第131話 シルフィ動乱

文字数 1,127文字

 我はアルバルバ・イルガリア。

 イルガリア王国の国王であり、シルフィ族を統べる者だ。

 アルグリア大陸の北北西に位置する我が国の周辺には、同じくシルフィを起源とする国が隣接している。

 祖先から枝分かれした者達だ。

 その同じシルフィを祖先に頂く、国々。ノリス・タックロ・グトネス・ダブリン・ゲオア・ピクルで次々に内乱が起こっている。

 これら全ては、繋がっておる。

 それは誰が見ても解る事実であった。

 自由を求めるシルフィの特性が、支配されることを嫌ったのか。

 我には解らん。

 解りとうもない。

 己達の自由が、誰によって守られてきたかも想像出来ない愚か者ども。

 まあ、良い。

 国民が、自由と言う名の甘い夢を見たければ、好きなだけ見るが良い。

 その甘い夢から覚めた時、誰が自由を守るのかのう。

 

「申し上げます! 現在ゼークド将軍の部隊が、ヒカノ城砦を攻撃中との報せです!」

 ふむ、予定通りだな。

「申し上げます! ミリオンで反乱が発生しました! ゼークド将軍の指示で討伐部隊を向かわせました!」 

 ほう、流石はゼークドだ。

 数手先まで読み切る男。

 だが、この一連の策謀を指揮している者は、何者なのだ?

 我が国だけでなく、北西諸国のシルフィの国全てで反乱を起こさせるとは。

 それも、内乱の首謀者は各国とも、第1王子だと言う。

 次代の王たる者達が、反乱を起こすとは、何故だ。

 何が、どうして、こうなったのだ。

 

「申し上げます! ヒカノ城砦を攻撃中のゼークド将軍の部隊が、壊滅しました!」

「な、何だと! どう言う事だ! 詳細は解っているのか?」

「はっ! 第一報でありますので、詳しくは次の報せを待つより仕方ありません!」

 ば、馬鹿な。ゼークドの部隊が壊滅しただと?

 ガルバの反乱軍は500名ほど。城砦で防衛したとしても、ゼークドは五倍の2500名。

 簡単に壊滅されるような数ではないし、されるようなゼークドでもない。

 一体何が起こっているのだ?



「申し上げます! 第二報によると、城砦には罠が仕掛けられており、ゼークド将軍の部隊諸共、城砦が爆発したとのことです! 現在、ゼークド将軍の生死は不明です!」

 な、何! 爆発だと?

 考えられることは、ガルバが己を囮に、ゼークドを誘い込み、相打ちを狙った?

 むむむ、解せん。

 己を囮に、己の命を捨てるとは。

 我が息子の考えが見えん!

 この反乱が成功したとして、己が死んでどうするのだ?



 我はアルバルバ・イルガリア。

 イルガリア王国の国王であり、一人の父親だ。
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