第131話 守護石の告げし者
文字数 622文字
「あの時、もしあなたが止めてくれなかったら、わたしは死んでいたわ」
自分では止める術もなく、とめどなく力を放出して、自らを滅ぼしてしまったに違いない。
伊織も桜花を見つめ、穏やかに笑む。
「桜花が無事でよかった」
優しい笑顔に涙ぐみそうになった時、ふと高い澄んだ音がした。
聞き覚えがあるその音は、桜花が祖父から守護石を渡された時と同じ音色だ。
桜花は急いで懐から小さくたたまれた布を取り出した。
布を広げ、不思議そうな表情の伊織に示してみせる。
「おじいさまがくださった守護石よ。天河石 というの。持ってみて」
渡された守護石が、ぽうっと淡く輝く。
とたんに伊織は片手で額を押さえた。
「どうかしたの?」
心配そうにのぞきこむ桜花に、軽く首を横に振る。
「いや、大したことはない。最近、妙に額が熱く感じる時があるんだ」
鬼封じの岩に近づいた時も、桜花に危機が迫った時も、そして守護石に触れた今も。自分の奥深くで何かが呼び覚まされるかように。
輝く石を手にした伊織の姿に、桜花はまっすぐ視線を当てた。
魔を封じる者は一対。天女と龍の末裔。予感は確かなものへと変わっていく。
「守護石が教えてくれたわ。破魔の者は伊織、あなただと」
「……」
桜花を信じないわけではないが、いきなり言われても伊織はとまどうばかりだ。
自分では止める術もなく、とめどなく力を放出して、自らを滅ぼしてしまったに違いない。
伊織も桜花を見つめ、穏やかに笑む。
「桜花が無事でよかった」
優しい笑顔に涙ぐみそうになった時、ふと高い澄んだ音がした。
聞き覚えがあるその音は、桜花が祖父から守護石を渡された時と同じ音色だ。
桜花は急いで懐から小さくたたまれた布を取り出した。
布を広げ、不思議そうな表情の伊織に示してみせる。
「おじいさまがくださった守護石よ。
渡された守護石が、ぽうっと淡く輝く。
とたんに伊織は片手で額を押さえた。
「どうかしたの?」
心配そうにのぞきこむ桜花に、軽く首を横に振る。
「いや、大したことはない。最近、妙に額が熱く感じる時があるんだ」
鬼封じの岩に近づいた時も、桜花に危機が迫った時も、そして守護石に触れた今も。自分の奥深くで何かが呼び覚まされるかように。
輝く石を手にした伊織の姿に、桜花はまっすぐ視線を当てた。
魔を封じる者は一対。天女と龍の末裔。予感は確かなものへと変わっていく。
「守護石が教えてくれたわ。破魔の者は伊織、あなただと」
「……」
桜花を信じないわけではないが、いきなり言われても伊織はとまどうばかりだ。