第3話 探しびと
文字数 444文字
そこで伊織は思い出したようにぽん、と手を打った。
「その隼人さまがどこにもいないんだ。さっきから探しているのだが、お姿がない。見かけなかったか?」
いいえ、と首を横に振りながら、桜花は驚いたように眼をまるくする。
「もうじき花嫁がお城に到着するというのに、隼人さまはいったいどうなさったの?」
「知りたいのはこちらの方だ。肝心の殿の姿が見えないので、城内は大騒ぎだ」
その時、何かに思い当たったように桜花は小さく声を上げた。
「ね、あの小屋は探してみた? 隼人さまが最近よくこもっていらっしゃる、例の場所よ」
桜花の言葉に、あの場所があったか、と伊織も弾んだ声を出す。
とにかく時間が迫っていた。二人は小走りで見当をつけた場所に急ぐ。
ほどなく城の庭の片隅に小さな建物が見えてきた。簡素な木造りの、掘っ立て小屋と呼んでもいいような代物だ。
「殿、こちらにおいでですか?」
そう、伊織が声をかけた瞬間だった。
中からばんっと弾けるような音がして、伊織はとっさに刀の柄に手をかけ、勢いよく戸を開けた。
「その隼人さまがどこにもいないんだ。さっきから探しているのだが、お姿がない。見かけなかったか?」
いいえ、と首を横に振りながら、桜花は驚いたように眼をまるくする。
「もうじき花嫁がお城に到着するというのに、隼人さまはいったいどうなさったの?」
「知りたいのはこちらの方だ。肝心の殿の姿が見えないので、城内は大騒ぎだ」
その時、何かに思い当たったように桜花は小さく声を上げた。
「ね、あの小屋は探してみた? 隼人さまが最近よくこもっていらっしゃる、例の場所よ」
桜花の言葉に、あの場所があったか、と伊織も弾んだ声を出す。
とにかく時間が迫っていた。二人は小走りで見当をつけた場所に急ぐ。
ほどなく城の庭の片隅に小さな建物が見えてきた。簡素な木造りの、掘っ立て小屋と呼んでもいいような代物だ。
「殿、こちらにおいでですか?」
そう、伊織が声をかけた瞬間だった。
中からばんっと弾けるような音がして、伊織はとっさに刀の柄に手をかけ、勢いよく戸を開けた。