第40話 ガイアス王国
文字数 1,597文字
おいらはパラグラム。
十の災厄 の一角、《麒麟》だ。
おいらはビズとの勝負に負け、ビズの願いを聞き届けた。
もう一度言う。
聞き届けた。
これは物言い案件だ! 強くおいらは言いたい。
でもビズが言うんだ、何がいけないの? って。
おいおい、おい
え、解んないの? ビズ以外は皆、解ってる顔してるよ?
後で皆が言うにはビズは、《天然さん》て言うエルフの特異種らしい。
“慣れろ”って何? どう言うこと? おいらも確かにビズは変だと思ったよ? じゃん拳って何? おいらが負けた? 駄目駄目、駄目。
ちゃんと武競べしないと。
でもビズは言う。
男と男の約束を破るの? って。
そう言う意味じゃないと説明すると。
魔物さんって、なんか格好悪いって言うんだ。
え、おいら格好悪いの?
「やり直しが利く真剣勝負ってあるんだね? 僕初めて知ったよ。魔物さんがそう言うなら仕方ないね。やり直そう」
ビズのその言葉で、おいらはビズの“何か”に負けたと思った。
思ってしまったんだ。
ぐっぬぬぬぬぬ、解せぬ。
そして、ビズの願いをおいらが聞くと、
「僕と友達になって下さい」
それがビズの願いだった。
そして今、おいらもビズの仲間に入り一緒に旅をしている。
まあ、麒麟の姿のままだと問題が出るので、おいらは
ああ、エンスもだな。
でもエクスだけは《、《小型化》》してビズの頭の上が定位置だとご満悦だ。
人化した方が食べ物が旨い。
芋羊羮も包み紙を除いて食べると凄く旨い。
ビズは良い奴だ。
あの後、新しく芋羊羮をおいらにくれた。
正しい食べ方も教えてくれる。
最高に良い奴だ。
初めての連続においらの心も踊る。
ここはガイアス公国。
“水の公国”と呼ばれる、国土の3分の2がマリエンテ内海と言う塩水の湖が占める美しい国だ。
おいら霊山を離れるのは今まで、“おいらの禁忌を破った奴らへのお仕置き”しか経験がなくて、何かを美しいとか綺麗とか、そんな気持ちの余裕がある今が凄く楽しい。
それに大勢の
へー、川は淡水で海は海水なのか。
うおぉ、旨い。
川の魚も旨いけど、海の魚も風味が違って旨い。
ここは公都ブリュンヒルト。
“芸術の都”と呼ばれる場所らしい。
『おい、パラム。その楽しさの気配を消せ。俺達は今、泥棒してるんだぞ』
う、煩いなエクスは。
おいら達は今、潜入作戦中だ。
決して泥棒ではないはずだ。
ここはブリュンヒルトの《水の神殿》。
その地下深くへと進む階段を降りている最中だ。
ビズ曰く、この先にある地底湖に
なんでも
そう言えば霊山の禁忌の
あれも
「着きましたね。ここも塩の香りがしますね。塩水湖ですか」
おいおい、エンス。
お前も楽しい気配駄々漏れだぞ。
まあ、おいら達十の災厄 、いや“古の盟約の獣”からしたら旅なんて夢のまた夢だったから、楽しい気持ちで一杯なのはおいらも一緒だ。
うん? 何してんだビズ? ビズが
「僕はビクトリアス・エルブリタニア! 《海竜》リヴァイアサン! お前の願いを叶える者だ!」
え、何言ってんだコイツ ? おいらは素直にそう思った。
皆もおいらと同じ表情だった。
おいらはビズとの勝負に負け、ビズの願いを聞き届けた。
もう一度言う。
聞き届けた。
これは物言い案件だ! 強くおいらは言いたい。
でもビズが言うんだ、何がいけないの? って。
おいおい、おい
え、解んないの? ビズ以外は皆、解ってる顔してるよ?
後で皆が言うにはビズは、《天然さん》て言うエルフの特異種らしい。
“慣れろ”って何? どう言うこと? おいらも確かにビズは変だと思ったよ? じゃん拳って何? おいらが負けた? 駄目駄目、駄目。
ちゃんと武競べしないと。
でもビズは言う。
男と男の約束を破るの? って。
そう言う意味じゃないと説明すると。
魔物さんって、なんか格好悪いって言うんだ。
え、おいら格好悪いの?
「やり直しが利く真剣勝負ってあるんだね? 僕初めて知ったよ。魔物さんがそう言うなら仕方ないね。やり直そう」
ビズのその言葉で、おいらはビズの“何か”に負けたと思った。
思ってしまったんだ。
ぐっぬぬぬぬぬ、解せぬ。
そして、ビズの願いをおいらが聞くと、
「僕と友達になって下さい」
それがビズの願いだった。
そして今、おいらもビズの仲間に入り一緒に旅をしている。
まあ、麒麟の姿のままだと問題が出るので、おいらは
人化
している。ああ、エンスもだな。
でもエクスだけは《、《小型化》》してビズの頭の上が定位置だとご満悦だ。
人化した方が食べ物が旨い。
芋羊羮も包み紙を除いて食べると凄く旨い。
ビズは良い奴だ。
あの後、新しく芋羊羮をおいらにくれた。
正しい食べ方も教えてくれる。
最高に良い奴だ。
初めての連続においらの心も踊る。
ここはガイアス公国。
“水の公国”と呼ばれる、国土の3分の2がマリエンテ内海と言う塩水の湖が占める美しい国だ。
おいら霊山を離れるのは今まで、“おいらの禁忌を破った奴らへのお仕置き”しか経験がなくて、何かを美しいとか綺麗とか、そんな気持ちの余裕がある今が凄く楽しい。
それに大勢の
仲間
と一緒に旅が出来るなんて最高に楽しい。へー、川は淡水で海は海水なのか。
うおぉ、旨い。
川の魚も旨いけど、海の魚も風味が違って旨い。
ここは公都ブリュンヒルト。
“芸術の都”と呼ばれる場所らしい。
『おい、パラム。その楽しさの気配を消せ。俺達は今、泥棒してるんだぞ』
う、煩いなエクスは。
おいら達は今、潜入作戦中だ。
決して泥棒ではないはずだ。
ここはブリュンヒルトの《水の神殿》。
その地下深くへと進む階段を降りている最中だ。
ビズ曰く、この先にある地底湖に
用
があるらしい。なんでも
転ばぬ先の杖
と言うものを懸ける為らしい。そう言えば霊山の禁忌の
抜け道
を使って、“雷鳴草”を採取してたな。あれも
転ばぬ先の杖
なんだと。「着きましたね。ここも塩の香りがしますね。塩水湖ですか」
おいおい、エンス。
お前も楽しい気配駄々漏れだぞ。
まあ、おいら達
うん? 何してんだビズ? ビズが
あるもの
を取り出し、湖に向かって恥ずかしそうにビシッとポーズを決めてこう言った。「僕はビクトリアス・エルブリタニア! 《海竜》リヴァイアサン! お前の願いを叶える者だ!」
え、何言ってんだ
皆もおいらと同じ表情だった。