第24話 重い言葉
文字数 423文字
隼人は藤音から眼をそらすと、身を起こし、床にころがっていた懐剣を手に取った。
「これはわたしが預かっておきます。今夜はお疲れでしょう。わたしは自分の部屋に戻りますから、あなたはゆっくり休んでください」
起き上がる気力もなく床に横たわったままの藤音を残し、隼人は寝所を出ていった。手にした懐剣がずしりと重く感じられ、振り返ることができなかった。
政略のための望まぬ縁組なのはわかっていた。それでも時間をかけて少しずつお互いを理解していけば、いつか心は通いあうのでは、と思っていた。
しかし現実は隼人の甘い考えを打ち砕くものだった。
弟の仇という言葉が重くのしかかり、藤音と同様、隼人にもどうすればよいのかわからなかった。
足音が遠ざかっていき、ひとり寝所に残された藤音の眼から、また涙が頬を伝って落ちる。
死ぬことは許されない。
かといってこの先、何をよすがに生きていけばいいのだろう。
藤音はまるで自分が生きながら死んでいる、屍 のような気がした。
「これはわたしが預かっておきます。今夜はお疲れでしょう。わたしは自分の部屋に戻りますから、あなたはゆっくり休んでください」
起き上がる気力もなく床に横たわったままの藤音を残し、隼人は寝所を出ていった。手にした懐剣がずしりと重く感じられ、振り返ることができなかった。
政略のための望まぬ縁組なのはわかっていた。それでも時間をかけて少しずつお互いを理解していけば、いつか心は通いあうのでは、と思っていた。
しかし現実は隼人の甘い考えを打ち砕くものだった。
弟の仇という言葉が重くのしかかり、藤音と同様、隼人にもどうすればよいのかわからなかった。
足音が遠ざかっていき、ひとり寝所に残された藤音の眼から、また涙が頬を伝って落ちる。
死ぬことは許されない。
かといってこの先、何をよすがに生きていけばいいのだろう。
藤音はまるで自分が生きながら死んでいる、