第155話 化物皇子は、高らかに笑う!

文字数 1,051文字

 僕達はテイリ王国からラグーン王国へと入った。

 ラグーン王国は、塩水湖が有名な国で、貴重な塩の産地で有名だった。

 ラグーンの紅塩は、塩に旨味が混ざる最高の塩として、アルグリア大陸では知らない住人はいないくらい有名だった。

 其の紅い塩水湖を眺めながら、僕達はラグーン王国の王都コラールへ向かっていた。

 テイリ王国で聞いた話だと、ラグーン王国が隣国であるテスラ王国へ攻め込んだらしい。

 テイリ王国の住民は声を潜めて教えてくれたが、どうやらテイリ王国の上層部も其の話は寝耳に水だったらしい。

 だから慌てて、対応をしているらしい。

 ラグーン王国は、同盟国であるテイリ王国に、戦いの通知も何も無いらしい。

 先王が崩御して、新たに即位したバルクル・ラグーンに問題があるらしい。

 何でも、王位は第1王子と第3王子の争いだったが、第2王子が先王の遺志を継いで即位したらしい。

 第1王子には、宰相率いる政務官僚達が、第3王子には軍部の武官達が、其々付き従っていたらしい。

 其れが鳶に油揚げを獲られたから、さあ大変だ。

 ラグーン王国は、大いに混乱の渦らしい。



『可笑しいわ、第2王子が即位するなんて聞いた事が無い!』

 困惑しているシスが、唸っている。

 シス、考えて答えが出ないのは情報が不足してるからだよ?

 情報を先ずは集めようよ?

『ぐぐぐっ! ビズが真っ当な事を言っている! はっ! 何か悪い物でも食べた?』

 えっ? 僕が真っ当な意見を言うと可笑しいの?

 悪い物は食べて無いと思うよ? 偶に拾い食いするのは、仕方ないよね?

『はぁ~、帝国第3皇子が、拾い食いなんて、世も末だわ!』

 えっ? だって美味しいよ、野苺とか無花果とか!

『木の実を食べる事は、拾い食いとは言わないわ! 紛らわしい、本当に残念な天然さんなんだから!』

 ぶー! 僕は残念な天然さん何かじゃないよ?

 失礼しちゃうな、シス!

『はいはい! 私が悪かったから、機嫌を直して情報収集をお願い! ね、ビズ?』

 むむむ! 姿が見えない筈のシスが、上目遣いで僕に懇願する姿が何故か見える!

「ぷっ! ぷっははははは~!!!」

『何を笑っているのよ、ビズ?』

 ごめん、ごめん! ちょっと、・・・・・・ね?







 僕の笑い声に、皆が僕を見る。

 でもなんで皆、僕を残念な目で見るの? ちょっと失礼じゃないかな?

 全く解せないよ! 全く、もう!
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