第4話 隼人(はやと)

文字数 394文字

「失礼しますぞ! いかがなされた!?
 そして伊織と桜花が飛び込んだ部屋の中では。
 何かの液体や破片があちこちに飛び散り、惨憺たるありさま。その中にばつの悪そうな顔をして少年がひとり立っている。
「ああ、伊織。それに桜花どの」
 いったい何事、とたずねかけて、伊織は呆れたように机の上を見た。
「また、錬金術とかいう南蛮の怪しげな学問をなさっていたのですか」
「うまくいくはずだったのだよ。この本に書いてある通りにやってみたのだけど、何がいけなかったのかなあ」
 机に広げられた本を眺め、首をかしげて考えこむ少年の名は九条隼人(くじょうはやと)
 肩くらいまでの髪を簡単に首の後ろで結び、聡明そうな瞳が印象的だ。
 伊織よりひとつ年下で、去年父を亡くし、若いながらも家督を継いだ身である。




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登場人物紹介

天宮桜花(あまみやおうか)


始祖が天女と言われる家系に生まれた巫女。

破魔の力を受け継ぐ可憐な少女。

大切な人たちを守るため、鬼と対峙していく。

桐生伊織(きりゅういおり)


始祖が龍であったと言われる家系に生まれる。桜花とは幼馴染。

桜花を想っているが、異母兄への遠慮もあり、口にできない。

九条隼人(くじょうはやと)


草薙の若き聡明な領主。趣味は学問と錬金術。

心優しい少年で藤音を案じているが、どう接してよいかわからず、気持ちを伝えられないでいる。

藤音(ふじね)


和睦の証として人質同然に嫁いできた姫。

隼人の誠実さに惹かれながらも、戦死した弟が忘れられず、心を閉ざしている。

鬼伝承が残る海辺の村で、いつしか魔に魅入られていく……。

浅葱(あさぎ)

愛しい姫を奪われた鬼。世を呪い、九条家に復讐を誓う。

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