第１５８話　コマ王国

　我はビスコ・コマ。

　コマ王国の国王である。



　我が国は、テスラ王国の同盟国である。

　隣国のラグーン王国が、軍勢をテスラ王国へ向かわせたと急報が入った。

　ラグーン王国は、新しく国王が即位したばかりの筈。

　新王は、野心が大きく、脳が小さい、阿呆なのであろうか？

　テスラ王国に対して、軍勢の数は３０００と聞いた。

　正気か？　たった３０００の軍勢で、あのドラゴニュートの国を落とせる思っているのか？



　なんと、地震だと？　クナーン山脈でか？　現在は休火山の筈の･･････　

　ふむふむ、なんと！　破廉恥な！　ベリウル王国とは、恥も外聞も気にしない蛮族国家なのか？

　ふむふむ、新王は賢王であったか。

　ベリウル王国には、何も言わないとか。

　ほう、第３王子、ああ、もう元第３王子か。

　更迭されて、収監されたか。

　脳筋の阿呆など、要らんわな。

　さて、テスラ王国は如何するつもりなのであろうか？

　攻め込まれてはいないが、攻め込もうとはした。

　テスラ王国は、尚武の国。

　外征はしないが、果たして現在の王であるゼノン・テスラ殿は、我慢出来るのかな？

　脳筋と言うには賢い戦闘狂。

　戦闘欲だけで突っ込む馬鹿ではないが、何をするか解らない危うさが、ゼノン殿にはある。

　そう言う面では、力こそ正義のジャイアント、アッバース王国と余り変わらないか。



　「陛下、申し上げます！　ベリウル王国の軍が、我が国の国境を侵して居ります！」

　「な、なんだと？　詳細を申せ！」

　「ベリウル軍、凡そ４０００が、突如国境の我が砦を強襲した模様です！　砦から急使が参りました！」

　くっ、蛮族国家め！

「至急、迎撃軍を発しろ！　数は４０００で急げ！　砦には１０００、数日は保つだろう！　あとテスラ王国に急使を出せ！」

　ベリウルの蛮族共め！

　謀りおったか！

　ラグーン王国は、陽動で、我が国を狙うとは！

　ゴウトメル・ベリウル

　蛮族王め！







　雷の如き速さで、ベリウル軍は王都を急襲し、我が国は陥落した。

　テスラ王国の援軍も間に合わなかった。

　我はビスコ・コマ。

　コマ王国の

元

国王である。

　我が目の前に在るは、断頭台。

　くっ！　蛮族王め！　いや、我が愚かな羊だったと言うことだ！

　無念だ･･････