第157話 仇敵
文字数 483文字
冷たく光る青い瞳が桜花を射すくめる。
「昔話はもう終わりだ。邪魔だてするなら、そなたもまた我が仇敵。忌々しき天女の末裔よ、奈落へと堕としてくれるわ!」
言うと同時に浅葱は桜花に襲いかかろうとする。
伊織は桜花の前に立ちはだかり、刀を構えるが、激しい衝撃に弾き飛ばされる。
「ただの刀など効かぬ、と言ったはずだ!」
雷を受けたかのように全身が痺れている。刀を支えに、どうにか体を起こした伊織の視界に映ったのは、浅葱の手が首にかけられた桜花の姿。
結界を保ち続けている守護石は使えない。桜花は必死に外そうともがくが、鬼の腕はびくともしない。
「あ……うっ」
「天女の末裔といえども所詮は人間、脆弱なものよのう」
つぶやきながら浅葱は首にかけた手に力をこめる。今度こそ誰にも邪魔はさせない。
「桜花!」
抗っていた腕がだらりと下がり、瞳から生気が失われていく。
桜花の命の灯が消えようとしている──眼前で起こりつつある惨劇に、伊織は体中の血が逆流するのを感じた。
「昔話はもう終わりだ。邪魔だてするなら、そなたもまた我が仇敵。忌々しき天女の末裔よ、奈落へと堕としてくれるわ!」
言うと同時に浅葱は桜花に襲いかかろうとする。
伊織は桜花の前に立ちはだかり、刀を構えるが、激しい衝撃に弾き飛ばされる。
「ただの刀など効かぬ、と言ったはずだ!」
雷を受けたかのように全身が痺れている。刀を支えに、どうにか体を起こした伊織の視界に映ったのは、浅葱の手が首にかけられた桜花の姿。
結界を保ち続けている守護石は使えない。桜花は必死に外そうともがくが、鬼の腕はびくともしない。
「あ……うっ」
「天女の末裔といえども所詮は人間、脆弱なものよのう」
つぶやきながら浅葱は首にかけた手に力をこめる。今度こそ誰にも邪魔はさせない。
「桜花!」
抗っていた腕がだらりと下がり、瞳から生気が失われていく。
桜花の命の灯が消えようとしている──眼前で起こりつつある惨劇に、伊織は体中の血が逆流するのを感じた。