第120話 ノリス王国

文字数 1,191文字

 俺はザンジ・ノリス。

 ノリス王国の国王だ。

 我が隣国イルガリアで、内乱が勃発した。

 その内乱もイルガリアの王子が起こしたと言う。

 ふむ、馬鹿な息子を持ってイルガリア王も難儀なことよ。

 我がノリス王国とイルガリア王国の起源は同じ風精霊人(シルフィ)種である。

 アルグリア大陸には多種多様な人種種族が存在する。

 勿論、生きとし生けるもの全てに種族の世界がある。

 創造神カリダド様は、アルグリアに生きる全てに恩恵を与える。

 我ら人類とモンスターの区別の境界線は、アルグリア語を話せるかどうかだと言う者もいる。

 人類の中にも、モンスターの中にも、希に種族の垣根を越えて、相手と意思を交わすものもいると言う。

 もしかすると、スライム・ゴブリン・オークとも意思が交わせれば、共存の未来もあるのかも知れない。

 ふん、詮無いことを...。


「申し上げます、陛下! リロッタで反乱が起こりました! 首謀者はゲルン王子です! ......」

 な、な、...。

 俺は伝令兵の報告を聞き、余りのことに途中から話を聞いてはいなかった。

 ゲルン、...我が息子にして、西方方面軍将軍。

 何故、ゲルンが反乱など起こす必要があるのだ?

 い、いかん。

 冷静にならねばならぬ。

 ここが正念場、ノリス王国の今後を左右することになるやも知れん!

 俺は伝令兵に再度、報告をさせ、下がらせた。

 イルガリアと同じ時期に反乱だと?
 
 それも、王位継承の第1王子が共に反乱だと?

 偶然か、...否、必然として考えねばならぬ。

 王政を廃し、民衆の代表が話し合い国の(まつりごと)を推し進めるだと?

 気が狂ったのか、ゲルンよ!

 教育も受けていない民衆に、国の治政を任すだと?

 愚か者めが、現実を理解していない...否、理解出来ない。

 だからこそ、こんな馬鹿げたことをしでかすのか。

 西方方面軍1000名は、ゲルンが掌握している。

 西方方面の町は、既に調略されているやも知れん。

 はてさて、この反乱の背後に誰かいるのか?

 俺は何か得たいの知れないものを感じた。

 このアルグリアで、民衆が統治する国など存在しない。

 村や町なら教育を受けた者の一族が、知識と経験を受け継がせていく。

 その知識と経験がある者が村長、町長として民衆の代表となっているのだ。

 それを、理解しているのかゲルン?


「も、申し上げます、陛下! 隣国タックロ及びグトネスでも内乱が勃発した模様です! 詳細は不明ですが、追々報せが参ると思われます!」

 これはただ事ではない、異常だ!

 アルグリア西方地域では、西方三国が倒されクローマ王国が再興したと聞く。

 この北西の地にも、騒乱の風が吹くと言うのか!?
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