第160話 白き光
文字数 475文字
「たかが昨日や今日、力に目覚めた小娘と若造ごとき、我の敵ではないわ!」
浅葱は伊織の刀を薙ぎ払い、斬りつけてくる。漆黒の刃が肩を切り裂き、伊織は痛みに歯を喰いしばる。
「伊織!」
桜花は駆け寄りたい衝動を懸命に押しとどめた。相手が浅葱では自分が飛び出していったところで足手まといになるだけだ。
額を大粒の汗が流れ、伊織は肩で大きく息をついた。魔剣が負わせた傷は身を蝕み、体力を奪っていく。
このままでは伊織が……。
唇を引き結び、祈るように両手を握りしめた時だ。突然、桜花の前に白く輝く光が出現した。
桜花の力ではない。かといって魔でもない。不思議な光は暖かく輝き、桜花の心に思惟 を伝えてくる。
──あなたは……。
愛するがゆえの切ないまでの想い。その主の願いを知り、受け入ると、桜花は胸に両手をあてて眼をつむった。
たちまち白い光が全身をおおう。
白き光をまとった桜花の身体は宙を舞い、ふわりと浅葱と伊織のかたわらに降り立つ。
浅葱は伊織の刀を薙ぎ払い、斬りつけてくる。漆黒の刃が肩を切り裂き、伊織は痛みに歯を喰いしばる。
「伊織!」
桜花は駆け寄りたい衝動を懸命に押しとどめた。相手が浅葱では自分が飛び出していったところで足手まといになるだけだ。
額を大粒の汗が流れ、伊織は肩で大きく息をついた。魔剣が負わせた傷は身を蝕み、体力を奪っていく。
このままでは伊織が……。
唇を引き結び、祈るように両手を握りしめた時だ。突然、桜花の前に白く輝く光が出現した。
桜花の力ではない。かといって魔でもない。不思議な光は暖かく輝き、桜花の心に
──あなたは……。
愛するがゆえの切ないまでの想い。その主の願いを知り、受け入ると、桜花は胸に両手をあてて眼をつむった。
たちまち白い光が全身をおおう。
白き光をまとった桜花の身体は宙を舞い、ふわりと浅葱と伊織のかたわらに降り立つ。