第162話 永久(とこしえ)に
文字数 487文字
「お願い、復讐などやめて。同じ過ちを繰り返さないで」
思いもよらない唯姫の言の葉に、浅葱の顔に動揺が浮かぶ。
「我のしていることは過ちだと申すか?」
両肩をつかみ、揺さぶるようにして問いかける。
「そなたは本当にそれでよいのか。我をかばい、実の父の刃で命を落とした己が運命を恨まぬのか !?」
いいえ、と姫はかぶりを振り、穏やかに微笑んだ。
「恨んでも詮無きこと。わたくしにとって大切なのは、あなたを愛したという真実だけ。どうしてもこの気持ちを伝えたかった」
静寂な森の奥深く、睦みあい、短くとも幸福だった日々。
過ちだというのなら、いったいどこで間違ってしまったのか。求めたものはただひとつ、愛する者と暮らしていきたかっただけなのに。
「憎しみを糧に生きるのはとても辛いこと。もう苦しまないで。共に眠りましょう」
愛おしげに両手で頬を包みこむと、浅葱の険しかった形相がやわらいでいく。
唯姫の放つ輝きが、憎悪に染まった情念を浄化していくかのように。
光は桜花の持つ力と同化して伊織をも照らし、魔剣が負わせた肩の傷を癒していく。
「彼岸であなたを待っているわ。今度こそ永久 に一緒よ」
思いもよらない唯姫の言の葉に、浅葱の顔に動揺が浮かぶ。
「我のしていることは過ちだと申すか?」
両肩をつかみ、揺さぶるようにして問いかける。
「そなたは本当にそれでよいのか。我をかばい、実の父の刃で命を落とした己が運命を恨まぬのか !?」
いいえ、と姫はかぶりを振り、穏やかに微笑んだ。
「恨んでも詮無きこと。わたくしにとって大切なのは、あなたを愛したという真実だけ。どうしてもこの気持ちを伝えたかった」
静寂な森の奥深く、睦みあい、短くとも幸福だった日々。
過ちだというのなら、いったいどこで間違ってしまったのか。求めたものはただひとつ、愛する者と暮らしていきたかっただけなのに。
「憎しみを糧に生きるのはとても辛いこと。もう苦しまないで。共に眠りましょう」
愛おしげに両手で頬を包みこむと、浅葱の険しかった形相がやわらいでいく。
唯姫の放つ輝きが、憎悪に染まった情念を浄化していくかのように。
光は桜花の持つ力と同化して伊織をも照らし、魔剣が負わせた肩の傷を癒していく。
「彼岸であなたを待っているわ。今度こそ