第8話 不信
文字数 471文字
「結城の気持ちもわかるけど、そもそもわたしは戦を終わらせるために、戦に臨んだのだから……矛盾しているけどね」
「せめてあの憎き林宗久の首くらい所望すればよろしいものを」
すると隼人は真剣な顔つきになって結城を見つめた。
「結城」
「何でございましょう」
苦虫を噛み潰したような顔で返事をする家老に、
「今さら言うまでもないけど、わたしは昨年、父を亡くした」
「もちろん存じておりますとも」
「厳しくて、叱られてばかりいたけれど、わたしは父上が大好きだった。だから父上が病で亡くなられた時は本当に悲しかった」
そうでしょうとも、と結城が相槌を打つ。
「なのに結城は、その時のわたしと同じ思いを、林の家族にも味わわせろ……と?」
隼人の勝ちだった。家老は渋面を作って、うなるしかなかった。
「しかし、あの林宗久はどうも今ひとつ信用できませんな」
結城に限らず、今まで幾度も苦汁をなめさせられている家臣たちから、慎重な意見が次々と出てくる。
「せめてあの憎き林宗久の首くらい所望すればよろしいものを」
すると隼人は真剣な顔つきになって結城を見つめた。
「結城」
「何でございましょう」
苦虫を噛み潰したような顔で返事をする家老に、
「今さら言うまでもないけど、わたしは昨年、父を亡くした」
「もちろん存じておりますとも」
「厳しくて、叱られてばかりいたけれど、わたしは父上が大好きだった。だから父上が病で亡くなられた時は本当に悲しかった」
そうでしょうとも、と結城が相槌を打つ。
「なのに結城は、その時のわたしと同じ思いを、林の家族にも味わわせろ……と?」
隼人の勝ちだった。家老は渋面を作って、うなるしかなかった。
「しかし、あの林宗久はどうも今ひとつ信用できませんな」
結城に限らず、今まで幾度も苦汁をなめさせられている家臣たちから、慎重な意見が次々と出てくる。