第133話 サルナ王国

文字数 950文字

 我はイスリナム・サルナ。

 サルナ王国の国王である。

 現在隣国のタックロ王国で内乱が起こっている。

 いや、其れ処か、北西諸国のシルフィ族の国で、内乱が起こっているのだった。

 一連の内乱が偶然な訳はあるまい。

 こんな状況では、様子を窺い隙があれば領土を拡張するのが基本姿勢だ。

 だが、しか~し! 我は違う、此の期に乗じて我がサルナ王国の版図を広げるのだ。

 愚かなシルフィ達は、愚か者同士で争えば良い。



「陛下、準備は整っております! お下知を!」

 ふふふふ、まさにサルナ王国が、飛躍する刻が来たのだ!

「全軍出撃! タックロを我が領土とするのだ!」

「はっ!」

 ふふふふ、はははは! 我が軍勢3000が、タックロの国境を越え王都を制圧する。

 この戦略を読めるかな、ピグミル・タックロよ!



「申し上げます! 我がタックロ王国侵攻軍が壊滅しました!」

 はぁ? 何を申しておるのだ、此奴は?

「我が軍がタックロの国境に迫った時、前方に旅装束の集団が居た模様。戦いの前の血祭りと前衛軍が攻撃した処、アッサリと蹴散らされ、瞬く間に中衛軍、後衛軍が薙ぎ倒されたとのこと! 現在我が軍は敗走中です! 如何致しましょうか? お下知を!」

 ふむ、旅装束の集団と言うことは、旅の商人ではないな。

 集団と言うが人数どれほどだったのだ?

 え、十数人......

 その集団が化物の集まりなのか、我が軍が腰抜けなのかはさておき。

 むむむ、此れは非情に不味いぞ。

 我が国の総力を以て仕掛けた戦いの前に、我が軍は壊滅をした。

 其れは致し方なくはないが、受け入れよう。

 敗軍を再構成して、立て直さなければ、我が国が周辺国の良い餌となる。

 何故こうなったかは、先ずは置いておこう。

 問題は、此れからどうするかだ。

 我が軍の敗報は、周辺国は未だ知らんはずだ。

 知られる間に、敗軍を立て直せるか?

 ええい、こうしては居られん!



「我が出る! 近衛軍の出動だ! 準備に移れ!」

「はっ!」




 我の命令で、全てが動き出す。

 我の命令で、多くの者が命を落とす。

 我は王なり、国を富まし、民に幸せを与える者なり。
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