第77話 ローゼ(2)
文字数 2,022文字
私はローゼティアス・エルブリタニア。
エルブリタニア帝国第1皇女です。
私には3人の兄様達がいます。
上の2人の兄様達は優秀で私も会ったことがあるのですが、根暗だと噂の一番下のビクトリアス兄様だけはお会いしたことはありませんでした。
母様にどうして会えないのか聞くと、母様は寂しそうな顔をして私を見詰め諭すようにこう仰いました。
「いつかローゼもビズに会えるようになるわ。その時に
私はサリーの亡骸を抱きしめながら、ビクトリアス兄様の姿を必死に追いかけます。
でも、殆どが残像のように消えては現れを繰り返すだけで、私には追いかけられません。
だって、私には血塗れの獣とビクトリアス兄様が戦っているだろう剣音しか聞こえないからです。
「僕の妹をよくも泣かしたな! 僕はビクトリアス・エルブリタニア! お前達を討ち滅ぼす者だ!」
私を見ながら本当に申し訳なさそうに謝罪したビクトリアス兄様が、賊達に向かって叫んだ言葉が私の胸の中で木霊します。
『おい、妹! ビズの妹は俺の妹だ! 俺が護ってやるからな!』
え、何なのこの黒猫さんは? 先ほどまでビクトリアス兄様の頭に乗っていた黒猫さんの言葉が直接私の頭の中に響きます。
「ありがとうございます。私はビクトリアス兄様の妹のローゼティアス・エルブリタ二アでございます。よろしくお願いします」
私がそう言うと、黒猫さんは満足そうにしています。
ビクトリアス兄様のお友達に無様な姿を見せるわけにはいけません。
私はエルブリタニア帝国第1皇女なのですから...。
サリー...段々と冷たくなっていくサリー。
私には、姉妹はいませんでした。
なのでは、私は心の中でサリーを姉様のように慕っていました。
私の為にその身を犠牲にしたサリー。
自分の死よりも私の身の安全にほっとして、亡くなっていったサリー。
私は涙が零れるのも構わずにサリーを抱きしめながら、ビクトリアス兄様の姿を追いかけます。
件の血塗れの獣に、ビクトリアス兄様が何かポーズをとって話しかけ、何かを渡しました。
すると件の血塗れの獣は、受け取った何かを慈しむように胸に抱き泣いているようでした。
そして、その件の血塗れの獣は仲間であるはずの賊達を襲い始めたのです。
逃げる賊達を蹂躙しているのは、件の獣だけではありません。
ビクトリアス兄様のお仲間の方達は圧倒的な力で賊達を殲滅していました。
そうして、あれだけ優勢だった賊達が絶叫を上げながら逃げ惑っています。
しかし、逃げようにも周りは、氷の障壁で囲まれていてどうしようもありません。
ドォーン! バリバリ、ドォーン! バコォーン! ボォーン!
稲光と爆音を浴びながら賊達は、ある者は雷に打たれ、ある者は燃え上がり、ある者は氷付けにされて倒されていきます!
ビクトリアス兄様のお仲間のあの者達は、一体何者なんでしょうか?
そんなお仲間を持つビクトリアス兄様とは一体何者なのでしょうか?
暫くして、賊達の殆どは倒され、首謀者達は捕縛されていました。
そして、ビクトリアス兄様とお仲間達は、私を護るために散って逝った騎士達とサリーの亡骸を1カ所に集めて下さいました。
「みんな...、私の為に...、くっ...」
私は涙を拭いもせずに嗚咽を上げました。
そんな私をビクトリアス兄様は静かに抱きしめながら、こう言いました。
「ローゼティアス、遅くなってごめんね。でも
そう言うとビクトリアス兄様とお仲間達は、何かを騎士達とサリーの亡骸に掛けました。
え、嘘! 亡くなった者達が息を吹き返しました!
え、サリー! 嘘! どうして?
私はその奇跡を目の当たりにして、唖然としてしまいました。
「ビクトリアス兄様は、神様か何かなのですか? 一体何者なのですか?」
私は失礼にも、ビクトリアス兄様を畏れを帯びた目で見詰めて呟きました。
母様の言葉が蘇ります...。
「いつかローゼもビズに会えるようになるわ。その時に
あ、私...ビクトリアス兄様を畏れている? 助けて貰ったのに!?
