第88話 どうすれば
文字数 551文字
その日は話はそこで終わりだった。上の空のまま夕餉を取り、鳥籠に餌と水を用意する。
小鳥が落ち着けるように籠に布をかぶせると、どっと疲れが出て、桜花は早めに床についた。
とはいえ、すんなりと眠れるはずもない。
何度も寝返りを打っては、大きく吐息する。
頬が熱い。鏡を見たら、きっと紅潮しているだろう。
本当に、どうしてこんな展開になってしまったのか。
もちろん和臣は嫌いではない。伊織と三人で幼い頃からよく一緒に遊んだし、今もいろいろと気づかってくれる。
知的で、すらりと背が高くて礼儀正しく、顔立ちも涼やかで、城の侍女たちの中にも憧れている者が大勢いる。
桜花とて年頃の娘だ。そんな彼が自分に好意を持っていてくれたのは、素直に嬉しいし、誇らしい気さえする。
しかし、縁談となると話は別だ。
もの心ついた頃から、好むと好まざるとにかかわらず、桜花は巫女として生きてきた。伝統を学び、所作を覚え、舞いを習い……他の選択肢などあり得ないと信じこんでいた。
なのに、今日一日でさまざまな状況が変わってしまった気がする。
どうすればいい?
明確な答えなどありはしない問いを、桜花は繰り返す。
小鳥が落ち着けるように籠に布をかぶせると、どっと疲れが出て、桜花は早めに床についた。
とはいえ、すんなりと眠れるはずもない。
何度も寝返りを打っては、大きく吐息する。
頬が熱い。鏡を見たら、きっと紅潮しているだろう。
本当に、どうしてこんな展開になってしまったのか。
もちろん和臣は嫌いではない。伊織と三人で幼い頃からよく一緒に遊んだし、今もいろいろと気づかってくれる。
知的で、すらりと背が高くて礼儀正しく、顔立ちも涼やかで、城の侍女たちの中にも憧れている者が大勢いる。
桜花とて年頃の娘だ。そんな彼が自分に好意を持っていてくれたのは、素直に嬉しいし、誇らしい気さえする。
しかし、縁談となると話は別だ。
もの心ついた頃から、好むと好まざるとにかかわらず、桜花は巫女として生きてきた。伝統を学び、所作を覚え、舞いを習い……他の選択肢などあり得ないと信じこんでいた。
なのに、今日一日でさまざまな状況が変わってしまった気がする。
どうすればいい?
明確な答えなどありはしない問いを、桜花は繰り返す。