第169話 更に旅は続く

文字数 957文字

 私はジクミーロ・ランスロット。

 カリダドの聖騎士で、【正義の審問官】である。



 ビクトリアス・エルブリタニア。

 エルブリタニア帝国の第三皇子。

 数々の武勇伝を打ち立てる化物皇子。

 彼の調査が私の使命だが、皇子の痕跡ははっきりとしている。

 こんなにも遠慮なく残しているとは、正気を疑ってしまうのは致し方ないだろう。

 エルブリタニア帝国は、皇子を持て余しているのか?

 其れとも皇子の動きは全て、エルブリタニア帝国の指示なのだろうか?


 中々、追いつけない。

 此の私が追いつけないとは、どれ程の速度で旅をしているのだろうか?

 疑問は尽きない。

 ラグーン王国へ入る際に聞いた。

 隣国ザッドスの軍隊が、ラグーンの国境を侵し壊滅したと。

 大地が割れ、雷が落ち、唯一人の生存者もいないらしい。

 多分、此れも皇子の仕業に違いない。

 此れまで数々の軍を壊滅・潰走に追い込んだ皇子だからな。

 間違いはないだろう。



 可笑しい。痕跡が掴めない。

 何故だ、何故なんだ?

 問題が起きた痕跡がないだと?

 くっ、どうしたことだ。

 此処まで来て、見失ったのか?



「何でも、テスラの騎士団が敗走したらしいぞ?」

「はははは、其れは担がれたな? テスラの騎士団と言えば竜騎士団しかいない。飛龍に乗る竜騎士と如何やって戦うんだ? 騙されたんだよ、ったく。仕方が無いな」

 ほう、テスラ王国の竜騎士団が?

 此れは、真逆すると真逆するぞ!

 私は急ぎテスラ王国へ入国する為に国境向かった。



「喩え聖カリダド教国の聖騎士様でも、お通し出来ないものは出来ないのですよ? ご理解頂きたい!」

 国境警備の隊長が苦汁の表情で、私に頭を下げる。

 聖カリダドの聖堂騎士団である聖騎士の入国を拒むと言うことの意味を、熟知していながらも敢えてそう言わねばならない状況であると言うことだろう。

 やっぱり、件の化物皇子の仕業だろう。

 恐るべし化物皇子、テスラ王国までも堕とすのか?







 私はジクミーロ・ランスロット。

 カリダドの聖騎士で、【正義の審問官】である。

 決して化物皇子の追跡者(ストーカー)ではないと言って置く。
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