でも兄様はそんな私の心の葛藤にはお構いなしに、何故か恥ずかしそうにビシッとポーズを決めてこう言ったのです。
「僕が“何者”だって? 僕はローゼティアス・エルブリタニア! お前の願いを叶える者だ!」
そう恥ずかしそうに言う兄様の眼は、紅玉の宝石のように輝いていました。
私はローゼティアス・エルブリタニア。
エルブリタニア帝国第1皇女。
そして、ビクトリアス・エルブリタニアの妹です。
エルブリタニア帝国第1皇女です。
私には3人の兄様達がいます。
上の2人の兄様達は優秀で私も会ったことがあるのですが、根暗だと噂の一番下のビクトリアス兄様だけはお会いしたことはありませんでした。
母様にどうして会えないのか聞くと、母様は寂しそうな顔をして私を見詰め諭すようにこう仰いました。
「いつかローゼもビズに会えるようになるわ。その時に
あの子を畏れてはいけませんよ
...」私はサリーの亡骸を抱きしめながら、ビクトリアス兄様の姿を必死に追いかけます。
でも、殆どが残像のように消えては現れを繰り返すだけで、私には追いかけられません。
だって、私には血塗れの獣とビクトリアス兄様が戦っているだろう剣音しか聞こえないからです。
「僕の妹をよくも泣かしたな! 僕はビクトリアス・エルブリタニア! お前達を討ち滅ぼす者だ!」
私を見ながら本当に申し訳なさそうに謝罪したビクトリアス兄様が、賊達に向かって叫んだ言葉が私の胸の中で木霊します。
『おい、妹! ビズの妹は俺の妹だ! 俺が護ってやるからな!』
え、何なのこの黒猫さんは? 先ほどまでビクトリアス兄様の頭に乗っていた黒猫さんの言葉が直接私の頭の中に響きます。
「ありがとうございます。私はビクトリアス兄様の妹のローゼティアス・エルブリタ二アでございます。よろしくお願いします」
私がそう言うと、黒猫さんは満足そうにしています。
ビクトリアス兄様のお友達に無様な姿を見せるわけにはいけません。
私はエルブリタニア帝国第1皇女なのですから...。
サリー...段々と冷たくなっていくサリー。
私には、姉妹はいませんでした。
なのでは、私は心の中でサリーを姉様のように慕っていました。
私の為にその身を犠牲にしたサリー。
自分の死よりも私の身の安全にほっとして、亡くなっていったサリー。
私は涙が零れるのも構わずにサリーを抱きしめながら、ビクトリアス兄様の姿を追いかけます。
件の血塗れの獣に、ビクトリアス兄様が何かポーズをとって話しかけ、何かを渡しました。
すると件の血塗れの獣は、受け取った何かを慈しむように胸に抱き泣いているようでした。
そして、その件の血塗れの獣は仲間であるはずの賊達を襲い始めたのです。
逃げる賊達を蹂躙しているのは、件の獣だけではありません。
ビクトリアス兄様のお仲間の方達は圧倒的な力で賊達を殲滅していました。
そうして、あれだけ優勢だった賊達が絶叫を上げながら逃げ惑っています。
しかし、逃げようにも周りは、氷の障壁で囲まれていてどうしようもありません。
ドォーン! バリバリ、ドォーン! バコォーン! ボォーン!
稲光と爆音を浴びながら賊達は、ある者は雷に打たれ、ある者は燃え上がり、ある者は氷付けにされて倒されていきます!
ビクトリアス兄様のお仲間のあの者達は、一体何者なんでしょうか?
そんなお仲間を持つビクトリアス兄様とは一体何者なのでしょうか?
暫くして、賊達の殆どは倒され、首謀者達は捕縛されていました。
そして、ビクトリアス兄様とお仲間達は、私を護るために散って逝った騎士達とサリーの亡骸を1カ所に集めて下さいました。
「みんな...、私の為に...、くっ...」
私は涙を拭いもせずに嗚咽を上げました。
そんな私をビクトリアス兄様は静かに抱きしめながら、こう言いました。
「ローゼティアス、遅くなってごめんね。でも
この人達も大丈夫だからね
!」そう言うとビクトリアス兄様とお仲間達は、何かを騎士達とサリーの亡骸に掛けました。
え、嘘! 亡くなった者達が息を吹き返しました!
え、サリー! 嘘! どうして?
私はその奇跡を目の当たりにして、唖然としてしまいました。
「ビクトリアス兄様は、神様か何かなのですか? 一体何者なのですか?」
私は失礼にも、ビクトリアス兄様を畏れを帯びた目で見詰めて呟きました。
母様の言葉が蘇ります...。
「いつかローゼもビズに会えるようになるわ。その時に
あの子を畏れてはいけませんよ
...」あ、私...ビクトリアス兄様を畏れている? 助けて貰ったのに!?
でも兄様はそんな私の心の葛藤にはお構いなしに、何故か恥ずかしそうにビシッとポーズを決めてこう言ったのです。
「僕が“何者”だって? 僕はローゼティアス・エルブリタニア! お前の願いを叶える者だ!」
そう恥ずかしそうに言う兄様の眼は、紅玉の宝石のように輝いていました。
私はローゼティアス・エルブリタニア。
エルブリタニア帝国第1皇女。
そして、ビクトリアス・エルブリタニアの妹です。