第56話 ローゼ(1)

文字数 1,099文字

 私はローゼティアス・エルブリタニア。

 エルブリタニア帝国第1皇女です。

 私には3人の兄様達がいます。

 1番上の兄様は、バレリアス・エルブリタニア。

 既に将軍として、一軍を指揮する格好いい兄様です。

 真ん中の兄様は、シュトリアス・エルブリタニア。

 魔導院で、俊英と呼ばれる頭脳明晰な兄様です。

 1番下の兄様は、ビクトリアス・エルブリタニア。

 引き籠りの駄目、駄目な兄様らしいです。

 上の2人の兄様達には、お会いしたことはあるのですが、ビクトリアス兄様には、一度もお会いしたことはありません。

 私、嫌われているのかも知れません。

 私の御付きのメイド、サリーに依るとビクトリアス兄様は離宮に引き籠って、全く外に出て来ない根暗な性格なのだそうです。

 何故サリーが、その様なことを知っているかと言うと、内緒ですよ?

 サリーのお姉様が、ビクトリアス兄様の御付きのメイドをしているからなのです。

「ローゼ様。それで、......」

 え、ビクトリアス兄様が、帝国護剣の1剣ジャンクス・デルパオロ様をボコボコにした?

 帝国護剣って、帝国を守護する護り剣。

 そんな凄い方を倒したビクトリアス兄様って、凄い剣の使い手ではないのかしら?

 引き籠りで、根暗で、凄い剣士なのね。

 え、ビクトリアス兄様が家出した?

 え、お漏らししたのが原因?

 そ、それはちょっと恥ずかしいかな。

 八歳の私でも、もうオネショはしないもの。

 私のビクトリアス兄様は、ちょっと残念な兄様みたいです。

 ああ、あ。ビクトリアス兄様に会うことを楽しみにしていたのにな。

 楽しみと言えば、今度旅行に行くんです。

 薔薇で有名なダマスクローズ。

 2番目の兄様の父様の実家クローズ公爵家の領地です。

 私達は異父兄妹なのです。

 母様は、アリトリアス・エルブリタニア女皇帝陛下。

 凄く綺麗で、凄く格好良くて、凄く優しいの。

 でもお仕事が、忙しくて私も偶にしかお会い出来ないのです。

 寂しいな。

 母様に、会いたいな。

 母様に、甘えたいな。

 でも、我が儘を言ってはいけません。

 私は、ローゼティアス・エルブリタニア。

 エルブリタニア帝国第1皇女なのですから。


 え、サリーのお姉様が結婚したの? おめでとう。

 え、めでたくない? 何故?

 え、その結婚したお姉様の上に3人お姉様方がいて、実家の侯爵家でその3人のお姉様方が荒らぶってる?

 私には妹がいないけど早くお嫁に行こうと、この時、心に固く固く誓いました。
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