第132話 人払い
文字数 578文字
「あなたの手の中で守護石が輝いているでしょう? 石が反応するのは破魔の者だけ。今はそのことを覚えていて」
すぐにはわからなくても、いずれ理解できるはずだ。おそらくは遠くないうちに。
守護石を再び大切に懐に収めると、桜花は伊織の袖をつかんだ。
「お願いがあるの、伊織。今すぐ隼人さまにお目通りできるよう、取り次いで」
「殿に?」
「報告しなければいけないことがあるの。できるだけ早く」
桜花の思いつめた表情が尋常ではない事態を物語っていた。伊織もまた真顔になって、承知した、と返答した。
隼人への目通りはすぐにかない、桜花は広間に通された。伊織も一緒である。
「改まってどうしました? 桜花どの、お加減が悪いと聞いていましたが、もうよろしいのですか」
両手をつき、頭を下げながら、はい、と桜花は答える。
「お気づかい、ありがとうございます。ご心配をおかけしました。もう大丈夫でございます。あの、それで……」
言いにくそうに桜花は口ごもった。広間には隼人だけでなく、何人かの側近たちが同席している。
「重大なお話がございます。どうかお人払いを──」
隼人は不可解そうに首をひねったが、桜花の真剣さを汲んで了承した。
「皆、少し席を外してもらえるかな」
すぐにはわからなくても、いずれ理解できるはずだ。おそらくは遠くないうちに。
守護石を再び大切に懐に収めると、桜花は伊織の袖をつかんだ。
「お願いがあるの、伊織。今すぐ隼人さまにお目通りできるよう、取り次いで」
「殿に?」
「報告しなければいけないことがあるの。できるだけ早く」
桜花の思いつめた表情が尋常ではない事態を物語っていた。伊織もまた真顔になって、承知した、と返答した。
隼人への目通りはすぐにかない、桜花は広間に通された。伊織も一緒である。
「改まってどうしました? 桜花どの、お加減が悪いと聞いていましたが、もうよろしいのですか」
両手をつき、頭を下げながら、はい、と桜花は答える。
「お気づかい、ありがとうございます。ご心配をおかけしました。もう大丈夫でございます。あの、それで……」
言いにくそうに桜花は口ごもった。広間には隼人だけでなく、何人かの側近たちが同席している。
「重大なお話がございます。どうかお人払いを──」
隼人は不可解そうに首をひねったが、桜花の真剣さを汲んで了承した。
「皆、少し席を外してもらえるかな」