第82話 大切な話
文字数 573文字
門のところで三人は立ち止まり、桜花はたずねかけた。
「どうなさいましたの? おじいさまに何か用でも?」
「ええ。実は、大切な話がありまして、こちらにお邪魔したのですよ」
「大切な話?」
両手に小鳥をつつんだまま、首をかしげる桜花に和臣は軽く咳払いする。
「今日は天宮の祖父どのにご相談とお願いに参ったのです」
かしこまった言い方に桜花はますます当惑する。おまけにどうしたわけか、日頃は冷静な和臣が妙に高揚している。
いくぶん照れたように桜花を見つめながら、和臣は続けた。
「先ほど、祖父どのにお願いしてまいりました。ぜひ桜花どのをわたしの正室にお迎えしたいと」
「え──?」
桜花はあやうく手の中の小鳥を地面に落とすところだった。
あまりに唐突すぎて頭がくらくらしそうだ。
正室? 和臣の? なぜ急にそんな話が?
祖父は何と返事を? まさか本人のいない所で承諾してしまったわけではあるまいが……。
和臣は桜花の混乱を見透かしたように、
「突然でさぞや驚かれたでしょう。詳しいことは祖父どのからお聞きください。今日のところは帰りますが、また近日中にうかがいます」
いつになく緊張しているのだろう、やや早口で言うと、一礼して去っていく。
「どうなさいましたの? おじいさまに何か用でも?」
「ええ。実は、大切な話がありまして、こちらにお邪魔したのですよ」
「大切な話?」
両手に小鳥をつつんだまま、首をかしげる桜花に和臣は軽く咳払いする。
「今日は天宮の祖父どのにご相談とお願いに参ったのです」
かしこまった言い方に桜花はますます当惑する。おまけにどうしたわけか、日頃は冷静な和臣が妙に高揚している。
いくぶん照れたように桜花を見つめながら、和臣は続けた。
「先ほど、祖父どのにお願いしてまいりました。ぜひ桜花どのをわたしの正室にお迎えしたいと」
「え──?」
桜花はあやうく手の中の小鳥を地面に落とすところだった。
あまりに唐突すぎて頭がくらくらしそうだ。
正室? 和臣の? なぜ急にそんな話が?
祖父は何と返事を? まさか本人のいない所で承諾してしまったわけではあるまいが……。
和臣は桜花の混乱を見透かしたように、
「突然でさぞや驚かれたでしょう。詳しいことは祖父どのからお聞きください。今日のところは帰りますが、また近日中にうかがいます」
いつになく緊張しているのだろう、やや早口で言うと、一礼して去っていく。