺいとうと和臣を交互に見てから、顔いっぱいに笑みを浮かべた。
「ありがとうございます。嬉しゅうございます」
無邪気に瞳を輝かせる桜花の姿に、和臣は満足げに微笑した。
この少女の笑顔は本当に花のようだ。大輪の艶やかさはないが、見る者の心をなごませる可憐な白い花。
と、障子の陰からひょいと顔を出す者がいた。伊織だ。こちらは着慣れた上着と袴で、兄よりはかなり気楽な身なりだ。
「それはよい。祖父どのも喜ばれることでしょう」
話しながら、和臣は
「そうそう、忘れるところでした。珍しい菓子が手に入ったので、桜花どのにお届けに来たのです」
「お菓子?」
首をかしげて桜花が布袋の口をほどくと、中には色とりどりの小さな粒がぎっしりと詰められている。
「こんぺいとう、とかいいましたか。桜花どのはお好きだと聞いたので」
桜花は手の中のこんぺいとうと和臣を交互に見てから、顔いっぱいに笑みを浮かべた。
「ありがとうございます。嬉しゅうございます」
無邪気に瞳を輝かせる桜花の姿に、和臣は満足げに微笑した。
この少女の笑顔は本当に花のようだ。大輪の艶やかさはないが、見る者の心をなごませる可憐な白い花。
と、障子の陰からひょいと顔を出す者がいた。伊織だ。こちらは着慣れた上着と袴で、兄よりはかなり気楽な身なりだ。