第136話 化物皇子と仲間達

文字数 1,301文字

 私はララミィ・ベル。

 

奴隷です。

 現在は、エルブリタニア帝国第3皇子、ビクトリアス・エルブリタニア殿下にお仕えしています。



 あの日、私を買いたいと言われた、頭のおかしいエルフの少年が、エルブリタニアの皇子様だったなんて。

 あれから、私は仕えていたバルナ・レルクール様から、ビクトリアス殿下に主が変わりました。

 バルナ様と話合われた内容は、驚愕しか無いものでした。

 最初は余裕を以て対応していたバルナ様も、話が事実だと理解されると、前のめりになって殿下からのアドバイスを聞いておられました。

 内容は、とても信じられないものでしたが、淡々と事実を語る殿下と、最近の出来事と辻褄が合って行くにつれバルナ様の顔色が七変化していきました。

 そして、バルナ様は私を無償で殿下に譲られて、一刻も早く国を脱出しなければと言いながら館の者に命令しておられました。

 本当に信じたんですか、バルナ様。

 この頭のイカれた皇子様の、大嘘かもしれませんよ?

 しかし、私は所有権が、その頭のイカれた皇子になってしまったので、否応もありません。

 さあ、私を好きにして下さい!

 え、奴隷から解放するって!?

 頭は大丈夫なのですか?





「で、殿下! こちらの方々は、殿下のお知り合いですか?」

 私の目の前には、信じられない光景が映っていました。

 確か、あの旗印はサルナ王国の紋章だった筈。

 その旗印の兵隊さん達が、見渡す限りに倒れ伏し、呻き声を上げているのでした。

 まさか、この惨状を起こしたのは、この方々なのですか?

 この惨状を目の当たりにしても、一切の頓着がない頭のイカれた殿下を、私は呆れた目で見ていました。



「ああ、僕の仲間達だ。紹介するよ、ララァ!」

 くっ、やはりイカれた殿下には、イカれた仲間がいるものなのですね?

 十の災厄(アンタッチャブル)、......それは、決して触れてはいけない不可避の神罰。

 その神罰が、私の目の前にいます。

 何故それが解ったのか、そう私は殿下の頭の上で寛ぐ、黒虎の逆鱗に触れたから。

 私が殿下をイカれた頭のおかしい人だっと思っていると、黒虎、元い、【黒獣エクリプス】様が私に念話でこう告げました。

『俺の親友を馬鹿にすると、喰っちまうぞ!』

 その時の黒虎の威圧で、私は弾かしながら、漏らしてしまいました。

 だって、凄く怖かったんですもの!

 命の危険とか、そう言うレベルではなく、心が死にました。チーンです!

 後で皆さんに聞いたところ、あれでもかなり威圧を押えてくれていたそうです。

 ツンデレ虎と、仲間の皆さんは影で言っていました。

 面と向かって言うと大変面倒臭いことになるからと、皆さん遠くを見る目で言われていたのが印象に残りました。

 え、私の実家に挨拶に行ですって?

 いえいえ、そんなことされたら、大事件になってしまいますから、止めて下さい!



  私はララミィ・ベル。

 

奴隷の、ビクトリアス殿下の弟子見習いです。
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