第95話 ベガ王国
文字数 1,398文字
我はロビュラ・ベガ。
ベガ王国の国王である。
古の西方王国、クローマ王国の再興。
アッバース王国の使者の言に、我は驚きを隠せなかった。
そして、この度の西方三国包囲作戦を実行に移したアーク傭兵騎士団団長ドリトス・トルクス。
あの男の目が気に掛かる。
あの目は我を信用してはいない。
我にはそう思えて為らない。
戦国の世とは、気が抜けないものだ。
ふっふふふふふ。
我の心の奥底を見るあの目。
油断為らない男だ。
我にはベガ王国を依り富ます責務がある。
遡る事、800年前。
我が血脈であるへレナード・ベガ様。
古のクローマ王国の王女。
3人の利欲の塊の兄弟に依って、命を落とす運命を長兄であるミルテッド・クローマの計らいに依り生き延びた数奇なる運命の女性。
そのへレナード様の手記にはこうある。
幾年月が経とうとも、ミルテッド兄様への感謝の念を我が子孫よ、忘れるべからず。
そう記載されている一文がある。
過酷な状況で死を覚悟したへレナード様を救ったのは、兄弟の絆の為に王位継承を放棄したミルテッド様だった。
クローマ王国を救うには調停者が必要だった。
しかし、調停出来る者が存在しない状況でミルテッド様は、己を犠牲に調停者となった。
その長子の想いも、3兄弟には届かなかった。
剰え王女として王位継承権を持つへレナード様を害しようとする始末だった。
このままクローマに居れば必ず不幸に為ると判断したミルテッド様に依って、へレナード様はベガ王国へ身を寄せられた。
そして、へレナード様に一目惚れした第1王子の妻となった。
その一目惚れも、第1王子の手記にはミルテッド様の頼みだったことが明らかになっている。
妹の為に小国の第1王子に土下座をして、妹の未来を託した心優しき強国の長子。
では、優しきだけの男であったかと言うとそうではない。
実力も4兄弟では抜きん出ていた。
惜しむらくはクローマ王が次代の王を指名せずに亡くなったことだ。
実力で王位を継承しても、兄弟の絆に痼りを残す。
心優しき長子は、国よりも兄弟の絆を獲った。
そして、その想い叶わずクローマ王国は3つに割れた。
その不和は800年経った現在も続いていた。
その西方三国の不和に激怒したのがアルグリア大陸北西の強国、否“狂国”アッバース王国だった。
ミルテッド様が身を寄せたのは、アッバース王国であった。
そして、800年の間。
西方三国を影ながら見守っていたミルテッド様の血脈。
その血脈を見続けてきたアッバースの歴代の王達の審判が今代に下された。
正義の剣は振り落とされたのだ。
西方諸国でアッバースと敵対出来る国は存在しない。
アッバースにとって、西方諸国全てと戦っても正義の剣を振り落とすだろう。
それがアッバースである。
そして、アッバースは恩を忘れない。
それもアッバースである。
我はベガ王国を西方の強国と為したい。
古のクローマ王国の再興は、我が国にとっては目出度いことではない。
はてさて、アッバースの正義を掻い潜り西方で覇を唱えるには...。
我はロビュラ・ベガ。
ベガ王国、第7代国王である。
ベガ王国の国王である。
古の西方王国、クローマ王国の再興。
アッバース王国の使者の言に、我は驚きを隠せなかった。
そして、この度の西方三国包囲作戦を実行に移したアーク傭兵騎士団団長ドリトス・トルクス。
あの男の目が気に掛かる。
あの目は我を信用してはいない。
我にはそう思えて為らない。
戦国の世とは、気が抜けないものだ。
ふっふふふふふ。
我の心の奥底を見るあの目。
油断為らない男だ。
我にはベガ王国を依り富ます責務がある。
遡る事、800年前。
我が血脈であるへレナード・ベガ様。
古のクローマ王国の王女。
3人の利欲の塊の兄弟に依って、命を落とす運命を長兄であるミルテッド・クローマの計らいに依り生き延びた数奇なる運命の女性。
そのへレナード様の手記にはこうある。
幾年月が経とうとも、ミルテッド兄様への感謝の念を我が子孫よ、忘れるべからず。
そう記載されている一文がある。
過酷な状況で死を覚悟したへレナード様を救ったのは、兄弟の絆の為に王位継承を放棄したミルテッド様だった。
クローマ王国を救うには調停者が必要だった。
しかし、調停出来る者が存在しない状況でミルテッド様は、己を犠牲に調停者となった。
その長子の想いも、3兄弟には届かなかった。
剰え王女として王位継承権を持つへレナード様を害しようとする始末だった。
このままクローマに居れば必ず不幸に為ると判断したミルテッド様に依って、へレナード様はベガ王国へ身を寄せられた。
そして、へレナード様に一目惚れした第1王子の妻となった。
その一目惚れも、第1王子の手記にはミルテッド様の頼みだったことが明らかになっている。
妹の為に小国の第1王子に土下座をして、妹の未来を託した心優しき強国の長子。
では、優しきだけの男であったかと言うとそうではない。
実力も4兄弟では抜きん出ていた。
惜しむらくはクローマ王が次代の王を指名せずに亡くなったことだ。
実力で王位を継承しても、兄弟の絆に痼りを残す。
心優しき長子は、国よりも兄弟の絆を獲った。
そして、その想い叶わずクローマ王国は3つに割れた。
その不和は800年経った現在も続いていた。
その西方三国の不和に激怒したのがアルグリア大陸北西の強国、否“狂国”アッバース王国だった。
ミルテッド様が身を寄せたのは、アッバース王国であった。
そして、800年の間。
西方三国を影ながら見守っていたミルテッド様の血脈。
その血脈を見続けてきたアッバースの歴代の王達の審判が今代に下された。
正義の剣は振り落とされたのだ。
西方諸国でアッバースと敵対出来る国は存在しない。
アッバースにとって、西方諸国全てと戦っても正義の剣を振り落とすだろう。
それがアッバースである。
そして、アッバースは恩を忘れない。
それもアッバースである。
我はベガ王国を西方の強国と為したい。
古のクローマ王国の再興は、我が国にとっては目出度いことではない。
はてさて、アッバースの正義を掻い潜り西方で覇を唱えるには...。
我はロビュラ・ベガ。
ベガ王国、第7代国王である。