第7話 勝利
文字数 511文字
さらに悲壮な決意をしたためた敗軍の将からの文に対しても、この戦乱の世では考えられないほど、返答は寛大なものだった
いわく、大将の首など不要、領地も現状のままで結構、今後は争うことなく友好関係を保ちたいという内容だったのだ。
自害する覚悟を決めていた宗久本人が拍子抜けしたほどである。
あまりに寛容すぎる処遇に不満を抱いたのは、九条家の家臣たちの方だった。
「せっかく勝利したというのに、これでは何の意味もないではありませぬか」
「さようですぞ。今なら白河の領地、手中に収めることができますものを」
憤慨する家臣たちをなだめつつ、隼人はあっさりと言ってのけた。
「これで長きにわたる戦が終わったのだから、よいではないか。領民たちもやっと安心して暮らせる。別にわたしは白河の領地が欲しくて戦ったわけではないし」
「殿は人がよすぎますぞ!」
ことに不満を露わにしたのは、教育係として幼い頃からこの少年を育ててきた筆頭家老の結城和重 だ。
「せっかく大勝利を収めたというのに、領地のひとつも増えないとは……」
いわく、大将の首など不要、領地も現状のままで結構、今後は争うことなく友好関係を保ちたいという内容だったのだ。
自害する覚悟を決めていた宗久本人が拍子抜けしたほどである。
あまりに寛容すぎる処遇に不満を抱いたのは、九条家の家臣たちの方だった。
「せっかく勝利したというのに、これでは何の意味もないではありませぬか」
「さようですぞ。今なら白河の領地、手中に収めることができますものを」
憤慨する家臣たちをなだめつつ、隼人はあっさりと言ってのけた。
「これで長きにわたる戦が終わったのだから、よいではないか。領民たちもやっと安心して暮らせる。別にわたしは白河の領地が欲しくて戦ったわけではないし」
「殿は人がよすぎますぞ!」
ことに不満を露わにしたのは、教育係として幼い頃からこの少年を育ててきた筆頭家老の
「せっかく大勝利を収めたというのに、領地のひとつも増えないとは……」